2006年度 新聞広告クリエーティブコンテスト

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入賞作品 テーマ:「環境」

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[略号凡例]
CD:クリエーティブディレクション・AD:アートディレクション・C:コピー ・D:デザイン ・I :イラスト
最優秀賞

「エコ買い」
畑中大平さん
(はたなか・ますひろ、ジェイアール東海エージェンシー)

優秀賞

「『ニンゲン』で終わるか。」
代表・窪田新さん(くぼた・あらた、電通)
AD:窪田新さん
C:松原勇馬さん

デザイン賞

「ゴミ拓」
代表・真崎達也さん
(まさき・たつや、ビーコン コミュニケーションズ)

CD:ウィット・フリースさん
AD・D:真崎達也さん
C:山本邦晶さん

コピー賞

「メッセージ」
代表・水谷秀明さん(みずたに・ひであき、シーダッシュ)

C:水谷秀明さん
AD・D:あわのたかひろさん
学生賞

「自然の言葉」
代表・河原吉雄さん(かわはら・よしお、大阪芸術大学)

D:近澤優衣さん

 

審査講評
-8月28日に開催したクリエーター6氏と新聞協会広告委員会正副委員長による審査会-

審査委員長
眞木 準氏
ある心理学実験で人間はより具体的な指示に従って行動するという結果が得られた。「エコ買い」は具体的なメッセージであり、広告の読者はきっとこの通りに行動すると思う。「『ニンゲン』で終わるか。」はパソコンの点滅記号で終わるビジュアルなどが、新聞媒体を使ったデジタル型の広告という雰囲気で、時代を感じさせる。「メッセージ」の少女のスピーチは、少女の表情、声まで想像でき、感動した。新聞広告は情報広告、ジャーナリズム広告ともいわれ、他媒体の広告とは違う面を持つ。社会的発言をする広告メディアであることからも、ふさわしいアイデアだ。「自然の言葉」はシンプルであり、「エコロジーな広告」という発想が生かされている。
審査委員
児島 令子氏
入賞作品はどれも独自のアイデアだった。個人のフィルターを通して環境をいかに個人に結びつけるかが勝負だった。「エコ買い」の「スーパーマーケットで商品棚の奥にある新しい商品を取る」という行為は、「私もしている」と罪悪感を持った。自分さえよければいいという人間の気持ち(エゴ)が、事態を環境にとって悪い方向に向かわせるということを、実感を持って気付かせる。この視点は素晴らしい。「『ニンゲン』で終わるか。」はいい意味で予想を裏切る、予定調和になっていないところがいい。「メッセージ」はキャッチフレーズが素晴らしい。「ゴミ拓」はアイデアがいい。「自然の言葉」は、「自然新聞」というのがあればブナもイチョウも読んでいるのかなと想像され、危機感でなくほのぼのした訴求が新鮮だった。
審査委員
佐藤 可士和氏
明確な答えのない「環境」という難しいテーマに対し、応募者は非常に頑張った。今回の募集をきっかけに、1000人近くの人間が「環境」について考えたことは大きい。「エコ買い」は視点のよさを買われたというところが新聞広告らしい。厳しいメッセージであり、提唱している行動を実践できる人はなかなかいない。エッジの効いた作品が最優秀賞になったのではないか。「『ニンゲン』で終わるか。」は広告としての面白さと、メッセージ性があり、完成度が高い。人間が主導権を握ることはいかがか、ということを訴えている。「ゴミ拓」は丁寧に作っている。「メッセージ」はキャッチフレーズがいいので内容を読まされた。「自然の言葉」はコピーを使わなくても、植物の声に耳を傾けさせようという発想がいい。デザインもいい。
審査委員
副田 高行氏
「エコ買い」は視点のよさが抜群だった。「環境」というテーマを、抽象論ではなく、具体的な行動を促した点で、全審査委員の支持を得た。「『ニンゲン』で終わるか。」も一見軽いシリトリ表現に見えて、なかなか含蓄のある強い作品だ。「メッセージ」は、1992年のサミットで12歳の少女が行ったスピーチを、当時、新聞紙上で目にしなかった読者にも読ませるべく、広告表現の場に持ってきたアイデアがすごい。広告となったスピーチは読者に新たな感動を与えるだろう。私の中では最優秀賞と言える。「ゴミ拓」は砂浜に落ちている人間が捨てたゴミで、魚拓ならぬゴミ拓とした、とてもシニカルなデザインが目を引いた。「自然の言葉」はデザインだけで強いメッセージを発していて好感を持った。
審査委員
服部 一成氏
今、環境問題があちこちで言われている状況の中で、あえて新聞1ページで広告するだけの内容がなければ意味がない。デザインとは、見た目をどうきれいに整えるかという小手先の技術ではなく、伝えたい内容をしっかり届けるためのものだと再認識した。「エコ買い」は、まずハッとさせる内容があり、デザインは一見チープだが、ストレートに言いたいことが伝わってきて強い。「『ニンゲン』で終わるか。」は普遍的なメッセージを、優れた表現アイデアで伝えている。「自然の言葉」は、環境がテーマの作品ではよく見るモチーフだが、説得力を持つところまでやりきった。「メッセージ」はキャッチフレーズの力で、長い文章を読ませることに成功している。
審査委員
前田 知巳氏
難しいテーマなのに、入賞作品はどれも、そのテーマの難しさを感じさせない明快さがあった。「エコ買い」のように実感を元に作られた作品はやはり強い。環境問題を「自分ごととして考えよう」と理屈で説得する作品が多い中、誰もが覚えのある生活の一場面を借りることで見事に伝えきっている。一方、長い文章でも読者に読みたくさせるような広告を作るにはそれなりの力量が要る。「『ニンゲン』で終わるか。」は目を留めさせる全体の気配づくりがうまい。「メッセージ」には、本文まで読みたくさせるキャッチフレーズの力がある。今回は全体を通じてビジュアルより、言葉の存在感で際立った作品が多かったように思う。そんな中でビジュアル自体を言葉ととらえた「自然の言葉」はデザインの仕上げまで含めて秀逸だと思う。