2011年度 新聞広告クリエーティブコンテスト

2011年度「新聞広告クリエーティブコンテスト」結果発表

 日本新聞協会広告委員会が「仕事」をテーマに実施した今年度の「新聞広告クリエーティブコンテスト」に1,403作品のご応募をいただきありがとうございました。本コンテストは、プロ・アマ問わず若いクリエーターの皆さんに、新聞広告の可能性を広げるような独創的で斬新な作品を作ってほしいとの趣旨で実施しています。クリエーターの副田高行、一倉宏、児島令子、佐藤可士和、服部一成、前田知巳の各氏と新聞協会広告委員会の大橋善光委員長、松本肇、中山晴久、児嶋昭の各副委員長の10人による審査会を経て、最優秀賞をはじめとする5賞6作品を決定しました。最優秀賞の「頑張れ、父ちゃん。」は、審査員から「仕事という概念がなかったころをユーモラスに表現した」「日本の広告に欠けているウィットを感じさせる作品」「あらゆる仕事の普遍性を感じる」と高く評価されました。

 また、審査会では、「今回は入賞作品以外も質が高く、そうした作品も多くの人に見てもらいたい」との提案があり、入賞6作品と最終段階まで審査に残った11作品の計17作品を10月15日から27日(日・祝のぞく)まで日本プレスセンタービル1階(千代田区内幸町)で展示します。入賞作品は従来通り、日本新聞博物館(横浜市中区)で11月から展示します。

入賞作品 テーマ:「仕事」

※画像をクリックすると拡大されます。
[略号凡例]
CD:クリエーティブディレクション AD:アートディレクション C:コピー D:デザイン Ph:フォト
最優秀賞
受賞者「頑張れ、父ちゃん。」
山川力也さん(たき工房)
CD・C= 山川力也さん(写真左)
AD= 小林秀彰さん(たき工房/写真中央)
伊藤健介さん(たき工房/写真右)


○コメント
生きていくために、働く。家族を養うために、働く。突きつめると「仕事」って、そういうことだと思うんです。きれいごとは言いたくない。でも、暗い話にはしたくない。そしてたどりついたのが、このコピーです。「父ちゃん、きょうもいい肉獲ってきてね。」
ビジュアルは、マンモスのお肉でも、トラの親子でも。受け取る人の想像力に託しました。まわりの同僚を見ても、大切な家族のために一生懸命「仕事」しています。少しでもいいもの食べさせたいと必死です。僕の父親もそうでした。この広告は、そんな頑張る人々を後押しするもの。朝、新聞をめくった父ちゃん(母ちゃん)に、「よし、まかせとけ!」と笑顔で言ってもらえたらうれしいですね。


○プロフィル
1977年生まれ。静岡県伊豆の国市出身。たき工房kaza☆ana所属。コピーライター。

優秀賞
受賞者「きび団子のため、だけじゃない。」

山口広輝さん(ジェイアール東日本企画)

CD、C= 山口広輝さん(写真左)
AD、D= 武山範洋さん(ジェイアール東日本企画/写真右)

 

○コメント
仕事には人を幸せにする力がある。大切なあの人を、知らない誰かを、そして自分自身を。そんなメッセージを「仕事はお金じゃない」なんて言葉で伝えたら、きっと「キレイごと抜かしやがって」「そんなことわかってるよ」などといった反感を買うに違いない。誰もが胸のうちに抱いている想いだからこそ、なるべく軽―く、すんなりと共感できる表現にしたいと考えました。そこで思い出したのが「桃太郎」。きび団子ごときで命がけの鬼退治ツアーに参加するなんて、よく考えれば正気のさたではありません。きっとその裏側にはきび団子よりも大切な何かがあったはず、という勝手な妄想を広告にしてみました。結果、賞もいただけて、めでたしめでたしです。


○プロフィル
1974年生まれ。ジェイアール東日本企画入社後、プロモーション局、営業局を経てクリエイティブ局所属。コピーライター。




受賞者「一丁前」
小谷真理恵さん(日本経済広告社)

 

○コメント
この度は素晴らしい賞に選んでいただきありがとうございます。
テーマについて考えていた当初は「一丁前」になるまでの事ばかり考えていたのですが、そのうち「一丁前」になった後のことも気になりだし、ある時「一丁前は一つの区切りなんだ」という考えに至りました。

私にはその発見がすごく衝撃的で、気付けば驚くほどのド直球さで作品へぶつけていました。正直少し気恥ずかしいです。
でも今、このテーマ、この作品で賞をいただけて良かった!
これからは今まで以上に、思い切り悩んで進んで切磋琢磨しようと思います。
目指すはまず「一丁前」…。

この場を借りして、お世話になったすべての人に感謝を申しあげます。


○プロフィル
1980年生まれ。大阪府出身。東京工芸大学大学院卒業。アートディレクター。


コピー賞
受賞者「一生を棒にふるような仕事がしたい。」

吉岡龍昭さん(佐賀広告センター)

CD、AD、C= 吉岡龍昭さん(写真左)
D= 吉岡龍昭さん
岡優一さん(会社員/写真右)

 

○コメント
坂本龍馬や手塚治、黒澤明など、世の大人物の多くは一心不乱に自分の目標に向かって頑張って来た人たちだと思います。言い方を変えれば、仕事に熱中しすぎて、もしかしたらそのせいで人生を棒にふってしまった人たちなのではないでしょうか。もっと違った人生を歩めたかもしれないし、若くして命を落とすようなこともなかったかもしれません。ただ、歴史に名を残すような人たちはみな何かと引き換えにしてデカイことをやってきたのでしょう。
一度も会ったことないのにこの誘いにのってくれた岡優一くん、最後の最後まで案を出してくれてありがとう!また一緒に何かやりましょう。ブレストという名の飲み会で色んなアイデアやアドバイスをくれた原田さん、毛利さん、他にも助言していただいた多くの方々に感謝します。


