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2007年8月
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ライフライン情報欄を特設――中越沖地震

* 「新聞で視野広がる」――岡山市でNIE全国大会
* 新聞社の従業員数は全体で前年比2.6%減少、定年後再雇用が増加
* 第19回新聞製作技術展(JANPS2007)を開催(主催)
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盲学校生の写真展――ニュースパーク
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ライフライン情報欄を特設――中越沖地震

 7月16日午前10時13分ごろ、新潟県柏崎市、長岡市、長野県飯綱町(いいづなまち)などで震度6強を記録する地震が起きた。この地震は「新潟県中越沖地震」と名付けら、22日午後9時現在、死者10人、負傷者1842人にまで拡大した。地元紙の新潟日報や全国紙など新聞各社は、被害の状況を克明に伝え、生活情報欄を特設し詳細なライフライン情報を提供。緊急停止命令を受けた柏崎刈羽原子力発電所の耐震性や東京電力の対応なども検証する。読売は広報宣伝車を使い、柏崎市で「応援号外」を発行した。

 新潟日報は17日付夕刊から1面に、2004年の中越地震直後に掲げた「地震に負けず がんばろう!」のスローガンを再び掲げる。「災禍を乗り越える決意を新たに、被災地の皆様と心を一つにしていく」と被災地の地元紙としての決意を示した。

 17日付朝刊では2ページを「生活関連情報」に充て、ライフラインや病院、金融機関などの情報を掲載した。この日から連日、生活情報のページを設ける。同社の竹内希六(たけうち・きろく)取締役編集担当編集局長は「04年の中越地震の際、読者が一番知りたいのは生活情報だと身に染みて感じた。地震直後から情報提供に努めている」と話す。

 インターネットでも16日から、ブログ形式で災害情報を随時、更新して伝えた。市民からも被災地の情報を電子メールで受け付け掲載した。05年末の豪雪時以来の取り組み。同社情報文化センターは「緊急災害時に役立つメディアとして、今後もこうしたツールを活用していきたい」としている。

 全国紙も被災地の生活関連情報の提供に努めた。朝日は「中越沖地震 ライフラインの状況」「くらし応援します」などの見出しで情報欄を掲載。毎日も「サポート情報」の欄を設けた。

 読売は「震災掲示板」欄を特設した。関連地域の主要鉄道の路線図と道路図を掲載し、不通区間などを図示する。大きな被害を受けた柏崎市には17日、東京本社の広報宣伝車を派遣。川越工場で印刷した夕刊100部を避難所配布した。20日には、現地のボランティアによる被災者への激励を集めた「応援号外」を制作し、避難所などで3000部配布した。広報部員が現地で取材し、B4判1ページにまとめた。同社広報部では「被災者のために何ができるかを考え、社会貢献として取り組んだ」と話している。

 今回の地震では、柏崎市と刈羽村にまたがる柏崎刈羽原発で変圧器から出火、放射性物質を含む水の流出などが発生した。緊急停止命令が柏崎市から出された。原発沖の活断層は、今回の地震の震源になったとも指摘されている。しかし、原発の設計には考慮されず、耐震性の確保に疑問が投げかけられた。

 各紙とも、この問題の検証を進める。新潟の竹内氏は「原発の安全性が改めて問われている。生活の安心・安全の根幹にかかわる問題ととらえ、報道に力を入れる」と語った。

(写真あり・キャプション:避難所となっている柏崎小学校で地震の被害を伝える朝刊を読む被災者=17日午後:新潟日報社提供)

新聞で視野広がる」――岡山市でNIE全国大会

 第12回NIE全国大会は7月26、27の両日、「学びあい 世界を広げるNIE」を掲げ、岡山市の岡山コンベンションセンターで開かれ、全国から教育・新聞関係者ら約850人が参加した。文部科学省などが後援した。初日のパネルディスカッションで、高校生から「NIEで視野が広がった」との感想が出された。また、学校全体での取り組みには管理職がNIEへの理解を深めることが課題に挙げられた。2日目は、小中高の校種別に実践発表などが行われた。

 開会あいさつで新聞教育文化財団の北村正任(Kitamura Masato)理事長(毎日新聞社代表取締役社長)は「子供たちが新聞を読む習慣を身につけることは、生涯の情報ツールを手に入れることになる」と述べた。岡山県の門野八洲雄(かどの・やすお)教育長は「新聞は言葉の力を磨く宝庫だ。学力低下に、言葉の力が果たす役割は大きい」と話した。大会を主管する山陽新聞の越宗孝昌(こしむね・たかまさ)代表取締役社長は「県教育委員会と共催する初の大会となる。若い世代が新聞を通して社会や故郷に興味を持ち、関心を広げることが教育界、新聞界の願いでありNIEの原点だ」とあいさつした。

