NSK ニュースブレチン オンライン
2006年9月
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共同通信社が北朝鮮の平壌に支局を開設
――日本の報道機関で初、北朝鮮の友好国以外では世界で2社目

* 産経新聞社が150億円分の公募社債を発行――新工場建設費を確保のため
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51の新聞社が共同サイトを構築へ――各紙記事にもリンク

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51社が再雇用制度を導入――“仕事”の確保が課題
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共同通信社が北朝鮮の平壌に支局を開設
  ――日本の報道機関で初、北朝鮮の友好国以外では世界で2社目

 共同通信社は9月1日、北朝鮮の首都平壌に支局を開設した。日本の報道機関では初めて。核やミサイル、日本人拉致問題で注目される北朝鮮に取材拠点を置くことで、正確かつ客観的で質の高い報道を目指す。

 支局は朝鮮中央通信社の本社内に設置する。支局長は中国総局長が兼務する。常駐記者は置かず、必要に応じて記者が入国し、支局を拠点に取材する。支局では数人の現地スタッフが、支局長の指示を受けて情報収集などを行う。

 中国、ロシアなど北朝鮮の友好国以外の報道機関では、米AP通信の映像部門の子会社・APTNが、5月に平壌支局を開設している。

 平壌支局の設置により、共同通信の海外総・支局は41となる。共同通信は「動向が注目される北朝鮮の実情を内外に伝えることは報道機関の使命。現地から正確な報道に努める」とコメントしている。


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産経新聞社が150億円分の公募社債を発行――新工場建設費を確保のため

 産経新聞社は8月21日付の紙面で、150億円の無担保普通社債を9月に公募発行すると公表した。更新期を迎えている全国の印刷工場の設備投資に充てる。新聞社が公募で社債を発行し、一般投資家から資金を調達するのは異例。 社債の発行日は9月28日で、償還期間は5年。発行利率は、需要状況を勘案した上で、9月6日から20日までの間に決定する。

 日本格付研究所から、債券予備格付けと長期優先債務新規格付けで「BBB+」(トリプルBプラス)を取得した。格付け見通しは「安定的」。「フジサンケイグループの中核企業の1社で全国紙5紙の一角を占め、大阪地区では強い営業基盤を有する」などが理由とされた。

 産経は1987年から翌年にかけ、カラー印刷能力の増強に向け、全国の印刷工場で大規模な設備投資を行った。これらの設備が現在、更新時期を迎えている。

 新聞社は従来、経営の独立性を確保するため、外部資金の導入には抑制的で、株式の譲渡制限も日刊新聞法で明文化されているが、同社では「財務内容を積極的に開示し、透明性の高い企業として、市場や社会からの支持をもとに資金調達していきたい」と説明している。


 
51の新聞社が共同サイトを構築へ――各紙記事にもリンク

 全国47の新聞社が出資して設立するウェブサイト運営会社「全国新聞ネット」の発起人会が9月7日、都内で開かれ、国内外のニュースや観光、グルメなどの地域情報を掲載するポータルサイトを年内に公開することが発表された。新会社は9月中に設立される。

 新サイトは、ニュースや観光・グルメ情報など地方紙の持つ情報が一覧できるほか、各新聞社サイトの情報にリンクさせるハブの役割を果たす。併せて、各紙サイトの記事ページに、他紙の関連記事を自動で掲載させるシステムも開発し、地方紙サイトを相互に結びつける役割も担う。動画ニュースもふんだんに掲載。広告で収益を確保する。

 47社が出資するほか、コンテンツ提供などの形で4社が参加する。海外と全国ニュースは共同通信社が提供する。代表取締役社長には林憲一郎(はやし・けんいちろう)・元共同通信社デジタル事業担当局長が就任する予定。

 林氏は「競合するブロック紙、地方紙の大同団結は画期的」と話す。新サイトは、地方紙サイトの全国への発信力を強化してアクセス数を増やすことにより、各社の収益増を狙う。同氏は「結束してチャンスは生まれた。しかし、勝負はこれから。コンテンツを充実させ、ネット広告のロングテール部分まで取り込む営業努力が必要になる」と話している。

 
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靖国神社に報道陣800人――小泉首相参拝を取材、外国メディアも多数

 終戦記念日の8月15日、小泉首相は靖国神社を参拝した。首相の靖国参拝はその是非が国内外で大きな議論となっていただけに、取材に訪れた報道関係者は外国人記者を含め約800人に上った。時折雨の降るなか、多数の報道陣と小泉首相を一目見ようと集まった大勢の人々の熱気で、靖国神社は異様なムードに包まれた。