○プロフィル
1976年生まれ。長崎県出身。日本デザイナー学院九州校卒業、ADNOKを経て現在佐賀広告センター企画制作部所属。ディレクター・デザイナー。

デザイン賞
受賞者「気持ち次第」
浅井友和さん(電通中部支社)
AD= 村上史洋さん(インパクトたき/写真上中央)
D=

齋藤修央さん(インパクトたき/写真上右)

C= 浅井友和さん(写真上左)、
安部敦子さん
(電通名鉄コミュニケーションズ/写真下左)
Ph= 山下恭平さん(ノワール/写真下右)

 

○コメント
このビジュアルのモデルになってくれたのは、営業の新人くんです。何も知らされず呼び出され、顔からつま先まで全身ペタペタ。しかも撮影の間、ずーっと動くの禁止。企画した者として、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。しかし、撮影を終えた彼からは、楽しかった!のひと言。ほんと、仕事って、気持ち次第だなと実感しました。仕事をしていれば、ネガティブになることもある。しかし、ネガティブにしているのは自分自身だったりすると思うのです。この広告が、皆さまの気持ちを少しでも前向きにし、すてきな仕事への一助になれば幸いです。ありがとうございました。


○プロフィル
1976年生まれ。大阪外国語大学 地域文化学科スワヒリ語専攻卒業。電通中部支社クリエーティブ・ソリューション局所属、CMプランナー・コピーライター。

学生賞
受賞者「七転び八起き」
芳野瞳さん(福岡デザイン専門学校)

 

○コメント
今回、素晴らしい賞にえらんでいただきありがとうございます。
「仕事」をしていれば、必ず失敗と成功はつきものだと思います。
しかし、多くの人は失敗にとらわれすぎるあまり、本当にやりたいことや夢を忘れてしまっているのではないか、と思いました。
そこで、様々な困難を乗り越えた偉人たちのエピソードと、何度でも起き上がる“おきあがりこぼし“をモチーフに作品を制作しました。
私自身、課題や作品制作において悩むことがあるので、この作品を通して自分の今後の制作活動でのモチベーションを上げるきっかけにもなりました。
本当にありがとうございました。
この作品を見て、少しでも前向きな気持ちになったり、もうちょっと頑張ってみようかな、と思っていただけると幸いです。


○プロフィル

1991年生まれ。福岡デザイン専門学校視覚情報デザイン科在学中。

【審査の最終段階まで残った11作品(順不同)】
「全員日本代表」足立遊さん▽「ひとりひとりが動かしてるんだ」代表=中本陽子さん▽「履歴書」片山文枝さん▽「おとなは、仕事に育てられる。」代表=郡司淳さん▽「ヒーロー」慶本俊輔さん▽「人±事」代表=佐藤舞葉さん▽「辞令」代表=塚本大樹さん▽「やりがいへのプロセス」代表=長屋武志さん▽「人生に味わいを。」代表=名引佑季さん▽「社内ポスター」代表=畠山侑子さん▽「『人』をつければ、ほら、仕事。」代表=宮崎憲一さん

2011年度新聞広告クリエーティブコンテスト審査会風景

審査講評
副田 高行 審査委員長
最優秀賞「頑張れ、父ちゃん。」は、日本の広告に欠けているウィットを感じさせる作品だと思います。仕事という概念がなかったころをユーモラスに表現しています。審査は10年目になりますが、作品全体のクオリティーは今回が一番高いですね。
一倉 宏氏 審査委員

最優秀賞「頑張れ、父ちゃん。」は、父親が朝、新聞を開いた時に苦笑いしながらも「うん、頑張るよ」とうなずくような作品ですね。優秀賞「きび団子のため、だけじゃない。」は、震災後のメッセージとして受け取りました。選外ですが「主婦は深夜まで残業している」という視点には、はっとさせられました。

児島 令子 審査委員

最優秀賞は、仕事することの原点をシンプルにあっけらかんと示唆することでひとつ抜けていました。優秀賞「きび団子のため、だけじゃない。」は誰もが知ってる物語から新たなメッセージを発したのが良かったです。コピー賞の「一生を棒にふるような仕事がしたい。」は、仕事=人生であることを逆説的に熱く言及した作品として評価しました。

佐藤 可士和 審査委員

全体的に良くも悪くも優等生的な作品が多かった気がします。もっとビジュアルインパクトのある作品が見たかったです。最優秀賞「頑張れ、父ちゃん。」はコピーもタイポグラフィのバランスも良く、仕事の本質を表したシンプルで明快な作品になっていると思います。

服部 一成 審査委員

最優秀賞「頑張れ、父ちゃん。」は、仕事の原点をカラッと言い切り、なお味わい深い。全体には言葉が中心の作品ばかりで、視覚表現によってテーマの核心をつく意欲作が見られず残念でした。デザイン賞の「気持ち次第」は丁寧な作りが説得力につながりました。

前田 知巳 審査委員

「視点の新しさ」それによる「メッセージ力の強さ」というのが新聞広告に求められるのだとしたら、(仕事、というテーマも良かったのでしょう)その要件に見合う優れた作品が多かった。最優秀賞「頑張れ、父ちゃん。」には、本質を言い当てながら人をどこか元気にする、まさに「抜けのいい」広告だと思います。