社員が変わる 新聞活用のすすめ社員が変わる 新聞活用のすすめ

企業も社員も、社会への感度を高める

日本能率協会 経営人材センター センター長  近田 高志こんだたかし

新たな事業を生み出し成長するには

 われわれの調査によると、現在企業が抱える共通の経営課題として「成長」が挙げられます。社会の価値観が大きく変わる中、多くの企業が従来の事業を継続しても成果が上がらないといった経験をしています。そのため、新たな事業や商品、サービスを生み出し、収益を高めながら成長することが求められています。

 成長のカギを握る「組織の力」は、かつては社員の能力や保有する設備などを意味していました。今後はこれに加え、企業が外部組織や社会とつながることで得られる相乗効果によって、いかに新しい価値を生み出せるかが求められています。企業は社会との関係性を築く力をつけていく必要があります。そうした意識を経営者だけでなく社員が理解し、行動することが大切です。新たな価値の創造のために、個人の成長と組織の活性化に加え、社会の信頼を得られる事業を展開できる企業が成長していくのだと考えます。

新聞を横断的かつ継続的に読む

 最近の若者は、自分たちの会社がどのように社会に貢献しているかを重視する傾向にあります。そのため、日常のコミュニケーションの中で、自分たちの仕事の意味や、社会的な意義を言葉にして伝えていくことが大切です。また、業務を遂行する力はもちろんですが、自分の考えを持った上で、異なる考えを持った人の立場に立って想像し対話する力が現場で求められています。実際にそうしたコミュニケーション能力を養う研修のニーズが高まっています。

 今後、企業が個人の成長、組織の活性化、社会との関係を同時に満たすためには、アンテナをしっかりと立てて情報をキャッチすることが求められます。つまり、「社会への感度」を高めるということです。そのためには、自分の興味・関心以外の情報にも目を向けることが大切です。アイデアとはそういう場所に眠っているものです。

 また、組織内、あるいは社会との関係を円滑にするためには、社会のさまざまな事象についての共通認識や理解が必要です。横断的かつ継続的に情報を自分の中にストックしておくことで、さまざまなつながりを類推できるようになります。それは、豊かな想像力を得るということです。そうした知恵が、社会と関わる「きっかけ」や、組織における課題の発見につながるのです。その意味でも、新聞を読むことは大変有意義です。そして、いかに全体に目を通して読むか、継続的に読むかということがポイントです。そうすることによって、さまざまな情報を結びつけ、社会の潮流を捉えることができるようになります。新聞を読むことはビジネスの土俵に乗る上で、基礎的な素養の一つなのではないでしょう

  • 日本能率協会(JMA)
  • 1942年設立の一般社団法人。マネジメントに関する調査・研究、情報の収集・提供、人材の育成・指導など、 企業等の経営上の課題解決の支援を行っている。会員数は1338社(2017年11月現在)。