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2005年9月
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新聞・通信社の従業員数、13年連続減少
新聞協会経営業務部はこのほど、協会加盟の新聞・通信全社を対象に実施した2005年「従業員数・労務構成調査」を発表した。新聞・通信社の従業員総数は13年連続で減少し、前年比3・2%減の5万2683人。減少が始まった1993年調査以降、最大の減率となった。
調査は102社(前年より2社減)を対象に4月1日現在で実施、71社が回答した。従業員総数は、回答社の総数に、電話などで総数だけを確認した未回答31社の人数を加えた数字。役員、顧問、アルバイト、派遣労働者などを除いた社員、嘱託、出向者、休職者などの在籍従業員が対象。
【従業員総数】(表1参照)1993年の6万7356人をピークに減少が続いている。
内訳の回答があった71社の従業員総数は、4万9523人。で以下の部門別従業員数と構成はこの数字をベースにしている。
|
2001 |
2002 |
2003 |
2004 |
2005 |
総数 (人) |
57,860 |
57,105 |
55,806 |
54,436 |
52,683 |
前年比増減 (%) |
- 2.1 |
- 1.3 |
- 2.3 |
- 2.5 |
- 3.2 |
(各年とも新聞協会加盟の新聞・通信全社を対象に集計。)
【部門別従業員数・構成】(表2参照)71社のうち、人数が最も多い部門は「編集」で47・3%。以下「営業」、「製作・印刷・発送」、「その他」、「統括・管理」、「出版・事業・電子メディア」(0・0ポイント)と続く。
初めて「営業」が「製作・印刷・発送」を逆転した。10年間の推移を見ると、96年調査と比べ「編集」が構成比を6・0ポイント、「出版・事業・電子メディア、その他」が2・5ポイント(96年調査では事業、電子メディア部門を「その他」に分類)拡大した。一方で「製作・印刷・発送」は10・9ポイント縮小した。
女性の割合は0・4ポイント拡大した。
「編集」の記者総数は2万0315人。女性記者は2436人で、構成比は記者総数の12・0%、前年より0・3ポイント拡大した。
|
総数 |
男性 |
女性 |
編集 |
23,439 |
(47.3) |
20,525 |
(41.4) |
2,914 |
(5.9) |
製作・印刷・発送 |
6,881 |
(13.9 ) |
6,708 |
(13.5 ) |
173 |
(0.3 ) |
営業 |
7,386 |
(14.9) |
6,542 |
(13.2) |
844 |
(1.7 ) |
出版・事業・電子メディア |
3,312 |
(6.7 ) |
2,727 |
(5.5 ) |
585 |
(1.2 ) |
統括・管理 |
4,003 |
(8.1 ) |
3,095 |
(6.2 ) |
908 |
(1.8 ) |
その他 |
4,502 |
(9.1 ) |
4,295 |
(8.7 ) |
207 |
(0.4 ) |
総数 |
49,523 |
(100.0 ) |
43,892 |
(88.6 ) |
5,631 |
(11.4 ) |
(注)かっこ内は、総数の(男女計)を100とした場合の構成比(%)
【年齢別従業員構成】71社のうち、年齢別を未回答の1社を対象から除外して集計。年齢別構成比(表3参照)は、「55〜59歳」が最も多く、以下「35〜39歳」「40〜44歳」と続く。
10歳刻みの世代構成の推移を見ると、この10年で最も拡大した世代は30代で5・3ポイント拡大。50代が2・2ポイント拡大でこれに続く。最も縮小したのは20代以下で6・3ポイント縮小。次いで40代も1・8ポイント縮小した。
|
2001
|
2002 |
2003 |
2004 |
2005 |
社数 |
77 |
76 |
81 |
79 |
70 |
20歳未満 |
0.1 |
0.1 |
0.0 |
0.1 |
0.1 |
20〜24 |
4.2 |
4.0 |
3.9 |
3.4 |
3.2 |
25〜29 |
12.4 |
11.8 |
11.5 |
11.1 |
10.5 |
30〜34 |
14.3 |
14.3 |
14.1 |
13.9 |
13.8 |
35〜39 |
13.8 |
13.7 |
14.9 |
15.4 |
15.3 |
40〜44 |
11.1 |
12.4 |
12.5 |
13.0 |
14.3 |
45〜49 |
11.1 |
10.7 |
10.7 |
11.3 |
11.7 |
50〜54 |
17.4 |
16.4 |
15.2 |
13.5 |
12.4 |
55〜59 |
13.9 |
14.9 |
15.6 |
16.3 |
16.7 |
60歳以上 |
1.6 |
1.7 |
1.7 |
2.0 |
1.9 |
【採用・離職状況】(表4参照)2004年4月2日から1年間の新規採用者数は、男性1219人(構成比77・7%)、女性350人(同22・3%)。年間採用率(在籍従業員に占める新規採用者の割合)は3・2%となり、昨年より1・0ポイント拡大した。
2004年4月1日から1年間の退職者数は、男性2169人(同89・7%)、女性248人(同10・3%)。退職率(在籍従業員に占める退職者の割合)は、前年同様4・9%だった。
表4 新規採用者数と離職者数の推移
|
2001 |
2002 |
2003 |
2004 |
2005 |
社数 |
77 |
76 |
81 |
79 |
71 |
従業員総数 |
54,505 |
54,015 |
53,488 |
51,761 |
49,523 |
(5,529) |
(5,606) |
(5,785) |
(5,695) |
(5,631) |
新規採用者 |
1,267 |
1,332 |
1,177 |
1,134 |
1,569 |
(290) |
(330) |
(292) |
(296) |
(350) |
離職者 |
