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2005年10月
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* 2005年度の新聞協会賞は編集部門4、技術3件
* 箱島会長が辞任――自社不祥事で引責
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*Topics
-- 新聞協会のアジア計画で、海外支局の現地記者8人が来日
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今月の話題>>>
第49回マスコミ倫理懇談会全国大会が開催
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2005年度の新聞協会賞は編集部門4、技術3件

 新聞協会は9月7日、2005年度新聞協会賞の授賞作として編集部門4件、技術部門3件を決定した。10月18日に神戸市で開催する第58回新聞大会式典で授賞式を行う。技術部門は4年ぶりの授賞。経営・業務部門は3年連続で該当作がなかった。

 新聞協会賞は新聞界(通信・放送を含む)全体の権威と信用を高める活動の促進を目的に、1957年に創設された。編集、技術、経営・業務の各部門で顕著な功績のあった新聞協会加盟社所属の新聞人に贈られる。

 今年度は編集部門に48社69件、技術部門に4社4件、経営・業務部門に3社3件の応募があった。各部門の選考分科会での審議を経て、7日の選考委員会に編集部門4件、技術部門3件が選考分科会から上申された。経営・業務部門からの上申はなかった。選考委員会は上申通り7件に新聞協会賞授与を決めた。

 

受賞作と受賞理由

「編集部門」

◇「紀宮さま、婚約内定」の特報

 朝日新聞東京本社社会部皇室取材班

 (代表)編集局編集委員 岩井 克己(いわい・かつみ)

 朝日新聞東京本社は、紀宮さまと、秋篠宮さまの学習院時代の同級生で東京都職員の黒田慶樹さんとの婚約が内定したことを2004年11月14日付の朝刊一面トップで特報した。

 紀宮さま婚約の一報は、国民的慶事として広く受け止められ、話題となったほか、海外のメディアも一斉に報じるなど大きな反響を呼んだ。婚約内定の発表が新潟県中越地震の被災者に配慮して延期されていたことにも触れ、この報道によりお二人と両陛下の被災者への思いが伝わった。

 報道各社が激しい取材競争を展開する中、長年にわたる取材の努力を結実させ、他の追随を許さず、国民の関心事をいち早く伝えるという報道の使命を果たした鮮やかなスクープとして高く評価され、新聞協会賞に値する。

 岩井克己(いわい・かつみ)=1971年朝日新聞社入社、甲府支局、東京本社社会部などを経て1994年4月から現職。

◇JR宝塚線脱線事故の発生から運転再開までの一連の写真報道

 朝日新聞大阪本社編集局写真センター

 (代表)編集局写真センター・マネジャー  佐久間 泰雄

 朝日新聞大阪本社は、107人の犠牲者を出したJR宝塚線脱線事故が発生した4月25日から55日後の運転再開まで、事故現場の状況や遺族の悲しみ、事故に対する社会の反応を一連の写真にとらえ報道した。

 マンションに激突して大破した車両、多くの救助隊員が手を差し伸べる中で約15時間ぶりに救出された被害者、遺体安置所で悲嘆にくれる遺族、「母の日」に事故現場の献花台にカーネーションを捧げる人々など、記者が現場に密着し悲惨な事故に向き合って撮影した写真には、事故の惨状、遺族の怒りと心の痛み、犠牲者への思いが焼き付けられている。

 大惨事の現実を伝えた一連の写真は、社会に命の尊さを訴えるとともに再発防止・安全対策を促す報道として高く評価され、新聞協会賞に値する。

 佐久間泰雄(さくま・やすお)=1980年朝日新聞社入社、東京本社写真部、北海道支社報道部、西部本社写真部などを経て2004年4月から現職。

◇阪神・淡路大震災10年キャンペーン報道「守れ いのちを」

 神戸新聞社阪神・淡路大 震災10年取材班

  (代表)編集局次長兼社会部長  高士 薫

 神戸新聞社は、6,433人の犠牲者を出した阪神・淡路大震災から10年を機に、「いのちを守る」を原点に震災における生死の分岐点と防災対策の現状を検証するキャンペーンを2004年1月10日付朝刊から展開した。

