新聞広告賞

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 日本新聞協会は9月3日、新聞広告大賞を株式会社資生堂の「2015企業広告 50 selfies of Lady Gaga」に贈ると発表した。
 大賞作品は、レディー・ガガのセルフィー(自撮り画像)50作品を正月広告として全国50紙に掲載し、企業として変革していくことを宣言した。世界的人気アーティストの起用と広告の全紙切り替えという仕掛けによって、若年世代が楽しめるコンテンツに作り上げ、ネット上でも話題が拡散した。
 新聞広告賞は、新聞広告の新しい可能性を開拓した広告活動を顕彰し、新聞と広告の発展に資することを目的に、1981年に設けられた。広告主部門と新聞社企画部門の2部門から成り、新聞紙上で優れた広告活動を展開した広告主企業、新聞社に贈る。
 贈賞は10月20日(火)、東京・芝公園の東京プリンスホテルで開かれる第58回「新聞広告の日」記念式典で行われる。新聞広告大賞には賞状、トロフィー、メダルが贈られる。
 第35回新聞広告賞には、広告主部門348件(単独広告主345件、複数広告主3件)、新聞社企画部門66件(単独企画62件、共同企画4件)の計414件の応募があり、大賞1件、新聞広告賞10件を選定した。また、広告主部門について10件の優秀賞を、新聞社企画部門について5件の奨励賞を選んだ。
 7月24日開催の選考委員会で入賞作品を決め、9月2日開催の日本新聞協会理事会で承認した。

[広告主部門・新聞広告大賞]1作品(敬称略)

2015企業広告 50 selfies of Lady Gaga
株式会社資生堂

【受賞理由】

 レディー・ガガのセルフィー(自撮り画像)50作品を使い、広告原稿をすべて切り替えて全国50紙の正月広告として掲載し、企業として変革していくことを宣言した。「その人がその人らしく生きること」を主張する世界的アーティストを起用し、生活者目線を徹底するという資生堂の取り組みを伝えたこの広告は、多くのフォロワーを持つガガ自身のツイッターにも広告掲載が告知され、国内外で大きな話題となった。圧巻のキャスティングと全紙切り替えという仕掛けによって、若年世代が楽しめるコンテンツとなり、新聞のみの広告展開にもかかわらず10代、20代の注目を集めた。若年層の共感を得たことでネット上でも拡散し、起点となった新聞広告の媒体価値を高め、新たな可能性を感じさせる作品として高く評価された。

[広告主部門・新聞広告賞]5作品(広告主名50音順)

姫路城「平成の保存修理工事」
鹿島建設株式会社

【受賞理由】

 世界文化遺産に登録されている国宝・姫路城の「平成の保存修理」の模様をシリーズ広告で記録し、社会的に注目を集める世紀の難工事に誇りと情熱をもって挑む姿勢を伝えた。修理工事が完了して披露されるまでの姫路城の変遷を、印象的な写真で人びとの記憶に刻み、伝統建築を守り、引き継ぐ決意と高い技術力を力強いキャッチコピーと文章で訴えた。ニュース媒体である新聞の特性を生かした広告展開が、企業イメージを向上させた作品として高く評価された。

「広告事例」掲載ページ
企業広告 キッコーマン「おいしい記憶をつくりたい。」
キッコーマン株式会社

【受賞理由】

 伝統の食文化を守るため、もっと和食の魅力を知ってほしいという企業の思いを、四季折々の「おいしい記憶」を呼び起こす何気ない日常のストーリーと色彩豊かなグラフィックで伝えた。家庭料理を素材に和食のシンプルさ、親しみやすさを表現するとともに、紙面からウェブサイトへ誘導して手軽な和食メニューの調理法を紹介し、読者と和食の距離を縮めた。家族が笑顔で食卓を囲む情景を想像させるクリエーティブで、春夏秋冬の自然の恵みを生かした和食の価値を伝えた作品として高く評価された。

