新聞広告の「記憶への定着」「接触深度」を探る調査 (2013年)

 2013年8月、新聞広告の特性に関する調査報告書「脳から見た新聞広告Ⅱ 記憶のカギは“自分ごと化”ドライバー」を刊行しました。調査では新聞広告を見たときの読者の反応を、視線の動き、脳の血流量の変化、アンケート、インタビューから多角的に検証。併せて3週間後、広告をどれだけ覚えているのかを確かめる追跡調査も実施しました。報告書では①「新聞広告の記憶定着力」、②「読者の『接触深度』を高めるために有効なクリエーティブ」について、結果を分析しています。

 読者の無意識的な反応を探るため、2011年の「元日新聞広告調査」に続き、ニューロマーケティングの手法を取り入れました。この調査で使用したのは、脳の前頭前野の血流量変化を測る「光トポグラフィ技術」。計測と分析にあたっては、日立製作所、北陸先端科学技術大学院大学の協力を得ました。

 調査では、20人の調査対象者に8件ずつ、のべ160件の新聞広告を提示しました。このうち、3週間後の追跡調査で対象者が覚えていたのは125件(78.1%)。調査対象者別にみると、20人全員が、8件中4件以上の広告を記憶していました。

 記憶への定着に加え、「読者の『接触深度』を高めるには、どのようなクリエーティブが有効なのか」も探りました。その結果、8件の広告にはそれぞれ、読者が「自分に引きつけて考えられる」あるいは「自分に関連づけて発想できる」ための異なるポイントが存在していることがわかりました。これらのポイントを「“自分ごと化”ドライバー」と名づけ、「読者の『接触深度』を高めるクリエーティブ」のカギではないか――と分析しています。

調査の目的: 新聞広告の「記憶への定着」の検証、および「接触深度」を高めるクリエーティブの分析
調査対象広告: 全ページ広告8件(2013年1月1日付~1月4日付の新聞に掲載されたもの)
調査対象者: 20代、30代、40代、50代、60代の男女各2人、計20人
実査/レターヘッド: インテージ
協力: 日立製作所/北陸先端科学技術大学院大学

【ステップ1】

調査期間: 2013年1月18日(金)、19日(土)、20日(日)、21日(月)
調査手法: ①8件の新聞広告を順に見てもらいながら、脳の前頭前野の血流量変化と視線の動きを同時計測。
②それぞれの広告の印象・評価に関する自記入式アンケートを実施。
③デプスインタビューで、8件の広告に対する印象・評価の理由、読み方、受け止め方を聴取。

【ステップ2】

調査期間: 2013年2月8日(金)、9日(土)、10日(日)
調査手法: 覚えている広告を尋ねるインタビューを実施。流れは以下の通り。
〈純粋想起〉
①覚えていた広告はありますか?と聞く
〈ヒント提示〉
②広告のジャンル(業種)を口頭で伝える
③広告の縮小版をちらっと見せる
④ぼかしを掛けた広告縮小版を見せる
企業名や広告内容が挙がった段階で、覚えている要素をさらに尋ねた。

※本調査に用いた新聞広告のビジュアルの転載、二次利用はお控えください。

お知らせ(2013.10.1)
調査報告書に誤りがあったため、修正版に差し替えました。
訂正個所は以下の通りです。お詫びして訂正いたします。
  27ページ 「3週間後の記憶」
<説明文>
(正)16人がヒントなしでこの広告を思い出した。
(誤)20人全員がヒントなしでこの広告を思い出した。
<表>・この広告を覚えていましたか?
生活の中で思い出したことがある (正)2人 (誤)4人
「覚えている広告は?と聞かれ思い出した (正)12人 (誤)10人
インタビュー途中で思い出した (正)2人 (誤)6人
ヒントで思い出した (正)4人 (誤)0人