 続いて地元出身の作家で、教員免許も持つ重松清(しげまつ・きよし)氏が記念講演した。「若い世代は自分にとってあこがれの人を探したい欲求が強い」とスポーツ紙を活用したNIEで「ヒーロー探し」を提案した。

 パネルのテーマは「NIEの魅力再発見―−新聞を通して見えてきたもの」。岡山県NIE推進協議会の森川直(もりかわ・なおし)会長(岡山大学教授)をコーディネーターに、広田巨史(ひろた・まさふみ・倉敷市立倉敷西小学校教諭)、横田真智子(よこた・まちこ・同倉敷第1中学校教頭)、冨谷貴紀(とみや・たかのり・岡山県立岡山城東高校2年)、前田敦子(まえだ・あつこ・岡山県総合教育センター指導主事)、影山美幸(かげやま・みゆき・山陽新聞社記者)の各氏が登壇した。生徒のパネリストとしての参加は初めて。

 影山氏は、学校への記者派遣の経験から「子供たちは、情報には送り手がいることを学べたと思う」と話した。自身も、責任の重さなど学ぶことが多かったという。冨谷さんは理科の授業で新聞を活用した感想を「考えが深まり視野も広がった」と述べた。

 横田氏は今後の課題に、小中高の連携や管理職の理解を挙げた。

 前田氏は、記者に授業への助言を求めたいとする教師の要望も多いとして「記者派遣以外にも、学校との連携は可能か」と質問。影山氏は「要望があれば、コミュニケーションを強化したい」と応じた。
 会場からは「管理職へのNIEへの理解」「NIEの教育課程の位置付け」などをめぐり質問が相次いだ。

(写真あり:キャプション:パネルディスカッションでは、NIEの魅力を教師、高校生、新聞記者らが語り合った=7月26日、岡山市の岡山コンベンションセンター)


新聞社の従業員数は全体で前年比2.6%減少、定年後再雇用が増加

 新聞協会はこのほど、協会加盟の新聞・通信102社を対象に実施した2007年「従業員数・労務構成調査」結果をまとめた。102社の従業員総数は15年連続で減少し、前年比2・6%減の5,0911人だった。減少が始まった1993年以降では、05年の3・2%減に次ぐ減率幅(表1参照)。定年後の再雇用者数が大幅に増え、60歳以上の比率は0・6ポイント拡大した。

 【従業員総数】

 1992年をピークに減少が続く。98年からの10年では1万133人減少した。一方、女性は0・3%増加した。

                表1 従業員総数の推移         〈△=減〉

2003 2004 2005 2006 2007
総数 (人) 55,806 54,436 52,683 52,262 50,911
前年比増減 (%) - 2.3 - 2.5 - 3.2 - 0.8 −2.6

(注)新聞協会加盟の新聞・通信全社(07年は102社)を対象に集計


 【部門別従業員数・構成】(表2参照)

 部門別の従業員数がわかる詳細な回答を寄せた80社の従業員総数は48,069人で、人数が最も多い部門は「編集」(構成比で0・9ポイント拡大)の48・8%。以下、「営業」(同0・3ポイント縮小)、「その他」(同1・2ポイント拡大)「製作・印刷・発送」(同1・2ポイント縮小)、「統括・管理」(同0・1ポイント縮小)、「出版・事業・電子メディア」(同0・6ポイント縮小)の順で続く。

 6年連続で構成比が拡大していた「営業」が縮小に転じたほか、「その他」が「製作・印刷・発送」を上回った。

 10年間の推移では、「編集」が7・4ポイント拡大した一方、「製作・印刷・発送」が13・0ポイント縮小した。

 「編集」のうち、記者の総数は19,124人となり、7年ぶりに2万人を割り込んだ。女性記者は2631人で、構成比は記者総数の13・8%。前年より1・1ポイント拡大した。



表2  部門別従業員数・構成(80社)

人数 男性 女性
編集 23,441 (48.8) 20,212 (42.0) 3,229 (6.7)
製作・印刷・発送 4,947 (10.3) 4,781 (9.9) 166 (0.3)
営業 7,116 (14.8) 6,194 (12.9) 922 (1.9)
出版・事業・電子メディア 2,936 (6.1) 2,372 (4.9) 564 (1.2)
統括・管理 3,813 (7.9) 2,950 (6.1) 863 (1.8)
その他 5,816 (12.1) 5,534 (11.5) 282 (0.6)
総数 48,069 (100.0) 42,043 (87.5) 6,026 (12.5)
(注)かっこ内は、総数の(男女計)を100とした場合の構成比(%)

 【年齢段階別従業員構成】(表3参照)

 「55〜59歳」が最も多い。ただし、構成比は0・9ポイント縮小した。以下、「50〜54歳」「35〜39歳」「30〜34歳」と続く。20代以下と50代は縮小傾向が続いている。

 この10年で最も拡大した世代は40代で4・0ポイント増。次いで30代の3・0ポイント増。20代以下は5・7ポイント縮小した。

表3  年齢段階別従業員構成比率の推移(単位:%)

