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2006年1月
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新聞協会の会長に北村氏(毎日東京)を選任

* 2005年の日刊紙の発行部数は前年比、0.9%減
* 東京写真記者協会賞――毎日新聞の「パキスタン地震」に授賞
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-- 日経は兵庫県向けの印刷を神戸新聞に委託
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今月の話題>>>
会長年頭あいさつ
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新聞協会の会長に北村氏(毎日東京)を選任

 新聞協会は12月14日、臨時会員総会を開き、北村正任(きたむら・まさとう)理事(毎日新聞社代表取締役社長)の会長就任を承認した。また、村上重美(むらかみ・しげみ)・専務理事の退任・顧問就任を了承し、今田昭(いまだ・あきら)・事務局長を理事に選任した。北村会長の任期は10月に辞任した箱島信一(はこしま・しんいち)会長の残余期間である2007年6月まで。なお、村上顧問は胃がんのため1月7日に死去した。67歳だった。

 北村会長は「与えられた職責を、誠実に一生懸命、果たしていきたい。当面の責務は皆の力をまとめることだと感じている。新聞業界は厳しい状況にあるが、多様な言論・報道機関が共存している状態を守ることが、良い社会を造る不可欠の条件だ。それに向けて力を結束したい」などとあいさつした。

 北村 正任(きたむら・まさとう)氏略歴=青森県出身、東大卒。昭和40年毎日新聞社入社。ボン支局長、東京本社外信部長、論説委員長などを経て平成10年取締役東京本社編集局長。12年常務取締役主筆。16年から代表取締役社長。64歳。

2005年の日刊紙の発行部数は前年比、0.9%減

 新聞協会はこのほど、2005年10月現在の「日刊紙の都道府県別発行部数と普及度」調査結果をまとめた。総発行部数は52,568,032部。前回調査で5年ぶりに増加した発行部数は今回、前年比0.9%の減少となった。一般紙も前回のプラスが一転し0.6%減。スポーツ紙は3.1%減と五年連続のマイナスを示した。

 調査対象は協会加盟の129紙。前回調査から対象紙、発行形態の変更はない。内訳は、朝刊夕刊を発行するセット紙45紙、朝刊単独紙61紙、夕刊単独紙14紙。

 一般紙は前回調査で3年ぶりに増加したが、今回は再び減率に転じた。セット部数は1.3%減で、15年連続の前年割れ。朝刊単独部数は0.4%減。夕刊単独部数は5.2%と大きく減少した。

 地区別では、沖縄が増減なしとなったが、他の12地区すべてで減少した。海外(4.9%減)、北海道(2.7%減)の減率幅が大きい。

 普及度を示す指標を見ると、1世帯あたりの部数は1.04部。世帯数は前年から1.1%増加したが、部数の落ち込みから、0.02部の減少となった。発行部数1部あたりの人口は2.41人だった。

東京写真記者協会賞――毎日新聞の「パキスタン地震」に授賞

 東京写真記者協会(加盟36社、会員670人)は12月7日、2005年の協会賞と各部門賞を発表した。協会賞には、佐藤賢二郎(さとう・けんじろう)記者(毎日新聞)の「パキスタン地震」(写真=東京写真記者協会提供)が選ばれた。

 同作品は、死者7万人以上と多くの犠牲者を出した05年10月の大地震を、現地から精力的に報じた一連の写真。佐藤記者は「どうすれば被災の状況や人々の悲しみを伝えることができるか考えながら撮影した。少しでも長く記憶に残る写真を撮ることで、温かく受け入れてくれた現地の人たちに応えたい。その意味でも、今回の受賞はうれしい」と語った。同記者は企画部門賞(海外)も受賞している。

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朝日が茨城県向けの印刷を日経に委託


 朝日新聞社と日本経済新聞社は12月1日、茨城県向け朝日新聞の委託・受託印刷で基本合意した。朝日の秋山耿太郎(あきやま・こうたろう)・代表取締役社長と日経の杉田亮毅(すぎた・りょうき)・代表取締役社長が同日、日経本社で合意書に調印した。2007年4月1日付から日経茨城別館(茨城県・かすみがうら市)で、朝日の朝刊約15万部を印刷する。朝日の全国紙への印刷委託、日経の印刷受託は、ともに初めて。

