2015年度 新聞広告クリエーティブコンテスト

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2015年度「新聞広告クリエーティブコンテスト」結果発表

 「お金」をテーマに実施した2015年度「新聞広告クリエーティブコンテスト」は、全国から1,181作品の応募がありました。たくさんのご応募をいただきありがとうございました。

 クリエーターの副田高行、一倉宏、児島令子、佐野研二郎、照井晶博、服部一成の6氏と新聞協会広告委員会の正副委員長4人の10人による審査を経て、入賞7作品を決定しました。最優秀賞「使用期限をお金にも。」は、「この広告に出会った時に何かを感じ、考え、双方向の関係を呼び起こす。真の広告と呼ぶにふさわしい」「現実にはあり得ないことだが、一つの思考実験として面白い」「お金を使って人生を豊かにしようという前向きなメッセージを感じた」と高く評価されました。

 本コンテストは、若いクリエーターの独創的で斬新な発想で、新聞広告の可能性を広げてもらうために実施しています。

 入賞作品と最終審査に残った作品は(→こちらからご覧いただけます)、日曜日を除く10月9日(金)から22日(木)まで日本プレスセンタービル1階(東京・内幸町)で展示します。

入賞作品 テーマ:「お金」

※画像をクリックすると拡大されます。
[略号凡例]
CD=クリエーティブディレクション、AD=アートディレクション、C=コピー、D=デザイン、I=イラスト
最優秀賞
受賞者「使用期限をお金にも。」
今西宗幸さん(シーズ広告制作会社)


○コメント
すばらしい賞をいただきありがとうございます。

最初に頭に浮かんだのは「肩たたき券」でした。
お金と似た価値のものはこれかなと考え始めたときに
ふと、この券が使われるタイミングっていつなのかなと。
大事にしすぎて、いよいよ使うぞ!って渡したら
「期限きれてるよ~」の返事、よく見ると端っこに日付が…
これはショックだろうなぁと。
会社の机でフフッとなったのとほぼ同時にこの案が出来ました。

この広告をみた人が今日はちょっと贅沢してみようとか
大切な人にお土産を買って帰ろうとか
そんな普段と違うお金の使い方やタイミングを
考えるきっかけになればと思います。

この場をお借りしまして
私を支えてくださる皆様に感謝申し上げます。


○プロフィル
1979年奈良県生まれ。シーズ広告制作会社所属。デザイナー。

優秀賞
受賞者「ウソついたら100万円だからな!!」
加藤佳帆里さん(広告デザイン専門学校)

○コメント
この度はこのような素晴らしい賞をいただき、ありがとうございます。
今回このコンテストに参加するにあたって、お金というものについて考えたとき、怖いものとか良くないものというマイナスなイメージばかりが浮かんできました。そのときに、『いつからお金に対して良くない印象を持つようになってしまったんだろう?』 と考え、この作品にたどり着きました。
おかしが買えて、コマにして遊べて、気軽に「ウソついたら100万円な!」と言って笑い合えたり、誰でも子供の頃は、お金は楽しいものだったはず。
朝に新聞を開いてこの作品を目にした人に、子供と大人でのお金に対する価値観の相違について考えてもらえたらと思います。


○プロフィル
1990年東京都生まれ。広告デザイン専門学校在学中。

優秀賞
受賞者「偉人くらべ」
垂水友紀さん(日本経済広告社)
CD= 垂水友紀さん(写真左)
長谷川裕久さん(アデックスデザインセンター/写真中央)
佐藤寛子さん(日本経済広告社/写真右)
AD・D= 長谷川裕久さん
C= 垂水友紀さん
I= 佐藤寛子さん

○コメント
お金に載っている偉人達は
どんな基準で選ばれているんだろう?
と思ったのが作品の着想です。

たった3人しか選ばれない日本のお札の偉人達。
それは、今の日本を代表した価値観を凝縮した人たちだと思います。

そして、国が変わればその価値観も変わる、
という事に気づき対照的なアメリカのお札を選びました。

何が大切かは、人それぞれです。
ほぼ毎日何気なく使っているお札を見ながら、
自分にとって、日本人にとって、何が大切かを
考えるきっかけとなるような作品を目指しました。

ちなみに、私は日本の人選はなかなか素敵だなと思っています。

○プロフィル
1984年福岡県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。日本経済広告社入社後、ソリューション局に所属。コミュニケーション・プランナー。

コピー賞
受賞者「オタク」

河野正人さん(博報堂中部支社)

 

○コメント
「我々」と書きましたが、私自身、なんのオタクでもありません。スポーツは、観るのもやるのも好きですが、現地で観戦したり、衛星中継を契約したり、用具にこだわったりはしません。そこには「お金」という壁があり、「そこまでお金をかけてもなあ」と思ってしまうからです。世の中には、そんな壁を圧倒的な情熱で軽く飛び越えているひとたちがいる。そんな人たちへの尊敬と、自分への劣等感から生まれたコピーです。
アウトプットを考えるなかで、レトリックや言葉遊びに走らず、「原稿を読む前後で、価値観が確実に変わるコピー」にこだわったことが、うまくいったのかなと思ってます。選んでいただき、ありがとうございました!