シリーズ広告 中島屋「同窓会アルバム」 焼津グランドホテル「家族物語」
株式会社静岡中島屋ホテルチェーン

【受賞理由】

 同窓会や家族の特別な集まりなど、ホテルで楽しいひとときを過ごした実際の様子を紹介し、利用の促進を図った。笑顔が集う当日の模様や背景の物語を伝える記事体広告と写真からは、利用者一人ひとりの喜びと、それを陰で支えるホテル側の細やかな気遣いが感じられ、地元のホテルを使う場面を読者に想起させた。丁寧な取材と広告掲載を通じ、顧客とのつながりをより密接にした。地域に向けたメッセージを新聞広告で継続的に展開して、「同窓会は中島屋で」「人生の節目に利用したいホテル」というイメージを定着させた作品として高く評価された。

『小学一年生』創刊90周年
株式会社小学館

【受賞理由】

 2015年4月に90周年を迎えた学習雑誌『小学一年生』を再認識してもらうとともに、戦時下も出版を続けた先達の苦労を忘れず、「これからも良い本を出していく」という出版人の決意を表明した。創刊号の読者であった96歳の女性を筆頭に、今春一年生になった曾孫の男の子まで同誌を読み継いでいる四世代家族を紹介し、読者と歩んだ歴史と存在感を強く印象づけた。4月号は販売部数が31.8万部にものぼり、新入学一年生が104万人という中で売り上げに貢献した。世帯メディアである新聞だからこそ、読者に深くメッセージが伝わった作品として高く評価された。

食器洗い乾燥機/食洗機普及率ランキング
パナソニック株式会社

【受賞理由】

 47都道府県ごとに広告原稿を切り替え、それぞれの地域特性をとらえた表現で、新しい食器洗い乾燥機の発売を告知した。全国の食洗機普及率ランキングで地元読者の注目を引き、普及度合いと地域性・県民性に応じて訴求ポイントを変えながら新商品の特長を効果的に伝えた。読者の購買意欲を刺激する巧みなコピーは商品理解を促し、新たな需要獲得に成功した。マスメディアでありながら地域密着メディアでもある新聞の特性を生かした、きめ細かいコミュニケーションが高く評価された。

[広告主部門・優秀賞]10作品(広告主名50音順)

◇IHI LOGO WORLD (株式会社IHI)
◇大豆で人も地球も健康に。Soylutionキャンペーン (大塚製薬株式会社)
◇ENEOS 「聖火はいつも、未来を照らす。」 (JX日鉱日石エネルギー株式会社)
◇10月1日はコーヒーの日 (一般社団法人全日本コーヒー協会)
◇創造で、想像を超える。 (中外製薬株式会社)
◇企業広告「挑戦シリーズ」 (東京海上日動火災保険株式会社)
◇もっとよくしよう。TOYOTA (株式会社トヨタマーケティングジャパン)
◇三越らしさは、私らしさ。 (株式会社松山三越)
◇シリーズ広告「わたしもMITSUBISHI ELECTRICのユーザーです」 (三菱電機株式会社)
◇祭りののどに、龍角散。 (株式会社龍角散)

[新聞社企画部門・新聞広告賞]5作品(会員名簿順)

秋田魁新報創刊140年記念「元気まで届ける新聞」
秋田魁新報社 営業局

【受賞理由】

 止まらぬ人口減少、高い自殺率といった暗い話題が目立つ秋田の県民に元気を届け、前向きに明日を迎えてもらいたいとの願いを込め、創刊140年を記念して秋田美人の美しさをストレートに表現した新聞を発行した。顔を隠し、わくわくさせた1面に続き、中面4枚の見開き紙面を並べると地元出身の女優・佐々木希の等身大の人物像が完成する。この斬新なレイアウトで読者に大きなインパクトを与え、紙面を手に入れ保存したいという気持ちをかき立てた。顔や体のパーツごとに配置した広告枠も秋田美人をキーワードにした短いコピーが各商品、サービスの内容を効果的に伝え、ソーシャルネットワークなどを通じて全国に話題が拡散することで、大きな広告効果をもたらした。秋田美人の肌の美しさを見事に再現した新聞の高度な印刷技術力とも相まって、幅広い層に新聞の表現力、存在感をアピールした作品として高く評価された。