 朝日新聞社は、今回の委託について「全国で40ページうち16面カラー化を推進するなど生産体制整備を着実に進めており、この中で、北関東、特に茨城県向けの生産力強化が残る課題となっていた。今回の基本合意は、生産体制整備の観点からウインウインの関係を模索した結果と考えており、全国紙同士の印刷委託・受託という思い切った決断をしていただいた日本経済新聞社に敬意を表したい」と説明。

 日経は「1980年代から、全国地方都市を中心に委託印刷を展開してきたが、受託は今回が初めてとなる。茨城別館には輪転機1セット分の増設スペースがあり、生産体制にも多少余力があるなど、印刷可能な条件がそろっていたため、今回の受託を決めた。全国紙同士の委託・受託であるが、委託側の投資効率、受託側の工場生産効率の視点からすれば、両社にとってメリットのある協力関係だ」と説明している。

 日経茨城別館は93年の稼働。48ページうち12面カラー印刷が可能な生産設備1セットを保有。日経新聞、日経産業などを印刷している。朝日の受託印刷開始までに、40ページうち16面カラーの設備を一セット増設する。

 朝日は昨年4月から、広島県向けの印刷を中国新聞福山制作センターに委託している。全国紙同士の委託・受託印刷としては、中国・四国地区での読売、産経両社の相互委託印刷がある。

日経は兵庫県向けの印刷を神戸新聞に委託

 日本経済新聞社と兵庫県に本社を置く神戸新聞社はこのほど、日本経済新聞の兵庫県向け委託・受託印刷について合意した。2006年12月から神戸新聞阪神制作センター(兵庫県・西宮市)で、日経の朝刊約10万部、夕刊約6万部を印刷する。日経の印刷委託としては13個所目だが、大都市(首都圏・近畿圏)近郊では初めて。一方、日経は神戸・デイリースポーツに木場工場(東京都江東区)を売却。1月1日付でデイリースポーツ社に譲渡され、春に印刷を開始する。印刷体制の再編を進める日経と、首都圏での印刷拠点を求める神戸・デイリー社の戦略が一致した。

 日経は「全国紙各紙が兵庫県での印刷を展開する中で、兵庫県向けの生産体制整備が課題となっていた。神戸新聞社とはかねてデイリースポーツ紙の受託印刷を通して関係もあり、今回の要請も気持ちよくお受けいただき感謝している」と説明している。

 神戸は「日本経済新聞社には、首都圏でのデイリースポーツの印刷を委託し、阪神・淡路大震災の折にも印刷支援をしていただいた。今回の受託は当社にとってもありがたい。全社を挙げて万全の対応をしていく」と説明している。

 神戸新聞阪神制作センターは、日経の受託印刷開始までに、48ページ24面カラーと40ページ24面カラーの2セット構成に改造する。日経は、委託によって神戸市内により新しいニュースを提供できるようになる。

 日経と神戸・デイリー社が木場工場の売却・買収で合意したのは、04年12月。新たに、デイリースポーツ東京本社工場として、これまで他社に委託してきた首都圏の印刷分をすべて新工場に移す。

 神戸は「東京に印刷拠点を得たことを糧にして、デイリースポーツをさらに飛躍させたい」と話している。

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今月の話題>>>

新聞協会は1月1日、次のような年頭のメッセージを発表した。
<会長年頭あいさつ>

 2006年の年頭にあたり、全国の報道関係者のみなさまに謹んで新年のごあいさつを申し上げます。

 私は昨年12月の臨時会員総会で新聞協会会長に選任されました。箱島信一・前会長が辞任されてからの2か月間、会長不在の状態が続いたことには協会を代表しておわび申し上げます。と、同時に、今後は新聞協会会長として、新聞界が現在おかれている厳しい難局に全身全霊をかけて立ち向かうことをお約束したいと思います。

