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2008年5月
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春の新聞週間にPR活動を展開  新聞協会

* 新聞・通信社の電子・電波メディア現況調査まとまる--新聞協会 メディア開発委
* HAPPY NEWS 2007決まる
* 「取材源秘匿の意識不十分で公権力の介入招いた」と批判--供述調書漏洩問題で講談社第三者委員会が報告書
* 「個人情報の保護に関する基本方針の一部変更」に見解表明--新聞協会 編集委員会
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映画「靖国 YASUKUNI」で代表幹事談話を発表--新聞協会 編集委員会
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春の新聞週間にPR活動を展開  新聞協会


 日本新聞協会は、今年も4月6日の「新聞をヨム日」から1週間、春の新聞週間にさまざまなPR活動を行った。
 東京では、新聞協会が公開シンポジウムを開いたほか、横浜市の日本新聞博物館(NEWSPARK)でもイベントを実施した。全国各地では、新聞公正取引協議会の各地区協議会・各支部協議会を中心に、街頭の大型ビジョンでコマーシャル・メッセージを放映したり、試読紙を配布し購読を呼びかけるなどのPR活動を展開した。このうち東京地区協議会は7日、東京・有楽町の交通会館前で、一般紙6紙、スポーツ紙6紙の試読紙計3,600部を地域貢献大賞のPR冊子や葉書エッセイコンテスト入選作品集などとともに配布。「地域社会を支える新聞販売店」をテーマにした写真パネルの展示も行った。

 4月6日午後1時50分から、東京・一ツ橋の一橋記念講堂で開いた公開シンポジウムでは、作家の瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)氏の講演「源氏物語千年紀」に続き、「もし、新聞がなくなったら〜混迷時代の座標軸」をテーマにパネル討論が行われた。

 「ヨム日」に先立ち4月3日には、「HAPPY NEWS 2007」の表彰式が東京・内幸町のプレスセンターホールで開かれた。大賞受賞作などキャンペーンの結果や、女優でキャスターの小林麻央(こばやし・まお)さんのインタビューなどを掲載したタブロイド判12ページの「HAPPY新聞」は、各地で試読紙とともに配布された。

 横浜市の新聞博物館(NEWSPARK)では12,13の両日、入学式のデジタル写真データを持参した来場者に対し、入学式の写真と感想を掲載する「入学おめでとう新聞」の製作体験を提供した。6日午後1時からは、開催中の企画展「風刺漫画の父 近藤日出造の世界展」に関連し、漫画家のヒサ・クニヒコ氏による講演会を開いた。


新聞・通信社の電子・電波メディア現況調査まとまる--新聞協会 メディア開発委

 新聞協会のメディア開発委員会は3月27日、2008年「新聞・通信社の電子・電波メディア現況調査」結果を発表した。
 結果概要によると、複数の社が共同で運営する合同サイトは9団体が10サイトを設け、前回調査(07年1月)の6団体6サイトから増えるなど、新聞・通信社の連携の動きが広がった。動画による情報発信体制を強化する展開も目立ち始めた。

 調査時点は1月1日だが、合同サイトの数には1月末に日経・朝日・読売インターネット事業組合が開設したニュースサイト「新s あらたにす」や、日本地域紙協議会が2月に立ち上げた「日本列島ふるさと新聞」を含む。これには、いわき民報、桐生タイムス、南信州、市民タイムス、夕刊三重、南紀州、島根日日の7社が参加している。

 各社の連携は携帯サイトやデータベース提供事業でも見られる。携帯サイトでは、紀伊民報、神戸、山陽、中国、徳島、四国、高知、大分合同の8紙が共同運営を行う「釣りタイムズ」が07年10月にサービスを始めた。地元紙ならではの豊富な釣り情報を有料で提供する。

 データベースサービスでは4月1日から、朝日、日刊工業、時事の3社が共同でビジネス情報検索サービス「キジサク」を始めた。
 動画は前回調査と同様、42社がウェブ上で提供する。北海道が動画取材を本格化させ、中国なども取材記者が動画の撮影を始めた。取材記者が映像取材を行う傾向が目立ち始め、映像報道部の新設といった機構改革なども行われている。このほか、沖縄タイムスは大学生が制作した映像作品を期間限定で配信した。

 今回から調査に加えたQR(Quick Response)コードは、23社が実施していた。紙面等にQRコードを掲載、そこから直接、動画や音声コンテンツに誘導したり、本紙に掲載できなかった情報を提供する社が多い。