絹の物語 未来へ ― シルクカントリー群馬キャンペーン
上毛新聞社 営業局、東京支社営業部、地域貢献室

【受賞理由】

 群馬県が誇る「絹」の歴史と文化を県民共有の資産としてとらえ直し、新聞社の各部署が連携した取り組みによって郷土のグランドデザインを構想した。長期にわたる活動が世界遺産登録運動と一体となって盛り上がりを見せ、キャンペーン10年目には「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録に結実。登録記念に発行したラッピング紙面と別刷り特集は、地域貢献を推進する多くの企業・団体の賛同を得て合計64ページにも及んだ。様々なアプローチで絹文化への理解を深めたほか、シルク生地に号外紙面を印刷した絹新聞は多くのメディアで取り上げられ、海外を含め内外で大きな反響を呼んだ。登録後の地域作りを学ぶ公開講座やイベントの開催も含め、重層的、長期的に地域の資産の価値を発信し、地元文化の理解促進につなげた作品として高く評価された。

ハイブリッド印刷装置とデジタル印刷機による可変印刷広告特集
中日新聞社 広告局
中日新聞北陸本社 広告部

【受賞理由】

 一部ずつ刷り分け可能な可変印刷技術で新しい広告表現を開発し、新聞広告を起点とした話題作り、広告主の売り上げに結びつく企画を実施した。「絵あわせ」「抽選番号」「おみくじ」「名前と記録入りの完走者新聞」などハイブリッド印刷装置を駆使した多様な展開は、若年層を含め読者の注目を集め、集客動員数を増やすなど広告効果を実証した。デジタル印刷機を使った全日本広告連盟金沢大会特集は、加賀友禅の絵柄と加賀温泉郷で働く女性たちの顔写真の掛け合わせにより3600パターンの紙面を作成、多くの人物が登場した紙面は新聞をより身近に感じさせ、地元産業の魅力を効果的に発信した。最新の印刷技術を活用して大きな話題を喚起することに成功し、新聞広告の可能性を広げた作品として高く評価された。

富山もようプロジェクト
北日本新聞社 東京支社営業部

【受賞理由】

 立山連峰や白エビをはじめ、富山県の象徴をテキスタイルデザインで表現した紙面で朝刊本紙を包み、創刊130周年の謝意を込めた贈り物として昨年8月、4日連続で読者に届けた。富山らしさを再認識し、未来志向で地域を盛り上げるため、富山の自然、食、女性、スポーツについて有識者のインタビューを掲載し、色鮮やかで大胆なデザインの紙面との組み合わせで高い注目を集めた。好評を得て、10月の新聞週間、今年3月の北陸新幹線開業記念特別増刊でも実施し、新規広告主の大型出稿にも結びつけるなど広告営業でも効果を上げた。「富山もよう」の優れたデザインは県内企業とのタイアップでタペストリーやマットとなって街を彩ったほか、ラッピング紙面を活用した作品が紙上やワークショップで紹介され、新聞への親近感を醸成した。企画開始時からソーシャルネットワークを活用して波及の様子を継続的に発信するなど、県民や企業と共鳴しながら地域を盛り上げた作品として高く評価された。

COOL ARITA ~未来への挑戦~
佐賀新聞社 営業局

【受賞理由】

 17世紀初頭に始まる有田焼の伝統を現代の生活様式の中で再発見するべく、異業種間のコラボレーションを中心に、同紙の創刊130周年記念事業として別刷り特集などで展開した。COOL JAPANの潮流にあわせて、セレクトショップのBEAMSやディズニーと商品開発を行い、毎年ゴールデンウイーク中に開催される陶器市にオリジナルの食器を使用したカフェを開設するなど、時代の変化に適応してきた有田焼400年の歴史に、新たな価値を付加する取り組みに挑戦した。紙面では、赤や青の有田焼の象徴的な色使いをベースに地元出身の気鋭の書家による題字を使用、また料理研究家や窯元との協業により、地域の伝統文化の再構築を目指した。新たな消費者層の取り込みや地域産業の持続的発展への道筋を開拓したことが広告主にも歓迎され、新聞社の総合力を実証した企画として高く評価された。

[新聞社企画部門・奨励賞]5作品(会員名簿順)

◇東京新聞130周年記念特集「大相撲新聞」 (東京新聞 広告局)

◇河北新報 東日本大震災特別企画展 1462days ~アートするジャーナリズム~ (河北新報社 東京支社営業部)
◇家族のはなし2014 『家族のうた』 (信濃毎日新聞社 広告局)
◇NEWSPAPER FES!! (北國新聞社 営業事業局広告部)
◇未来のトップアスリート輩出を目指して 「からだうごかす大作戦」 (中国新聞社 東京支社営業部)