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2006年10月
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2006年度新聞協会賞決まる――編集部門4件、技術1件

* 2005年度の新聞事業は営業、経常、当期純利益が増加――営業費用の減少が貢献
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自殺した少年容疑者の報道でメディアの判断分かれる
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2006年度新聞協会賞決まる――編集部門4件、技術1件

 新聞協会は9月6日、2006年度新聞協会賞の授賞作として編集部門4件、技術部門1件を決定した。10月18日に岡山市で開催する第59回新聞大会式典で授賞式を行う。

経営・業務部門の授賞作はなかった。

 新聞協会賞は新聞界(通信・放送を含む)全体の権威と信用を高める活動の促進を目的に、1957年に創設された。編集、技術、経営・業務の各部門で顕著な功績があった新聞協会加盟社所属の新聞人に贈られる。

 今年は編集部門に52社76件(うち追加応募1件)、技術部門に3社3件、経営・業務部門に4社4件の応募があった。各部門の選考分科会での審議を経て、6日の選考委員会に編集部門4件、技術部門1件が選考分科会から上申された。選考委員会は上申通り5件に新聞協会賞の授与を決めた。

 受賞者と受賞作は次のとおり(敬称略)。

【編集部門】

〈ニュース〉

井上亮(いのうえ・まこと)
日本経済新聞社編集局社会部
=「昭和天皇、A級戦犯合祀(ごうし)に不快感」を記した富田朝彦・元宮内庁長官の日記・手帳(富田メモ)に関する特報

〈写真・映像〉

佐藤賢二郎(さとう・けんじろう)
毎日新聞東京本社編集局社会部(前写真部)
=「パキスタン地震」一連の写真報道

〈企画〉

向井康(むかい・やすし)
京都新聞社「折れない葦」取材班(代表)報道局社会報道部部長代理
=連載企画「折れない葦(あし)」

田代俊一郎(たしろ・しゅんいちろう)
西日本新聞社「検証 水俣病50年」取材班(代表)編集局次長兼文化部長
=「検証 水俣病50年」

【技術部門】

三上完治(みかみ・かんじ)
朝日新聞社(代表)製作本部システムセクションサブマネジャー
=ATOMシステム〜セキュアでオープンなトータルシステムの構築〜



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2005年度の新聞事業は営業、経常、当期純利益が増加――営業費用の減少が貢献

 新聞協会はこのほど、42社対象とした2005年度の新聞事業の経営動向に関する調査結果をまとめた。05年度の新聞経営は営業利益、経常利益、当期純利益の各段階で増益となった。売上高は、前年度比0.3%減の1,925,030百万円で、4期ぶりの増率を記録した前年度から、減率に転じた。営業費用も減率となり、1.1%減の1,822,203百万円だった。

 調査は新聞協会加盟の日刊新聞42社を固定サンプルとし、05年度決算を集計。売上高のうち、販売収入は0.4%減の1,019,317百万円。三期連続の減率となった。広告収入は1.9%減と減率に転じ、629,903百万円。その他営業収入は、3.7%増の275,810百万円で、増率傾向が続いている。

 営業費用は、人件費が1.0%減、用紙費が2.8%減、資材費が6.8%減と減少したのに加え、構成比率の最も高い経費も0.6%減と減率に転じた。

 利益動向をみると、営業費用が減少したことから、営業利益は15.7%の増率となった。営業利益に金融収支などの営業外損益を加減した経常利益も12.9%増と増率を維持。これに特別損益、法人税充当額を加減した当期純利益は87.0%増。

 貸借関係では、短期借入金が9.5%減、長期借入金が5.5%増。これらを合わせた借入金と売上高の割合を示す借入金対年商比率から、借入金への依存度をみると、13.68%となり、改善傾向を示している。

 自己資本は12.8%増と増勢を強めた。資本金が0.2%増、利益剰余金が13.2%増。自己資本比率は43.2%となり、4.1ポイント改善した。

 収益性諸比率の動向をみると、売上高営業利益率は5.34%、売上高経常利益率は5.74%で、売上高当期純利益率は4.29%。いずれの利益率も上昇している。企業の総合的な収益力を示す総資本経常利益率は4.95%に上昇した。

 
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「第13回新聞配達に関するはがきエッセーコンテスト」入賞作決まる

日本新聞協会はこのほど、「第13回新聞配達に関するはがきエッセーコンテスト」の審査結果を発表した。

同コンテストは、新聞配達の重要性について理解を深めてもらうため、1994年から実施しています。今年は、新聞への思いや、体験など、4,654編の応募があった。「大学生・社会人」「中学生・高校生」「小学生」の各部門で最優秀賞、優秀賞、審査員特別賞、入選を決定した。

 ここでは大学生・社会人部門の最優秀作を紹介する。

<大学生・社会人部門の最優秀作>

「僕は若いころ、『新聞屋さん』」

中村人生(なかむら・じんせい)43歳、岐阜県岐阜市

漁村で育った僕は、中学を出れば普通に漁師になるものと思っていた。村で一人、大学を目指すところまではきたが、家には先立つものがなかった。

 そんな時、先生が新聞奨学生というものがあると教えてくれた。配達をすれば学校に行ける、新聞社が授業料をみてくれるという。自転車で何百部も配った。眠いのはそのうちに慣れた。雨の日はつらかったが、晴れた日は四季の花がきれいで自転車をこぐのも気分が良かった。配達から帰るといつも店長の奥さんが朝食を作ってくれた。