2003 2004 2005
2006
2007
社数 81 79 70 76 80
 20歳未満 0.0 0.1 0.1 0.1 0.1
20〜24 3.9 3.4 3.2 3.4 3.4
25〜29 11.5 11.1 10.5 10.3 9.9
30〜34 14.1 13.9 13.8 13.6 13.1
35〜39 14.9 15.4 15.3 15.1 15.4
40〜44 12.5 13.0 14.3 15.1 15.5
45〜49 10.7 11.3 11.7 12.1 13.0
50〜54 15.2 13.5 12.4 11.8 11.5
55〜59 15.6 16.3 16.7 16.7 15.8
60歳以上 1.7 2.0 1.9 1.8 2.4

 【採用・退職状況】(表4参照)

 2006年4月2日から1年間の新規採用者数は、男性923人(構成比68・2%)、女性431人(同31・8%)。年間採用率(在籍従業員に占める新規採用者の割合)は2・8%となり、前年から0・3ポイント増加した。

 一方、年間退職率(在籍従業員に占める退職者の割合)は、4・6%となり、前年から0・1ポイント増加した。

 

表4  新規採用者数と退職者数の推移

2003 2004 2005 2006 2007
社数 81 79 71 77 80
従業員数 53,488 51,761 49,523 49,668 48,069
(5,785) (5,695) (5,631) (5,919) (6,026)
新規採用者数 1,177 1,134 1,569 1,232 1,354
(292) (296) (350) (376) (431)
退職者 2,364 2,542 2,417 2,221 2,217
(282) (265) (248) (253) (271)
(注)かっこ内は女性の人数

【定年後再雇用者】

 男性1269人、女性31人の計1300人。06年4月2日から1年間の再雇用者数は530人となり、昨年の288人から大幅に増加した。部門別では「編集」が237人と最も多い。


19回新聞製作技術展(JANPS2007)を開催(主催)

 新聞協会は、11月6日から4日間、第19回新聞製作技術展(JANPS2007)を東京・有明の東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催(主催)する。日本新聞製作技術懇話会(CONPT:Conference for Newspaper Production Technique-Japan)が協賛。

 JANPSは新聞製作技術に特化した展示会として1972年から隔年で開催されている。新聞にかかわる最新の機器、システムを展示し、新聞製作工程の自動化、高速化、省力化、紙面品質向上などの牽引役を務めてきた。

 開催テーマは「より速く、広く、きれいに――進化する新聞技術」。過去最大の57社のメーカーが出展する。前回2005年は、21690人が来場した。今年も多くの来場が見込まれている。



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新研修センター完成――共同通信社が東京・佃に

 共同通信社の「研修・交流センター」が東京・佃に完成した。社員・加盟社の研修などに使用するほか、災害時は取材拠点としての役割も期待されている。

 センターは、延床面積5292.69?、地上4階建て。108人収容の会議室や、一般に開かれた文化施設「ニュースアートサロン」(写真)もある。

 加盟社や海外通信社との交流を深める場としても利用を促す。最大60人が宿泊できる。
 災害時の取材拠点として、建物は免震構造とした。自家発電機は全館の電力を3日間供給できる。食料などを蓄える備蓄庫もある。

 ニュースアートサロンは7月3日、一般にも無料で開放された。共同が撮影した報道写真が展示され、加盟49紙の過去1か月分の紙面を閲覧できる。電子掲示板システム「ふるさとタッチ新聞」もお目見え。45インチの大型モニターに触れると、記事が拡大でき、2紙を同時に表示できる。

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盲学校生の写真展――ニュースパーク
 昼寝中の弟の寝息を頼りに撮影した写真と点字付きの説明文−−。横浜市の盲学校に通う23人の子供が「ボクとわたしの好きなモノ」をテーマに撮影した84点の作品の一つ。横浜の新聞博物館(ニュースパーク)で7月3日から、展示されている(写真)。


 永井咲生(ながい・さき)さん(8歳)が撮ったのは1歳の弟。大切なカメラをいじられないように弟が寝るのを待ち、寝息を頼りにカメラを向けた。「弟への愛情が伝わってくる。心を打つ1枚」と、写真教室を開いた管洋志(すが・ひろし)カメラマンは語る。

 撮影期間は2週間。撮影にあたり管氏は「写真は心で撮るもの、技術的な指導はしなかった」と話す。写真が完成して撮影されているものを親に聞き、喜ぶ子供たちが忘れられないという。「春の江ノ島」「ゴールドな秋」などの題名と説明文も子供たちが考えた。

  日本写真家協会が展開する「写真学習プログラム」の一環。2004年の開始以来143校で約6700人を対象に写真教室を開いてきた。盲学校では初めての取り組み。

 写真展「kids photographers 子どもは天才」は8月26日まで。8月11日には、管氏と写真を撮った子供たちとのトークショーが開かれる。

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