 被災当事者でもある地元紙として、10年にわたる取材の蓄積を基に肉親を失った遺族ら被災者の心のひだを読み取り、今なお残る身元不明者の問題など埋もれていた事実に光を当て、新潟県中越地震なども踏まえ最新の防災上の課題を被災者の肉声で浮き彫りにした。震災後の自殺、孤独死の問題にも真正面から向き合い、真の復興とは何かを問い直した。

 経済的復興が言われる中、一連の企画は「10年の現実」を突きつけて震災体験を改めて思い起こさせ、今後とられるべき対策に目を向けさせた優れたキャンペーンとして高く評価され、新聞協会賞に値する。

 高士 薫(たかし・かおる)=1975年神戸新聞社入社、高砂支局、阪神総局、社会部などを経て2005年3月から現職。

◇企画「沖縄戦新聞」

 琉球新報社沖縄戦60年取材班

 (代表)編集局社会部長  玉城 常邦

 琉球新報社は、日本で唯一の地上戦が繰り広げられた沖縄戦から60年を機に、当時の戦争報道を検証しつつ現代の視点で沖縄戦の全体像を再構成した「沖縄戦新聞」を2004年7月7日から2005年6月23日にかけ11号発行した。

 住民総動員の過程や、米軍の上陸など戦闘の節目ごとに編集された新聞は、沖縄戦を多角的にとらえ、その実相を伝えている。新しい事実・証言も盛り込まれ、資料的な価値も高く、言論統制下の当時には伝えられなかった地上戦の全ぼうに迫ることで、戦意高揚に加担して国民を戦闘に駆り立てた負の歴史と真剣に向き合おうとした意欲も特筆される。

 沖縄戦の次世代への継承を意図した新聞は、戦後60年を迎えた今年、戦争の悲惨さを改めて訴え、真実の報道という新聞の使命を再認識させた斬新な企画として高く評価され、新聞協会賞に値する。

 玉城常邦(たまき・つねくに)=1983年琉球新報社入社、編集委員、運動部長などを経て2005年3月から現職。

「技術部門」

◇新聞用FMスクリーンの実用化

 朝日新聞東京本社製作本部

 (代表)製作担当付  村瀬 岳彦

 朝日新聞東京本社は、階調再現(濃淡)を微小な網点の粗密で表現するFM(Frequency Modulation)スクリーンを実用化し、高品質カラー広告の商品化に成功した。FMスクリーンを新聞印刷で用いることは技術的に困難と見られていたが、最小画素が忠実に再現できるCTP(Computer To Plate)の導入を機に本格的な研究を開始、FMスクリーン用の変換プロファイルや補正カーブを独自に開発し、印刷品質の面から新聞広告の可能性を広げた。FMスクリーンによる印刷は、網点の大小で階調を表現する従来の印刷方法と比較し、階調が滑らかで細部の表現が繊細であり、鮮やかな色を再現できるほか、インキ消費量の削減も期待できる。国内の新聞社で最初に実用化に取り組むとともに、研究成果のデータを幅広く公開したこととあわせ高く評価され、新聞協会賞に値する。

 村瀬岳彦(むらせ・たけひこ)=1987年入社、東京本社工務局印刷部、北海道支社印刷部、東京本社座間工場製作部、西部本社福岡工場技術部などを経て2003年4月から現職。

◇高位・等品質カラー紙面の自動印刷システム開発と実用化

 読売新聞東京本社制作局

 (代表)技術三部次長  高月 宏一

 読売新聞東京本社は、これまでオペレーターの感覚と技量のみに頼っていたカラー印刷の色合わせ作業を自動化し、高品質の紙面をどのメーカーの輪転機でも印刷できるシステムを開発、その実用化に成功した。カラー紙面の高品質化と機械間誤差の解消が大きな課題となる中、色見本に合わせていたワークフローを完全に取り除き、製版データを基に設定した目標濃度データと、イメージセンサーで取り込んだ実際の印刷紙面の濃度測定結果を比較して制御することで、高品質の紙面を印刷開始直後から刷了まで全自動で印刷することが可能となった。インキ濃度調整の自動化により、短時間で紙面品質を安定させ、省人化や損紙の低減など大幅なコスト削減を実現したことは高く評価され、新聞協会賞に値する。