 集金や新聞の勧誘も仕事のひとつだった。田舎から出てきて若かった僕は一軒家を訪問するには勇気がいったが、今思えば皆、優しく接してくれた。いつも留守の人は毎月新聞代を紙に包んで郵便受けに入れてくれていた。途中でお茶やお菓子をごちそうになることもあった。新聞の勧誘では、大学一年生の夏にコンクールで優勝した経験は、今の営業という仕事に大いに役立っている。口下手でも朴訥(ぼくとつ)でもいいから、純粋にいいところを一生懸命にアピールするのだ。

 僕は若いころ、「新聞屋さん」をしていたことを誇りに思うし、その経験には今でも感謝している。

※新聞奨学生とは、在学中は新聞配達を行うことなど一定の条件のもと、新聞社から奨学金を受け取る学生のこと。多くは、大学近辺の新聞販売店に斡旋される。

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今月の話題>>>
自殺した少年容疑者の報道でメディアの判断分かれる
  実名・写真掲載=「保護法益消え知る権利尊重」
  
匿名=「実名にする社会的利益ない」

 山口県周南市の徳山工業高等専門学校で女子学生が殺され、指名手配中の19歳の容疑者が自殺しているのが見つかった事件では、容疑少年の実名、顔写真を報じるかどうかで報道各社の判断が分かれた。新聞では読売、テレビでは日本テレビとテレビ朝日の二系列が、少年の遺体発見を機に実名報道に切り替え、顔写真も報じた。公立の図書館では、実名を掲載した読売などの閲覧を制限する動きも見られた。

 読売は「事件報道は実名が原則。しかし少年法六一条が少年の更生・保護のためにあることを重視し、少年事件では実名報道を自主規制している。今回は容疑少年の死亡で更生・保護の機会が消滅し、国民に正確な情報を伝えるという報道の使命が優先した」と説明する。

 このほか、死刑を科すこともできる年長少年(18、19歳)でもあり、社会的反響の大きい事件であることなども考慮。「保護法益が消えた以上、知る権利を尊重すべきだ。表現・報道の自由の束縛は最小限にしたい」と強調する。

 他の全国紙は匿名を継続した。

 朝日は2004年、少年事件で実名報道するケースを(1)少年の死刑が確定して、本人の更生・社会復帰への配慮が消える場合(2)少年が逃亡中で、一般市民への被害が想定される場合−−の2点と明確にした。「今回はいずれにも当てはまらない。容疑少年は指名手配中で、裁判で有罪が確定したわけではなく、死刑判決と同列に論じることはできない」と判断。

 毎日は「実名を原則とする成人の刑事事件とは立脚点が異なる」と説明する。同社の報道指針では、匿名を原則とした上で(1)新たな犯罪が予測される(2)社会的利益の擁護が強く優先する――ときなどは、実名報道もあり得るとしている。今回は「実名に切り替えるべき強い社会的利益は見当たらない」と判断した。

 一方、共同通信は、自殺により少年が「少年法の保護の対象から外れた」とはとらえる。その上で匿名の理由に(1)保護より社会的利益が優先される場合に当たらない(2)少年が弁明の機会を失っている――などの点を挙げた。「自殺の場合は匿名、と決めたわけではない。事件の重大性も考慮して判断する」。

 地元各紙も匿名を維持した。中国新聞は「少年法による保護の根拠がなくなったのだから、実名報道の原則に戻るべきだという意見もあった。しかし、慎重に議論して匿名を選んだ」という。

 山口県下関市で発行されている山口新聞は、逃走中で再犯の恐れが強い場合のみ例外とするとの立場から、匿名を続けた。「少年法の規定を踏み越える判断には至らなかった」という。

 テレビでは日本テレビ、テレビ朝日系列が実名、顔写真を報じた。テレ朝は「少年の死亡により保護・更生の機会がなくなったことや、事件の重大性を考慮した」という。日テレも同様の理由で実名報道に切り替えている。

 他系列は匿名報道を継続した。

 TBSは、少年法の目的は非行少年の保護全般にあるとの考え方に立ち、死刑が確定した少年も匿名とする。「殺人や自殺についての詳しい状況が確定していないので、死刑判決を受けた者を匿名とする場合よりもさらに厳しく判断した」という。

 NHKは「逃走中も新たな事件が引き起こされる恐れは低いことなどを総合的に判断し、匿名で報道していた」という。

 今回の問題を識者はどう見ているのか。

 ある刑法学者は「少年法は、未成年者の匿名性を保持し、保護することが、社会全体の利益になるとの発想に基づく。本人が死んだら保護する理由がなくなるというのは問題だ」と、実名報道に疑問を投げかける。

 また、あるメディア法学者は「少年法61条は少年の生存を前提とする。少年法を理由に匿名とするのは疑問だ。法規制とは別次元の、ジャーナリズムとしての自律的なルールや倫理の問題だと思う。報道機関はなぜ実名・匿名にしたのかという理由を、読者・視聴者にきちんと説明すること必要がある」と話している。

○少年法第61条

(記事等の掲載の禁止) 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であること推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

○新聞協会の少年法第61条の扱いの方針 1958年12月16日新聞協会制定

 少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの”親”の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし

1 逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合

2 指名手配中の犯人捜査に協力する場合

など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。

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