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「ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会報告書素案」に対する意見書

2010年6月22日

総務省情報流通行政局
放送政策課        御中


社団法人日本新聞協会
 メディア開発委員会
    


 ラジオは1925年の放送開始以来、新聞とともに国民の知る権利に応える報道機関として、社会的・公共的役割を果たしてきた。特に地域や生活に密着した情報を伝える音声メディアとしての役割は、デジタル化の時代を迎えても本質的に変わることはない。
 メディア環境の激変に伴い、経営が困難さを増し、将来展望が描きにくくなる中で、今回、「ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会」がV-Low帯の周波数を利用するマルチメディア放送において、アナログラジオのサイマル放送を認める方向を示したほか、音声優先セグメントを設けて、今のラジオの役割を引き継ぎ、さらに発展させるとの考え方を打ち出したことをメディア開発委員会は評価する。

 そのうえで、マルチメディア放送においても多様で健全なジャーナリズムが展開されるとともに、同放送が早期に普及することによって国民の情報生活が豊かになるよう、下記の点に留意することを求めたい。

 マルチメディア放送のサービスイメージとして挙げられている「電子新聞」に関しては、その内容に、放送番組にかかる規律が一律に適用されることに危惧を抱く。番組編集準則などの内容規制や放送番組審議機関の設置など行政機関の言論・報道機関への介入を招きかねない規定は排除されるべきである。

 また、マルチメディア放送は、ハード、ソフト事業ともに、ゼロからのスタートとなる。放送ができるだけ早く、広く普及し、利用者の利便が向上するように、国として可能な支援を検討しつつ、事業の参入や運営にあたっての規制を設ける場合には、最小限にとどめるべきである。

 「研究会」は、放送対象地域(免許)と事業区域を分ける考え方を示した。1事業者が複数の放送対象地域で放送できれば、経営基盤の安定確保に資すると思われることから、これを実現するため、マスメディア集中排除原則は大幅に緩和すべきである。

 なお、地上アナログ放送のデジタル化によって利用が可能となるマルチメディア放送は、国民の関心も高く、公益性の強いサービスである。ツリー図による見出しと若干の記述のみで構成された報告書素案は、マルチメディア放送全体のイメージをつかむには、説明不足の感は否めない。パブリックコメントは、広く国民の意見を求めるために実施するものである。意見募集の対象については丁寧な説明が必要であり、十分な検討を行うためのゆとりある募集期間が望まれる。

以  上 
 

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