 今、新聞界は外と内の両側から危機が押し寄せています。

 まず、昨年11月、公正取引委員会は、新聞業をはじめ5分野の特殊指定について、本年6月までに見直す、との方針を明らかにしました。これに対し新聞協会は、「新聞の再販制度と特殊指定とは一対のものだ」との立場から、「現行規定の維持を強く求める」との声明を発表しました。文字・活字文化の重要な担い手であり、民主主義社会の健全な発展に欠くことのできない新聞は、再販制度とそれを実質的に保障する特殊指定によって支えられています。新聞協会は直ちに「新聞特殊指定プロジェクトチーム」を再販対策特別委員会のもとに設置し、公取委に対し特殊指定見直し方針の撤回を迫っていきます。

 次は内なる危機です。

 前会長辞任の原因ともなりました取材記者の虚偽メモ問題をはじめ、昨年は、ジャーナリズムへの信頼を揺るがす、取材の基本、記者倫理が問われる事件が相次ぎました。

 繰り返しになりますが、新聞は民主主義社会を支える基盤であり、その成長の度合いをはかるバロメーターでもあります。しかし、「2005年 新聞の評価に関する読者調査」では、新聞を購読しない人が、30代、40代など中・高年層でも増え、はじめて全体の1割を超え、特に女性の「購読紙なし」の回答増が目をひきます。原因としては、景気動向のほか、ホームページや携帯電話などの情報携帯端末のウエートが増していることが考えられ、今回調査でも情報携帯端末から情報を得ている人は1999年調査の2倍以上となっています。一方で新聞への信頼度への好意的評価は前回調査から、わずかながら増えており、情報携帯端末からの情報等と比較し、信頼度の高いメディアとして新聞が位置づけられていることが分かります。それだけに、メディアスクラムいわゆる集団的過熱取材などで事件の被害にあわれた方や人権、プライバシーなどで読者の皆様からひんしゅくを買うような行為は厳に慎まなければなりません。

 国民の知る権利を行使する報道機関として自らの襟をただし、読者の皆様からの信頼を取り戻すべく、取材活動を担う記者への教育、さらには記者倫理の確立に向け、会員全社の総力をあげ、取り組んでまいります。このような努力を重ね、新聞倫理をより向上させることが、人権擁護法案などの政府によるメディア規制の動きを食い止め、自由な取材・報道活動の維持につながると確信しております。

 さて、世界に目を向けますと、各地で、依然としてテロ行為や武力紛争は相次ぎ、多くの尊い人命が奪われています。イラクでは、新憲法が制定されたものの、宗派・民族間の抗争は続いており、安定した政府の樹立に向け、イラク国民の苦しみは続いています。米国のブッシュ政権はイラク戦争の正当性をめぐり、米国内外の厳しい世論にさらされ、日本の自衛隊も撤退の時期を模索しながら派遣延長となりました。

 また、地震や津波、暴風雨など人知を超える自然災害の脅威や、鳥インフルエンザへの防疫態勢の強化など、先進国、発展途上国を問わず、人々の命と健康をどのように守り、地球温暖化にどう対応していくのか、国境を越えた取り組みが求められています。

 日本では、小泉首相率いる与党の圧勝となった総選挙を受け、一連の「小泉改革」が速度を増しています。国際協調の行方、産業構造の変化、少子高齢化の進展などを見据えたうえで、憲法、税制、年金など国の行く末を左右する問題についての幅広い国民的議論が必要です。また、マンションなどの耐震強度偽装や子どもを狙った犯罪が相次ぐなど、社会のセーフティネットへの信頼が大きく揺らいでいます。国全体が大きな曲がり角を迎えたこの時代、報道機関に課せられた使命は非常に重いといえるでしょう。

 本年も厳しい課題は山積みではありますが、昨年の新聞週間の代表標語であります「『なぜ』『どうして』もっと知りたい新聞で」に込められた読者の期待に応えるよう、会員各社の力をあわせ、努力してまいる所存です。

 新しい年が、明るい年となりますよう願うとともに、みなさまのご健勝と各社のご発展をお祈り申しあげ、年頭のごあいさつといたします。

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