○プロフィル
1985年岐阜県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業後、クリエイターズグループMAC、富士ゼロックスを経て、博報堂中部支社入社。コピーライター。

デザイン賞
受賞者「マネーゴーランド」
中島麻里さん(大阪宣伝研究所)

○コメント

お金というテーマを考えたときに頭に浮かんだのは、ニュースでよく耳にする横領とか強盗といったネガティブなものばかりでした。
だからこそ暗い広告にはしたくありませんでしたし、かといってキレイごとを言うほど世の中甘くはありません。
お金がすべてじゃないというのはみんなわかっているのですが、やっぱりあると気分が上がるし、ないと沈みます。
結局お金ってそういうものかなと思います。

この度は素晴らしい賞に選んでいただき、ありがとうございました。
今回いただいたお金で家族に焼き肉をごちそうしようと思います。


○プロフィル
1992年大阪府生まれ。京都造形芸術大学情報デザイン学科卒業。大阪宣伝研究所所属。デザイナー。

学生賞
受賞者「クラウドファンディング」
今野希夢人さん(日本デザイナー芸術学院)

○コメント
テーマがお金ということで、既存の価値観とは違った新しいお金のかたちをPRできないかと思い今回の新聞広告を製作しました。
クラウドファンディングという新しい仕組み、偉人伊能忠敬の古さやコピーのユーモラスさを組み合わせてシンプルに表現しました。
この度はすばらしい賞を賜り誠にありがとうございました。

○プロフィル

1996年三重県生まれ。専門学校日本デザイナー芸術学院グラフィックデザインコース在学中。

学生賞
受賞者「一攫千金」
太田萌希さん(日本デザイナー芸術学院)

○コメント
誰しもが楽してお金を稼ぎたい「一攫千金」の夢を抱いていると思います。
お金に対して様々な価値観や解釈がありますが、 敢えて人間の本音である「お金が欲しい」という想いを思い切りポジティブに表現しました。
この度は素晴らしい賞を賜り誠にありがとうございました。

○プロフィル

1996年愛知県生まれ。専門学校日本デザイナー芸術学院グラフィックデザインコース在学中。

【審査の最終段階まで残った作品(順不同)】

「お金の話をしよう。」代表=角川知紀さん▽「大切なものには『お』をつけよう」波多野圭映さん▽「お札の人」代表=福岡万里子さん▽「ビジネスチャンス」代表=北川秀彦さん▽「パパの給料」丹羽和乃さん▽「お金という視点」代表=安慶田隼さん
(→作品はこちらからご覧いただけます

2015年度新聞広告クリエーティブコンテスト審査講評

副田 高行 審査委員長

最近のコミュニケーションは分かりやすさが前提になり過ぎていて、もの足りなさを感じます。出会った時に何かを感じ、考え、双方向の関係を呼び起こすことも大切です。最優秀賞は、見る人によって賛否両論あると思いますが、色々な見方を許してくれる表現こそ、真の広告ではないでしょうか。説明文のようなコピーを付け足さず、「使用期限をお金にも。」のみで勝負した点も高評価でした。学生賞の「クラウドファンディング」は、着眼点が今的ですね。

一倉 宏 審査委員

新聞広告の可能性を広げるためには、話題を喚起するような表現に挑戦することも必要です。最優秀賞は、現実にはありえない奇抜なメッセージですが、それだけ群を抜いて刺激的な作品となっています。優秀賞の「ウソついたら100万円だからな!!」は、テーマに対して正面切らないゆるさが魅力です。

児島 令子 審査委員

最優秀賞は単に景気対策だけでなく、「お金を使って人生を豊かにしよう」という前向きなメッセージも感じました。コピー賞は視点がオンリーワンですね。オタクと日本経済の関係性を語るとは、ユニークだけど納得感のある広告です。応募者も審査委員も、多様な捉え方でお金について考えたコンテストでした。

佐野 研二郎 審査委員

「お金」というテーマから、こんなに切り口の異なる作品が集まるとは思いませんでした。デザイン賞は、教訓めいたところがない作風が新鮮でした。色遣いもきれいです。学生賞の「一攫千金」は、元気があふれていて、良い意味で学生らしい作品ですね。

照井 晶博 審査委員

最優秀賞は、審査の早い段階からこれだと思いました。一つの思考実験として非常に面白い。物議を醸しそうな内容ですが、新聞広告は議論の場になるくらいでいいのではないでしょうか。優秀賞の「偉人くらべ」は、お札の肖像から日本とアメリカを比較するというアイデアにひかれました。コピー賞は、「オタク」を経済に大きく貢献する人たちと捉える視点がいいと思います。

服部 一成 審査委員

最優秀賞には反対でした。お金に期限を設けて使わせるという発想は、問題提起のための架空の話だとわかっていても、私には良いとは思えません。「この世はマネーゴーランド」と「一攫千金」はどちらも、抜け抜けとした表現の裏に皮肉っぽいユーモアを含んでいて、その姿勢が好きでした。