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2004年9月
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新聞広告は2期連続で増加――2004年上半期の広告出稿量

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朝日新聞の記者が取材内容を無断録音、漏洩――本人に退社処分、編集幹部ら減俸・減給

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新潟市でNIE全国大会開催――過去最高の1,095人が参加
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 新聞広告は2期連続で増加――2004年上半期の広告出稿量

 電通は8月12日、2004年上半期(1〜6月)のマスコミ四媒体広告の出稿量調査をまとめた。新聞は前年同期比0・8%増で、前期(2003年下半期)に続き、2期連続で増加した。テレビCM、ラジオとも前年同期比で増加しており、雑誌を除く各媒体で増加。前年同期はイラク戦争、金融不安、新型肺炎(SARS)などの影響で広告出稿が抑制されたが、今期は景気回復、アテネ五輪などを背景に出稿は堅調に推移した。

 業種別では、「飲料・嗜好品」「金融・保険」「案内・その他」が五媒体中四媒体で前年同期を上回った。「金融・保険」はテレビ番組、同スポットでそれぞれ22・5%、32・0%と高い伸びを示している。前年同期に大幅に増加した「情報・通信」は、テレビ番組で2・1%増加したものの、他の四媒体では減少。前年同期は、全媒体で前年同期比マイナスの業種が三つあったが、今期はなかった。

 調査対象は新聞120紙、テレビが東京・大阪・名古屋の15局、ラジオが東京・大阪の9局、雑誌が384誌。業種分類は21種。

 【新聞】広告段数は、2001年下半期からの4期連続マイナス傾向を脱し、前期に続いて増加した。新聞グループ別では、全国紙1・3%増、ブロック紙1・1%増、地方紙0・7%増、スポーツ紙0・6%減と、スポーツ紙以外で前年同期を上回った。

 総ページ数は、全体で1・4%増。各グループで前年同期を上回った。広告掲載率は0・1ポ低下して37・5%となった。

 カラー広告は全体で10・2%の増加。中でも、スポーツ紙が37・2%増と大幅に増加したほか、全国紙も11・7%増と増率が二けたを超えた。全ページ広告、見開き広告とも増加。見開き広告では全国紙0・3%減、地方紙0・5%減だったが、スポーツ紙が194・4%増と約三倍になりけん引した。

 案内広告は0・2%減と八期連続の減少。ブロック紙、地方紙、スポーツ紙で増加したが、全国紙が前年同期を下回り、6・9%減少した。

 業種別では、構成比が最も高い「交通・レジャー」が前年同期から回復し8・7%増。ほかにも、通信販売が大幅に増加した「流通・小売業」(16・4%増)をはじめ、「食品」(5・7%増)、「飲料・嗜好品」(5・5%増)など九業種で増加した。

 一方、構成比が比較的高い「出版」(2・5%減)や「金融・保険」(2・6%減)、「自動車・関連用品」(8・8%減)で減少。「趣味・スポーツ用品」(21・8%減)のほか、「家電・AV機器」(13・2%減)、「家庭用品」(11・5%減)、「官公庁・団体」(9・4%減)なども減り幅が大きかった。


朝日新聞の記者が取材内容を無断録音、漏洩――本人に退社処分、編集幹部ら減俸・減給

 朝日新聞社は8月6日付朝刊で、「東京本社社会部記者が、取材中のやりとりを取材相手との約束に反して録音し、別の取材先に渡していたことが明らかになった」と発表した。併せて、こうした行為は取材相手との信頼関係を損ね、「取材源の秘匿」の原則に触れるとして、録音記録を渡した記者を退社処分とし、君和田正夫(きみわだ・まさお)専務取締役編集担当はじめ編集幹部を減俸・減給処分にしたことを明らかにした。

 処分は8月5日付。併せて、取材にかかわった生活部の記者1人を減給処分とした。君和田氏は役員報酬減俸。このほか東京本社の吉田慎一(よしだ・しんいち)取締役編集局長、横井正彦(よこい・まさひこ)社会部長、坂本弘子(さかもと・ひろこ)生活部長の3人を減給処分とした。