 データベース提供事業に参入しているのは、10社増の48社。既にデータベースを公開している社は、提供先を増やすなどサービスの拡充も見られた。

 ブログを開設した社は8社増え37社となった。双方向性をいかし、コメントやトラックバックをほぼすべての社が受け付ける。SNSは8社が実施。このうち広告を掲載しているのは5社。また1社がSNSサイトの一部を課金している。サイト更新情報を随時配信するRSS(Rich Site Summary)を公開しているのは、10社増の36社に上る。

 一方、05年に日本で急速に広まったポッドキャスティングについては、3社が撤退し1社が参入。この結果、実施しているのは10社となった。

 この調査は1997年以降、毎年1月1日現在で新聞協会加盟新聞・通信各社の電子・電波メディアへの参入状況などを尋ねている。88社から回答を得た。

 

HAPPY NEWS 2007決まる

 読者から「新聞で見つけた幸せな気持ちになった記事」とその理由を募集した新聞協会のキャンペーン「HAPPY NEWS 2007」の表彰式が、春の新聞週間に先立つ4月3日、東京・内幸町のプレスセンターホールで開かれた。大賞一点を含む「HAPPY NEWS」十点、「HAPPY NEWS小学生」、同中学生、同高校生の計九点と、人々に幸せを届けた同HAPPY NEWS PERSON一人を発表した。

 表彰式ではプレゼンターの真鍋(まなべ)かをりさん(写真右端)が、大賞に選ばれた兵庫県伊丹市(ひょうごけん・いたみし)の多久和勲(たくわ・いさお)さん(69)=中央右=、「PERSON」に決まった岐阜県御嵩町(ぎふけん・みたかちょう)の森島豊(もりしま・ゆたか)さん(79)=中央左=に表彰状やトロフィーを手渡した。

 大賞の多久和さんが応募したのは毎日新聞の記事「父の背追い消防士に」。阪神大震災の直後、家族を残して救助活動に向かった父に反発心を抱いていた次男が、父と同じ道を志し、消防学校への入校を決めるまでの経緯を伝えた。

 多久和さんは「心の中に明るい灯のともる思いのした記事だった」などとコメントを寄せた。警察官だった多久和さん自身、震災当日に家族を説得し職場に向かった経験を持つ。

 「PERSON」の森島(もりしま)さんは精肉店を営む。近くの高校生に、学校のテストで、80点以上の答案1枚につきコロッケを2個プレゼントしている。

 時にはコロッケを買いにくる高校生に自ら数学や漢字の問題を出すこともあるという森島さん。「学生にはもっと勉強してもらいたい」と語った。

 応募総数は、昨年を約1,300件上回る10,357件。半数を超す6,633件が、高校生以下の年代の応募だった。

 選考にあたった「新聞メディアの強化に関する委員会」の滝鼻卓雄(たきはな・たくお)委員長(読売東京)=写真左端=は「受賞作品が朝の情報番組で取り上げられたり、書籍が出版されたり、新聞以外のメディアにも関心を持ってもらえるようになった。HAPPY NEWSの輪が広がってきた」と語った。

 全入賞作品は、新聞協会のウェブサイト(http://www.readme-press.com)で読むことができる。


 



取材源秘匿の意識不十分で公権力の介入招いた」と批判--供述調書漏洩問題で講談社第三者委員会が報告書

 奈良県の医師宅放火殺人事件で逮捕された少年の供述調書を引用した書籍の出版をめぐり、供述調書を漏えいした精神科医が秘密漏示罪で逮捕・起訴された問題で、取材・出版の経緯を検証した講談社の第三者調査委員会は4月9日、「取材源秘匿の意識が不十分」で「公権力介入を招いた。表現の自由に悪影響を与えた社会的責任は大きい」とする報告書を公表した。これを受け講談社は社内に出版倫理委員会を設け、倫理意識の向上やチェック機能を強化すると表明した。

 第三者委は奥平康弘(おくだいら・やすひろ)東大名誉教授を委員長に、5人で構成する。2007年12月以降、草薙厚子(くさなぎ・あつこ)氏と鑑定医、講談社の関係者ら計15人から約30時間に及ぶ聞き取り調査を行った。

 報告書は、鑑定医への取材や調書の入手については「問題は見あたらない」とした。しかしながら調書の利用方法では、同医師と、入手交渉をした草薙氏、週刊誌取材班との間で、1.コピー禁止2.直接引用の禁止3.原稿の事前確認――の三点に関する合意があったと認定した。