 高月宏一(たかつき・こういち)=1985年読売新聞社入社、工務局技術部、制作局技術二部主任を経て2004年9月から現職。

◇新システム「コスモスIII」NewsMLは組み版の世界へ

 信濃毎日新聞社

 (代表)技術局長   三沢 寛

 信濃毎日新聞社は、国際新聞電気通信評議会(IPTC)が策定し、日本新聞協会が日本に導入するための規格化を行ったニュース交換用標準フォーマット「NewsML」を活用し、出稿メモを使った「テーマ管理」と「スケッチ組み版」を特徴とする新編集制作システムを構築、2005年3月に全面稼働させた。NewsMLを採用した素材管理システムを中核に、組み版、メディア編集、新聞統合データベースなどの各システムを一体化して開発、素材の「ワンソース・マルチユース」を可能とした。テーマ管理で出稿量を把握し、取材内容を確認するなど編集業務を効率化するとともに、スケッチ組み版で事前レイアウトを行い、更新される素材をリアルタイムで組み版に反映させるなど制作業務を迅速化、編集局完結型の紙面制作を実現したこととあわせ高く評価され、新聞協会賞に値する。

 三沢寛(みさわ・ひろし)=1973年信濃毎日新聞社入社、編集局整理部長、編集局次長兼整理部長、制作局次長(局長待遇)、制作局長などを経て、2005年7月から現職。





箱島会長が辞任――自社不祥事で引責

日本新聞協会の箱島信一(はこしま・しんいち)会長(朝日新聞社取締役相談役)は9月7日の理事会で、同社が総選挙での新党結成をめぐり、虚偽の取材メモによる誤った報道でジャーナリズム全体の信頼と名誉を傷つけたとして、辞任を申しでた。理事会はこれを了承。=虚偽メモ事件については先月号を参照

 朝日の虚偽メモ問題に関しては、理事会の議事に先立ち秋山耿太郎(あきやま・こうたろう)理事(朝日新聞社代表取締役社長)が「朝日新聞だけでなく、新聞全体の信頼を傷つけ、迷惑をかけた。深くおわびする」と述べた。

 箱島会長は、今回の不祥事を陳謝するとともに辞意を表明。「会長の任を全うできないのは心苦しい。新聞界全体で取り組むべき課題は、報道と人権、個人情報問題、消費税問題など、いずれも新聞の重要性を正面に掲げ、社会の納得を得なければ進まない。そうした時に、新聞の根本である信頼性を崩すことをしたことについて、重く受け止めている」などと述べた。

 続いて、佐々木勝美(ささき・かつみ)副会長(山陽新聞社代表取締役社長)から「会長の辞意は固く、理事会に先立ち開かれた運営委員会もやむを得ず了承した。退任の時期については、新聞週間(10月15日から1週間)が終わるまでは会長職を全うしてほしいと要請し、了承していただいた」との発言があった。後任の選考に関しては未定。



朝日新聞の秋山社長が虚偽メモ事件で記者会見

 朝日新聞社の秋山耿太郎代表取締役社長は9月7日、記者会見を開き、虚偽の取材メモによる選挙報道問題について謝罪するとともに、信頼回復に向けた対応策を検討している社内委員会の調査結果をまとめると表明した。また、問題発覚当初に会見を開かなかったことについても「判断ミス」と述べた。

 朝日が8日付朝刊に掲載した会見の記事によると、秋山社長は「今回の事件が朝日新聞のみならず、新聞全体に対する信頼を傷つける結果になったことに対して、大変に申し訳なく思う」などとした上で、「朝日新聞の責任者として、今回の不祥事を防げなかった責任を痛切に感じる。編集部門を中心にした『解体的な出直し』に、不退転の決意で臨み、新聞づくりの土台からの改革を軌道に乗せることで、責務を果たす覚悟だ」などと述べた。