 同紙面に掲載された同社の社内調査によると、社会部記者と生活部記者の2人は4月、私立医科大学の補助金流用問題で関係者を取材。この際、「録音しない」と約束しながら、社会部記者がこれに反してやりとりを録音し、後日、この関係者に批判的な別の取材先から求められ、MDに複製して渡した。

 6月上旬ころ、MDとほぼ一致する内容のCD−ROMが、怪文書と共に複数の関係者に届き、7月中旬、録音された本人から同社に抗議があった。MDを受け取った取材先は盗まれた可能性があるとしており、録音などが出回った経緯は判明していない。社会部記者は「事実関係を確認するためにMDを渡した」と話しているという。

 同社は8月5日、録音した取材相手に文書で謝罪。6日付紙面で「朝日新聞社は『取材先との信頼関係』『取材源の秘匿』について、最重要の倫理と位置づけてきました。今回、取材の録音記録をそのまま流すという、あってはならないことが起き、極めて重く受け止めています。改めて取材倫理を社内に徹底します」との君和田氏のコメントを掲載し、関係者に謝罪した。





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インターネット検索サイトの米グーグルが、「Google News」の日本語版を開設

 インターネット検索サイトを運営している米グーグル(Google、米カリフォルニア州、日本法人=東京・渋谷区)は1日、ニュース検索サービス「Google News」の日本語版を開設した。ニュースを日本語で提供する新聞・通信社、放送局、外国メディアなどの610のサイトから検索、グループ分けした記事の見出しを分単位で表示する。見出しをクリックすると、発信元サイトの個別記事に直接アクセス(ディープリンク)することが可能。同日本語版のページには広告の掲載はない。発信元に配信料は支払わない。読売東京のように、掲載を拒否している社もある。

 「Google News」は米グーグルが2001年12月に開始。現在、米国、フランス、ドイツ、韓国など12か国で各国の言語版が設けられている。同日本語版は、情報を「トップ記事」「社会」「世界」「経済」「政治」「スポーツ」など8つに分類。編集作業に「人の手」は加わっておらず、コンピューターが検索、その結果を分析・分類している。

 収益性について、グーグル広報担当者は、「人件費はかからない。ビジネスとしての収益はなく、ウェブ上の情報を最も早く簡単に、かつ効率よく検索する方法を提供するだけだ」と話す。

 見出しの著作権保護や、サイトのトップページを介さない、などの問題が残されているが、著作権について、グーグルの広報担当者は、「インターネットで公開されている情報は、公のものだという基本的な考え方に沿っている。ただし、係争中の裁判もあり議論の余地はあるだろう」と話す。発信元から掲載を望まないとの連絡があれば、個別に相談し、掲載をやめるとしている。

 読売東京は、同日本語版への掲載を拒否した。同社は昨年12月、広告収入を得ながら見出しリンク提供サービスをする「デジタルアライアンス」社を、著作権侵害、営業妨害を理由に訴えたが、東京地裁は今年3月に訴えを棄却。読売東京は東京高裁に控訴し、現在、係争中だ。

 読売東京には8月31日、グーグルの担当者が説明に訪れたが、読売側は「ヤフーなどには有料配信しており、グーグルだけにこのような形で使用されるのは好ましくないことや、見出しには商品価値があると考え係争中であることなどを話し、明確に拒否した」という。

 新聞協会編集委員会は1997年11月、新聞・通信社が発信するネットワーク上の情報の著作権に関する見解を示しており、リンクの際は、まず、発信元の新聞・通信社に連絡、相談するよう求めている。

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新潟市でNIE全国大会開催――過去最高の1,095人が参加
 