 ところが、書籍の編集者は、調書の入手・公表に当たっての約束事を確認しなかったと指摘。調書を直接引用し、原稿の事前確認も行わなかった。取材源との約束をすべてほごにしたことは「出版倫理上の重大な瑕疵(かし)がある」との考えを示した。

 調書の内容を大量に引用する一方、筆者・書籍編集者らの取材源の秘匿への認識・対応は「無防備・無理解」だったと批判した。「取材源を絶対に守り抜く、あるいは守ることが絶対的に優先されるべきだという強い意志に欠けた」。具体的には調書だけに依拠した取材や、調書の入手を強く印象付ける本の記述や装丁・帯を挙げ「取材源割れの危険性を高めるとの認識が決定的に欠けている」とさえ述べた。

 こうした「出版社と筆者の脇の甘さ」が、取材源の逮捕・起訴という公権力の介入を招いたとし「出版界、日本の表現の自由の保障において、悪影響を与えた」と指摘した。それにもかかわらず「公権力の介入に対する批判に終始し、責任をもっぱら権力側に転嫁している」として、講談社の対応には真摯な反省が見られないとした。

 第三者委の報告を受け、講談社の中沢義彦(なかざわ・よしひこ)常務取締役らが記者会見を開いた。問題となった書籍「僕はパパを殺すことに決めた」草薙厚子著の出版に「意義はあった」との認識を示した。情報源の精神科医が、少年の精神鑑定を担当した崎浜盛三(さきはま・せいぞう)医師であることも明らかにした。

 同医師が第三者委の聴取に対し「調書を見せたことは後悔していないが、見せる相手を間違えた」と述べたと報告書に記載されたことについて、中沢氏は「最も厳しく受け止めた」と述べ改めて謝罪した。

 再発防止に向け設けられる出版倫理委は、編集総務局の担当役員を委員長に、法務部長、出版局長ら10人で構成する。法務知識や取材ルールなど出版倫理にかかわる研修会を定期的に開く。「高度な判断を要する案件」は、各出版局長からの報告を受け、顧問弁護士の助言も踏まえ審議し、適切に指導する役割も担う。

 社内委員だけで構成することについて、渡瀬昌彦(わたせ・まさひこ)広報室長は「自らを検証し、律していく精神の表れだ。社内の自由な表現活動も担保しなければならない」と説明した。


個人情報の保護に関する基本方針の一部変更」に見解表明--新聞協会 編集委員会

 日本新聞協会編集委員会は4月25日、「個人情報の保護に関する基本方針」一部変更の閣議決定に対し、変更内容は不十分であり、抜本的な見直しを求める見解を表明した。

 今回閣議決定された変更内容において、新聞協会が再三にわたり求めてきた保護法への過剰反応、情報隠しの問題に対する具体的な措置はとられず、現状が改善される見込みがないことから、報道機関への情報提供は法の適用除外であり、社会にとっても有用であることが広く理解、徹底されるよう法改正をも視野に入れ抜本的に見直すよう求める見解を表明した。

 個人情報保護法は、2005年の全面施行後3年をめどに見直すことになっており、内閣府の国民生活審議会個人情報保護部会を中心に見直し作業を進めてきた。新聞協会は、官公庁をはじめ、病院・消防・学校などの公共機関、一般企業など各分野での「個人情報」の扱いの変化の調査の実施や、意見書を提出するなどして、過剰反応や官の法の名を借りた情報隠しなどの問題点を指摘し、実効ある具体的な措置を講じるよう求めてきた。今回の基本方針一部変更案についても、2月15日に内閣府に意見書を提出していた。

 新聞協会は個人情報保護法施行以降、06年4月7日、同年10月20日、07年7月3日、08年2月15日の4回にわたって意見を表明している。



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厳戒態勢下、長野で聖火リレー 


 北京五輪の聖火リレーが世界各国を回る中、各地で中国のチベット問題への対応に抗議しようとする人々とそれを阻止しようとする人々で混乱が生じた。

 日本では、冬季五輪が行われた長野市で4月26日に聖火リレーが行われたが、直前になって出発地点に予定されていた善光寺が出発地点となることを辞退し、ルートが変更されるなど日本でも混乱が広がった。国境なき記者団のメナール事務局長も抗議行動のために来日して注目が高まり、リレー当日は、多くの報道陣が詰め掛けた。地元紙・信濃毎日新聞社は午後1時20分から、長野駅周辺など県内10個所で「長野の沿道混乱」の号外1万1500部を配布した。

 長野でのリレーには3000人規模の警官が動員された。聖火と走者を中国が派遣したフレームアテンダント2人と5人の機動隊員が囲み、多数の警官も二列で伴走する厳戒態勢ぶりだった。