 当初、記者会見を開かなかったことについては「(社内の)第一線の記者から大変厳しい意見が続々と出てきた。私の判断ミスであり、反省している」と述べた。


虚偽メモ検証記事掲載――朝日新聞

 朝日新聞社は9月15日付朝刊で、総選挙報道をめぐる「虚偽メモ問題」に関する検証記事を3ページにわたって掲載した。政治部から長野総局への新党結成をめぐるメモ作成の「お願い」から、問題の発覚と処分までを検証し、問題点を列挙。懲戒解雇された元同総局記者との一問一答も掲載した。記事掲載までに、政治部と元記者の間でのやりとりはメール2通だけだったことが判明し、「いくつものミスが重なったが、取材現場でのコミュニケーション不足が虚報につながった最大の原因」と結論づけた。同社は、読者から意見・提言を募集し、社内に設けた「信頼される報道のために」委員会での検討作業に反映させるほか、10月中旬の新聞週間特集紙面で一部紹介する。

 検証記事は、東京本社社会部次長ら4人の記者による検証班がまとめた。まず、政治部からの取材の「お願い」が、メールだけで具体的な背景説明もなかったため、その意図が長野総局に伝わらなかった点を問題点に指摘。そのため、総局長は記者らに漠然とした指示しかせず、さらに記者からの取材報告、政治部に対するメモの具体的な使用部分の確認を怠った結果、メモが総局内を「素通り」してしまったとした。

 政治部も、メモをもとに原稿を作りながら、具体的な問い合わせや説明を総局にせず、原稿内容を伝えることも怠っていた。

 一問一答で元記者は、総局長から取材結果を聞かれた際に取材できなかったことを報告しなかったのは、「忙しく、取り繕っておけばという気持ちの方が強かった」と回顧。「事前に政治部から確認が来ると思っていたが、まさかメール一つが(本社と)やりとりしないまま丸々使われるとは知らなかった」と振り返ったほか、「(掲載前夜に送られてきた大刷りを見て)頭が真っ白になった。なるようになれと思ったところもあった」などと語った。また、社内調査で動機を「功名心」と表現した点は、「『魔が差した』では納得してもらえないだろうと思い、自分の中で分かりやすいようなストーリーを作った」などと話している。



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新聞協会のアジア計画で、海外支局の現地記者8人が来日

 新聞協会のアジア計画「海外支局現地記者研修」が、9月5日から14日まで実施された。今回は、昨年3月実施の前回に続き、アジアの日本報道機関の支局などで活動する現地記者を対象にしている。インド、パキスタン、イラク、中国、台湾、ミャンマー、エジプトの7か国・地域から8社8人が来日。

 一行は、政治、経済、外交・防衛など、日本に関する包括的な理解を深めることを目的に、外務省、日本銀行などを視察。総選挙の時期と重なり、自民党候補者の選挙事務所や投票所の様子も取材した。9日から広島、京都の各地を訪問。12、13の両日は所属各社で記者研修を行い、14日に帰国した。

 ジャーナリストが最も危険な状態に置かれているイラクからも、読売新聞社のバグダッド特約特派員が参加。「日本に来るという長年の夢がようやくかなった。イラクは今、混乱のさ中にある。安定と治安が回復されることを強く望んでいる」と語った。

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第49回マスコミ倫理懇談会全国大会が開催
マスコミ倫理懇談会全国協議会の第49回全国大会が9月29日から2日間、広島市内のホテルで開かれ、新聞、通信、放送、出版、広告など128社・団体から322人が参加した。「メディアの明日はどうあるべきか!」をメーンテーマに、初日は全体会議、講演に続き、報道5、広告2の計7分科会で討議。2日目の全体会議では「メディアを規制しようとする動きに強く反対すると同時に、マスコミ倫理のさらなる向上に努める」との大会申し合わせ(下記参照)を採択した。

同協議会は「マスコミ倫理の向上と言論・表現の自由」を目的として1958年、日本新聞協会や日本民間放送連盟のほか出版、映画、広告などのマスコミ関係10団体と全国10地区のマスコミ倫理懇談会を構成メンバーに結成された。マスコミ各界をつなぐ唯一の組織となっている。

 地区ごとに月例会や臨時総会を開催し、メディア規制の動向やマスコミ倫理の向上について意見交換している。全国大会はこれらの成果を集約し、メディアの枠を超えて表現の自由の重要性をアピールするために毎年開催している。