 15日早朝。靖国神社の門前では、すでに数100人の報道陣が一般参拝客に交じり、午前6時の開門を待ちかまえていた。国内の報道各社やロイターなど外国通信社に加え、中国、韓国メディアの記者の姿もあった。

 開門と同時になだれ込んだ報道陣は、報道関係者受付に長蛇の列を作った。並んだ報道陣は受付で、取材場所ごとに色分けされた取材証を名刺と交換で受け取る。神社側が指定した取材場所は3か所。

 それぞれ先着100人までと決められていた2か所は、受付開始後まもなく締め切られた。残りの報道陣は、人数制限の無かった場所に殺到。このころには、首相が7時半に首相公邸を出発し、同40分ごろには神社に到着するとの情報が、報道陣に伝わっていた。

 7時47分過ぎ。報道各社のヘリが何機も上空を旋回する中、モーニング服の小泉首相が本殿に姿を見せた。拝殿の前庭で待ちかまえていた一般の参拝客が、一斉に本殿が望めるさい銭箱付近に殺到。首相の参拝をたたえる「万歳」の声が境内に響き渡った。

 

小泉首相の靖国参拝は海外でも注目され、外国人記者の姿も目立った。

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51社が再雇用制度を導入――“仕事”の確保が課題

 新聞協会はこのほど、「再雇用制度導入状況調査」の結果をまとめた。それによると、調査に回答した新聞・通信・放送社のうち51社が、高年齢者雇用安定法の改正に対応し、何らかの形で再雇用制度を導入している。今後の課題には、「再雇用時の職場の開拓・確保」を挙げる回答が最も多かった。

 日本の新聞・通信社の多くは60歳定年制を実施しているが高齢化社会の到来に向け、国家的にさまざまな施策が実施されている。その一つがこの4月に施行された改正高年齢者雇用安定法。事業主に「従業員を65歳まで雇用する」措置を段階的に行うことを義務づけた。

同法の施行によって事業主は?定年年齢の引き上げ?定年制の廃止?継続雇用制度の導入――のいずれかを06年度から導入し、厚生年金の支給開始年齢の引き上げに合わせて2013年までに、段階的に雇用延長の年齢を引き上げなければならない。各事業主の実情に応じて全員を雇用しなくてもよい場合があり得ることを認めているが、その場合、労使協定で具体的、客観的な採用基準を定めなくてはならない。

今回の調査はこうした法改正を受け、各社の取り組み状況を把握するために実施された。調査に56社が6月1日時点で回答した。内訳は新聞・通信が55社、放送が1社。

 改正法への対応では「新たに再雇用制度を導入」した社は30社、「既にある再雇用制度を改定」した社は20社だった。これに加え、既存の制度を改定するとともに新制度を設置したのが1社となっている。

 再雇用者の選考基準については、「原則は希望者全員だが、選考基準を設けた」と回答したのが27社、「選考基準を設け、基準に合致した人のみ雇用する」が23社。一方、「選考基準は設けない」と回答したのは3社で、ほとんどの社が何らかの選考基準を設けている。

 主な基準は、「過去数年間(多くの社は2〜3年)の評価結果の平均」「産業医による健康診査で就労可能な健康状態であること」「一定の職能資格、考課、職位」などとなっている。

 雇用・契約形態は「嘱託社員」が最も多い。契約期間は各社とも基本的に「1年間」で、更新回数は「年金支給開始年齢まで」との回答が最多だった。退職前の有給休暇は、「すべて繰り越した」と回答した社が21社で多数。再雇用期間中の有給休暇が「ある」とした社が30社で、「20日間」が最も多い。嘱託社員には「賞与がある」と回答した社も多い。

 業務内容は、本人の希望と職場とのマッチング結果によるため「人によって異なる」と回答したのが最も多く、21社にのぼった。

 「職場は退職前と変えていない」と回答したのは16社。「経験を生かすため」「即戦力として活用」「後輩の育成に力を発揮してほしい」などの回答が多い。

 「退職前と変えている」との回答は5社にとどまった。「同じ職場からニーズがない」「残業があまりない職場、定型的業務に従事させている」などが理由に挙げられた。

 再雇用者用の職域・職場については、11社が「新たに開拓した」と回答。具体的には「夜勤のない印刷職場を新設」「従来の派遣、アルバイトを中止し、OBを採用する職場を増やした」などとなっている。

 今後の課題としては、職場の確保、職域の開拓を挙げる社が最も多かった。「希望職種と職場のミスマッチの解消」「2009年以降は、再雇用期間が5年と義務づけられるため、中長期的に職域、職場の確保を図らなければならない」といった点が指摘されている。

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