 取材場所は、善光寺に替わり出発地点となった県勤労者福祉センター跡地、エムウェーブ、ゴールの若里公園の三か所に設けられた。長野市実行委員会によると、取材申請は80団体・300人に上った。取材者には実行委が配布するゼッケンと、自社腕章の着用が義務付けられた。

 走者の前を走る自動車への乗車は写真、テレビそれぞれ一社の代表取材に。共同とNHKが担当した。航空取材も長野県・同県警、長野市から要請を受け、報道側で取材方法を協議。写真、テレビともそれぞれ一社による代表取材とした。読売と東京、TBSと日本テレビが交代で担当した。

 一般客の入場が禁止された県勤労者福祉センターの外側の沿道は、開始前から赤い国旗を振る中国人留学生であふれた。沿道は中国人留学生とチベット解放を訴える人々、警官、報道陣で埋め尽くされた。長野駅前は中国人留学生たちとチベット解放を訴えるグループがにらみ合う。人が動くたびに機動隊、警官が割って入り、一触即発の状態が続いた。

 10時前、メナール氏が長野駅前に姿を見せる(写真)。駅構内で「手錠の五輪マーク」を描いた旗を広げた。JRの職員がすぐに制止。同氏は支援者らと若里公園に向かう。11時過ぎ、公園内でチベット解放を訴える一団に加わった。取り囲んだ報道陣に対し「チベットを支援する人がこんなに多いとは思わなかった」などと語った。

 リレーは午後零時半過ぎに終了。長野県警によると、若里公園には5000人、沿道には8万人が詰め掛けた。レース中の妨害行為などで5人が逮捕、中国人留学生など4人が負傷し病院に搬送された。

「JR長野駅で中国に抗議する国境なき記者団の
メナール事務局長。すぐに駅職員から制止された」

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映画「靖国 YASUKUNI」で代表幹事談話を発表--新聞協会 編集委員会


 靖国神社を題材とした日中合作のドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」(リー・イン監督)の上映中止が相次いだ問題を受け、編集委員会の斎藤勉(さいとう・つとむ)代表幹事(産経東京)は4月3日、「表現活動が萎縮する社会にしてはならない」とする談話を発表した。また、民放連の堀鉄蔵(ほり・てつぞう)報道委員長(名古屋テレビ)が「極めて深刻で憂慮すべき事態」と述べたほか、日弁連、日本ペンクラブ、日本映画監督協会などからも、表現の自由への影響を危ぐする声が上がった。

 斎藤代表幹事氏の談話は、上映中止の事態が生じたことを「残念でならない」とし、「映画の内容をどう評価するかは個々人の問題であるが、その評価、判断の機会が奪われてしまうことは、表現・言論の自由を擁護する立場から看過できない」と述べた。

 この映画をめぐっては自民党の稲田朋美(いなだ・ともみ)衆院議員らが、文化庁所管法人「日本芸術文化振興会」から助成金が出ていることを問題視。3月12日に全国会議員対象の試写会が開かれていた。

 この試写会を受け、週刊誌が「反日映画」などと報じたため、上映を予定していた映画館が右翼から抗議を受け、4月12日から上映予定だった映画館5館が3月末までに中止を決めた。大阪市内の1館だけが5月10日から上映する。

 新聞協会はじめ各団体からは声明、談話が相次いだ。民放連の堀氏は「言論・表現にかかわる創作物を個々人が享受し、論評・判断する機会が奪われることがあってはならず、健全な民主主義の実現に逆行する」と述べた。

 日弁連の宮崎誠会長は「関係機関に対し、表現の自由を最大限尊重するよう求める。映画関係者には、不当な圧力に決して萎縮することなく、毅然とした態度で臨まれるよう要請する」と述べた。ペンクラブも「言論の自由や集会の自由をはじめとした民主主義社会を支える精神的自由の重要性と、そのための公共言論空間を社会として守る決意」を訴えた。

 映画監督協会は「一部の国会議員が文化庁を通して特別に試写を要求した行為とその後の言動に強く抗議する」と表明。このほか日本ジャーナリスト会議、日本マスコミ文化情報労組会議などが声明を出した。

 その後、自民党の有村治子(ありむら・はるこ)参議院議員が、出演者の刀匠が自分の出演部分を削除して欲しいと言っているなどと国会で質問、靖国神社も撮影許可をしていないなどとして映像の削除を求める動きがある中、5月から公開されている。

 

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