新聞協会メディア開発委員会がこのほどまとめた2003年「新聞・通信社の電子電波メディア現況調査」によると、回答があった80社中79社がウェブサイトを開設、情報提供サービスを行っている。ほとんどが無料。
動画コンテンツを提供しているのは17社。前回調査以降、6社増えた。また、「携帯電話等向け情報提供」を行っているのは53社で、この3年間で倍以上に増えている。料金代行徴収がビジネスモデルとして確立しているほか、若者層へ情報提供する強力なツールとして利用されているからだ。
調査は1998年以降、毎年1月1日現在で実施、各社の電子・電波メディアに対する考え方や参入状況等を尋ねている。
調査を通じて各社はインターネット事業をビジネスとして確立させるため、コンテンツの有料化やサイトの会員制度の導入などを模索していることが明らかになった。
こうしたなか、朝日新聞社は3月3日からホームページ内の会員制のサイト「クラブA&A」の有料化に踏み切った。現在の登録会員は2000人。今後魅力あるコンテンツを提供し、会員数の増加を目指す。
背景にはインターネット事業における広告収入の減少もある。広告費統計によると、日本におけるインターネット広告は拡大傾向にあるものの、今後新聞社が広告収入だけでサイトを運営することは難しくコンテンツの有料化が必要との見方が強い。
朝日の「クラブA&A」は1999年10月、無料でメールアドレスを取得できるサービスとしてスタートし、広告収入を柱に運営してきた。会員数は23万人に達していた。
会員に有料化を告知した結果、開始時点2000人が有料会員に移行。旧会員のうち9万人が残った。この9万人は8月末まで部分的に一部のサービスを利用できる。
新規の有料サービスは、月額500円。基本料金でニュースダイジェストなどを閲覧できる。このほか、追加料金でネット連載小説も購読できる。
朝日新聞の担当者は「利用者は突然の有料化に戸惑ったと思うが、有料にふさわしいコンテンツの在り方を検討し、充実を図りたい」と話している。
有料化に踏み切った理由については「広告不況で赤字が続いており収益体質の改善のためだ」と説明。「現段階の有料会員は2000人でビジネスとしては厳しいが、2003年度の目標会員数は1万人。旧会員への無料サービスが終わる9月以降が勝負だ」と話す。
その他の全国紙は「会員制サービスそのものを有料化する段階ではない」とするものの、「オプションとして有料化できるコンテンツを探したい」「インターネットでは無料で速報するという基本路線は維持したい。有料コンテンツは、読者の情報ニーズをつかみながら検討し年内をめどに始めたい」と話すなど、いずれはニュース自体を有料化したいという。