 全国大会1日目の全体会議では、開催地を代表して、広島市に本社を置く中国新聞社の今中亘(いまなか・わたる)・代表取締役社長が「メディアの不祥事が相次ぐなか、国民の信頼を得るためにどうすべきか。己に甘く、他者に厳しいスタンスは恥ずべきことだ。謙虚に自省、総括した上での実り多い討論を期待する」とあいさつ。

 平岡敬(ひらおか・たかし)・元広島市長(元中国新聞社編集局長)が「時流とメディア」をテーマに講演した。

 平岡氏は戦前、戦後の言論統制と民主化の歴史をたどり、「日本のメディアにとって、言論・表現の自由は占領軍から与えられたものであり、みずから勝ち取った自由ではなかった。そのことは現在に至るまで、自由を脅かす動きに対する危機感の薄さ、自己規制の体質につながっている」と指摘。総選挙での自民党圧勝による政治環境の変化、ナショナリズムの広がりなどの現状を挙げ、メディアは「時流に乗って権力のお先棒となるのか、時流に逆らう志を持つのかが問われている」と述べた。

 続いて、7分科会に分かれて討議が行われた。

 報道機関における人権、プライバシー、コンプライアンスの在り方などを取り上げた分科会は、記者倫理を考えるとの観点から、朝日の虚偽メモ問題を議論。本社と地方支局との関係、各記者のメモをアンカーがまとめる記事作成手法の問題なども話し合った。また、現在の匿名発表化の傾向についても討議した。

 個人情報保護法施行後の報道とプライバシー、犯罪被害者基本法の問題等に関する分科会は、尼崎JR脱線事故などをテーマに論議。匿名発表の広がりについて、「取材自体がかなり難しくなる状況が、多くの場面で出てきている」と警戒感を示す発言があった。総選挙報道についても、意見を交わした。

 「青少年事件報道とメディア」分科会は、青少年が関係する事件報道の在り方と留意点を探った。「学校側の規制で事件の真相に近づけないケースがある」など、取材上の問題点が報告されたほか、少年事件の厳罰化傾向、東京都の有害図書規制などメディアへの規制強化の問題を討議した。

 「戦後60年とメディアの責務」分科会は、原爆・平和報道を中心テーマに討議。「メディアは伝えるべきことを伝えているか。通り一遍の報道に終始してはいないか」など、多面的な意見が出された。60年企画を機に、若手記者育成に取り組んだ新聞社の事例にも注目が集まった。

 「ネットメディアの挑戦とマスコミ倫理」分科会は、ネットメディアの台頭にマスメディアはどう対応すべきかを論議。「プロとしてきちんと向き合い、みずからの力量を高めていくことが必要だ」との認識のもと、意見を交換した。ネット上での悪質な情報の流布、著作権侵害の問題なども指摘された。

<49回全国大会申し合わせ>

 4月の個人情報保護法全面施行を契機とした公的機関等の過剰反応や、警察の匿名発表化傾向が広がっている。これにより、メディアの取材・報道が制約され、ひいては国民の「知る権利」の侵害につながっている。また、メディア規制条項を含む憲法改正国民投票法案も、人権擁護法案とともに国会上程が検討されている。衆議院で与党が圧倒的多数を得たことにより「表現の自由」を制約する法改正の動きにも一層の警戒が必要である。

 被爆60年を迎えた広島市で開催した今大会では「メディアの明日はどうあるべきか!」をメーンテーマに、メディアを取り巻く現況や自主自律のための施策を検証した。併せて、人権・プライバシー保護と報道のあり方、少年事件報道、戦後60年とメディアの責務、ネットメディアへの対応、広告の倫理と責任など、当面する諸問題を論議した。 その結果、国民の「知る権利」に応えるメディアの責任と倫理を改めて自覚し、真実の報道と公正で多様な言論、広告の提供によって読者・視聴者の信頼を高め、民主的な社会の発展に寄与することを確認した。

 われわれは第49回全国大会に際し、メディアを規制しようとする動きに強く反対すると同時に、マスコミ倫理のさらなる向上に努めることを申し合わせる。

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