 新聞教育文化財団が主催する第9回NIE全国大会が7月29、30の両日、新潟市で開かれた。全国から教育関係者958人、新聞関係者137人の計1,095人が参加、過去最高だった昨年の603人をさらに大きく上回った。「活字文化を大切に 発展させようNIE」を大会スローガンに、初日は、新潟県内の小・中・高校、大学、専門学校によるNIE実践発表のほか、教師、新聞記者などによるパネルディスカッションなどが行われた。2日目は、小・中・高校別の公開授業と分科会のほか、NIE実践教師研修会が開かれた。

 開会にあたり、同財団の箱島信一理事長(朝日新聞社代表取締役社長)は、「NIEを体験している生徒の保護者を対象とした調査で、9割の保護者がNIEを評価しているとの結果が出ている。力づけられると同時に、新聞側は解説記事などへの要望を意識して紙面を作る必要がある。今年度は実践校が目標の400校を超えたが、目標達成は新たな飛躍を期す時だ」とあいさつした。招かれた新潟県教育長は、「各学校における新聞活用の優れた実践は、紙面を通じて広く県民に紹介され、学校理解の推進にも役立っている」と活動の取り組みを評価した。

 実践発表では、新聞スクラップで社会事象に関心を持たせ、リレートークでコミュニケーションの推進を図った取り組みなどが紹介された。

 パネルディスカッションのテーマは「子供が高まるNIE――地域や学校の連携を視野に」。NIEの効果について「新聞を仲立ちに教師と生徒が対話できる。また、一つのテーマについて深く探求する姿勢が養われた」「高度情報化社会のなか、新聞は自分の世界を切り開くためのパートナーになれる可能性がある」などの発言があった。

 また、「新聞は親子が人として対等に話し合う仲立ちになるチャンスを持っている」などの評価もあった。

 地域参加の観点からは、「教育ボランティアとの連携により、NIEは子どもと地域を媒介し、きずなを作ることができる」と指摘した。

 NIE全国大会の2日目は公開授業と分科会が、小・中・高校の校種別にそれぞれ2コマずつ開催された。NIEの実践事例が報告され、NIEにおける「情報の発信」の位置付けや必要性をめぐり、活発な意見交換も行われた。

 公開授業のうち、「小学校−II」では、新潟市内の小学校6年生が、自分たちの住む町の歴史と現状を調査し、町の魅力や課題をガイドブックと新聞にまとめたものを発表。毎週水曜朝の「NIEタイム」で、地域に関する新聞記事などを読ませ、問題追求の意識を高めさせたという。指導した教諭は「児童たちは取材を通して、新聞記事の背後に記者の思いがあることを理解できたようだ。その上で、児童自身の思いを記事として発信するために新聞を作った」と話した。

 「高等学校−I」では、新潟県内の高校1年生が、「新聞づくりを通して培う情報を整理・発信する力」をテーマに、全国大会初日を取材した内容を新聞にして発表した。

 質疑応答では、会場から「大会を通して『発信』がキーワードの一つになっているが、NIEには(新聞作りなどを通して)子どもに情報を発信させることが不可欠なのか。すそ野を広げる上でも、もっと簡単にできるNIEがあっても良いのではないか」との問題提起があり、これをもとに多くの意見が交換された。

 「発信は必要だ。ただ、方法はいろいろあり、意見を述べることも発信の一つ。発信を大げさにとらえているのではないか」

 「子どもたちが伝えることの難しさを自覚し行動に移した時こそ、本当のNIEの効果が上がる」と発信の重要性を主張する声も上がった。

 一方で、「もっと気楽に肩の力を抜いてできるNIEがあってもいいという点は共感できる。立派な実践ばかりではおじけづく部分もある」との意見も出され、実践が深まりを見せる一方で、初心者向けの実践研究も必要ではないかとの課題が出された。

 実践教師研修会では、小・中・高校それぞれ2グループずつに分かれ、新潟で発行されている6紙の当日の朝刊を使って総合学習の授業を組み立てた。参加者からは、「研修会は、新聞の学習材としての可能性を実感できる良い場だ。グループで討論することで、指導スタイルを見直す良い機会にもなった」との意見も出され好評だった。

 

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