2,678 |
2,735 |
2,364 |
2,542 |
2,417 |
(310) |
(284) |
(282) |
(265) |
(248) |
(注)かっこ内は女性の人数
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虚偽報道で編集局長らを更迭――朝日新聞
朝日新聞が8月21、22日付朝刊に掲載した田中康夫・長野県知事らによる新党結成をめぐる記事の一部が、長野総局員による虚偽の取材メモが根拠になっていたことが分かり、同社は29日、虚偽の取材メモを作成した同総局の記者を、誤った記事を掲載させ本紙の信用を著しく失墜させたとして懲戒解雇処分としたほか、管理監督責任を問い東京本社編集局長を更迭するなど、関係者を処分した。
翌30日付朝刊では「おわび」と社内調査結果を掲載。また同日、信頼回復に向けた対応策として社内に委員会を立ち上げたと発表した。
問題になったのは、田中知事が「新党日本」の党首に就任するまでの経緯などを紹介した記事。田中知事と亀井静香・元自民党政調会長の会談場所や、会談等での田中知事の発言が虚偽の情報に基づくものだった。朝日によると、長野総局の記者は、総局長らを通して政治部から会談に関する情報提供を依頼されており、20日、実際には田中知事に直接取材していないにもかかわらず、推測や、これまでの知事発言からの引用などを元にメモを作成し総局長らに報告していた。記事掲載後の23日、田中知事から会見で指摘があり、社内で調査していた。
同社は29日、「朝日新聞の信頼を揺るがす極めて深刻な事態が起きました。記者倫理に反する、決してあってはならないことであり、責任を重く受け止めています。関係者と読者のみなさんに深くおわび致します」とコメント。
また、30日、「『信頼される報道のために』委員会」を設置し、取材現場の実態や問題点を再点検するとともに、記者教育、取材方法を多角的に見直すと発表した。
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ヒロシマ講座――被爆の実態を記者に伝える
被爆の実相などを理解してもらい、その成果を広く国民に発信してもらう広島市のジャーナリスト研修「ヒロシマ講座」が、7月29日から8月7日まで行われた。今年で4回目。ブロック紙・地方紙から8社8人の若手記者が参加し、各紙の今夏の戦後60年企画に併せて、署名記事、連載などで、広島取材で得た経験を読者に伝えた。
30代の1人を除いて7人が20代と、若い世代が集い、原爆被害の社会的、医学的影響に関する説明、被爆者の証言などを聞き、平和関連行事を取材した。
参加者の熊本日日新聞の記者は、8月9日から6回の連載企画「2005 ヒロシマを歩く」を執筆。広島県朝鮮人被爆者連絡協議会会長への取材では「旧日本軍、日本政府への批判など、外国人被爆者の声を聞き、大きな衝撃を受けた。歴史問題を考える重要性を認識した」と話す。
平和記念資料館では、原爆投下を正当化する米国人来館者の言葉に「何とも言えない気持ち」を覚えたという。「日本人全体が、被爆国の人間として継承すべき問題を実感した」
愛媛新聞の記者は、8月14日付紙面で「若者が伝えるヒロシマ」と題した署名記事を執筆。被爆体験を聞いて印象に残った場面を描く「原爆の絵」プロジェクトに参加する大学院生らの声を紹介した。
「被爆者の平均年齢が高くなり、残された時間も限られている。次世代が体験をどう継承していくかに焦点を当てた」と語る。愛媛新聞はこれらの記事とCATVを連動した原爆報道を展開した。
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「伝える力養う最高の教材」――NIE全国大会分科会
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新聞教育文化財団主催の第10回NIE全国大会2日目の7月29日、鹿児島市内で公開授業と分科会、閉会式が行われた。小・中・高校の校種別に開催。NIEの実践事例が報告され、新聞作りによって子どものコミュニケーション力や表現力に向上が見られたとの評価も聞かれた。(1日目のパネルディスカッションの内容は先月号参照)
このうち中学校分科会では、鹿児島市立吉野(よしの)中学校の二宮浩一(にのみや・こういち)教諭が「新聞記事を用いた『調べ方・学び方学習』−鹿児島黒豚を題材にして−」と題して授業を公開した。同教諭は南日本新聞の連載企画「かごしま黒豚物語」を教材に、生徒に (1)鹿児島黒豚の歴史(2)育成法 (3)産地偽装問題――の3点から1つを選ばせ、仮説立案とその検証を行わせた。当日は、生徒が調べた結果を発表するとともに、連載を執筆した南日本編集部記者が授業に参加、学習で生じた疑問をもとに質疑応答を行った。
高校分科会では、鹿児島県立鹿屋(かのや)農業高校の池之上博秋(いけのうち・ひろあき)教諭が「ハンセン病の歴史に学ぶ人権学習」をテーマにした授業の実践報告をした。
池之上氏は、「現代社会」の人権学習の一部でNIEを実践した。教科書で「基本的人権」を学習した後、ハンセン病を理解するために、新聞の裁判記事や解説記事などを活用。新聞の詳報性・記録性などに着目した。その後、ディベートや小論文作成を経て、同病の療養所にクラスの代表者数人が訪問。単元の最後には、同病問題に詳しい南日本記者の講義も受けた。
NIEに関する生徒へのアンケートでは、約7割が「とても良い」と回答、新聞は「教科書に載っていないことが分かり、内容が詳しい」「バランスよく関係者の意見を載せており、当事者のことがよく分かる」などと評価された一方、「文字が多くて読むのがつらい」などの意見もあったという。
分科会の会場からは「生徒はハンセン病を理由とした差別が、いじめと同じ構図だと認識できたか」との質問があった。坂之上氏は「構図に気づいてくれたかは十分評価できないが、差別はいけないとの認識は生まれたはず。もっと学習を深めなければいけないし、啓発活動も重要だ」などと応じた。
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