1. トップページ
  2. 声明・見解
  3. 総務省「NHKのインターネット実施基準ガイドライン案等」に対するメディア開発委員会の意見

総務省「NHKのインターネット実施基準ガイドライン案等」に対するメディア開発委員会の意見

2014年10月29日

 「『放送法施行規則の一部を改正する省令案』及び『放送法第20条第2項第2号及び第3号の業務の実施基準の認可に係る審査ガイドライン案』に対する意見募集」に対する日本新聞協会メディア開発委員会の意見

 日本新聞協会メディア開発委員会は、今般総務省が示した標記審査ガイドライン案に対して、下記の意見を述べる。

 当委員会はかねて、放送法の理念の下、地上放送と衛星放送の視聴者から受信料を徴収する現行制度と整合性をとってNHKがインターネットを利用することを容認してきた。あくまで放送の補完として行い、民間による市場の自立・発展を妨げず、受信料を支払う視聴者に不利益をもたらさないならば、メディアの多様性、多元性を担保しつつ、国民の情報選択に資すると考えている。

 貴省「放送政策に関する調査研究会」(放政研)が昨年、NHKのインターネット活用業務に関する報告書をまとめた際は、実施検討基準として「公共性が認められること」「放送の補完の範囲にとどまるものであること」「市場への影響の程度」の3点を示したことについて、国民の情報選択とメディアの多様性をともに確保する基準であることから、評価した。

 今回示されたガイドライン案についても、研究会の実施検討基準を踏襲して「(受信料など)経営資源を流用し、同種のサービスを行う民間競合事業者よりも不当に有利な条件で提供する等、民間部門との公正な競争を阻害するようなものでないことが必要」と明記し、「民間で既に実施されている同種サービスの市場の規模、シェア等を勘案して、インターネット活用業務が市場の競争を阻害するようなものとなっていないことが必要」と指摘したことは評価できる。

 さらに、「当該(インターネット活用)業務が、受信料制度の趣旨との整合性を十分に踏まえたものとなっていることが必要」と指摘していることも評価する。NHKがインターネットを介して不特定多数のネットユーザーに無料放送や無料情報を提供することは、受信料負担の公平の観点からも厳しく抑制されるべきである。

 一方で、ガイドライン案は、具体的な審査項目を示すことを目的としていながら、判断に用いる指標や、その指標における数値目標が全く定められていない。これには、NHKのインターネット事業の野放図な拡大を招きかねないとの懸念を抱かざるを得ない。総務省の事後審査の透明性を担保する意味でも、項目ごとに指標や適正な数値目標を定めるべきである。

 例えば、「民間で既に実施されている同種サービスの市場の規模、シェア等を勘案して、インターネット活用業務が市場の競争を阻害するようなものとなっていないこと」の審査項目では、適正な市場シェアとはどのような指標において、何パーセント程度を念頭に置いているのか、具体的に示す必要がある。

 同様に、「業務の実施に過大な費用を要するものでないこと」の審査項目では、適正な支出規模とはいくらであるのか。民間企業では、事業計画でユーザー数と収支を想定する。受信料財源の何パーセントという上限に加えて、事業ごとにユーザー数と収支を想定した審査基準を設けることを求める。

 ガイドライン案では、収支計画の作成及び公表、収支実績の作成及び公表が定められ、事業の透明性確保を求めている。これらについては、NHKの関連団体等が当該事業に関係する場合は、NHK本体と同様、収支計画と収支実績の作成と公表を求める。

以 上

ページの先頭へ