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特集 リクルーティング広告の展開
2026.02.10

今回の特集は、企業や学校の人材募集での新聞広告の活用を取り上げます。
人材募集で新聞広告を活用することは、幅広いターゲットに対し認知度を高めるだけでなく、企業の事業内容や学校の特長を周知できるなどブランディングの点でも効果的です。最近では地域や業界の働き手減少という課題解決に寄与するための企画も見られます。
本特集ではまず、採用活動の傾向と企業の情報発信における課題などについて、株式会社マイナビの長谷川洋介氏からお話を伺いました。その上で企業(住友理工株式会社)、地方自治体(島根県)、大学(中央大学)から、新聞広告を活用した実例を紹介いただきました。
※地方自治体(島根県)、大学(中央大学)の事例紹介は順次公開します。

Vol.1
新卒採用は売り手市場 企業は採用に課題

株式会社マイナビ
社長室キャリアリサーチ統括部キャリアリサーチ1部リサーチ課
長谷川 洋介(はせがわ・ようすけ)氏

※2025年11月19日取材

――就職活動の傾向とインターンシップについて
政府が原則として企業に要請する就職活動(就活)のスケジュールでは、卒業年度直前の3月に広報活動が始まり、求人情報の公開や会社説明会が解禁、6月に採用選考解禁となっていますが、2026年卒の大学生の内々定保有率は25年3月時点で54.6%と、前年より高くなっています。売り手市場が進む中、企業は少しでも早く優秀な学生を見つけたいと採用活動が前倒しになり、多くの企業が学生を取り合っている状況です。

また、最近の学生はインターンシップ・仕事体験への参加率が非常に高い傾向があります。10年ほど前までは3割程度の参加率でしたが、ここ数年は参加率が8割超で推移し、26年卒学生は採用活動が始まる直前の2月時点で85.3%が参加しています。就業体験を含めたインターンシップは学生が参加しやすい大学3年生の夏休みに本格化し、学生はインターンシップ等への参加を通じて職種、業種が自分に合っているかを探り、そこで出会った企業に応募することもあるようです。

都市部の学生ほど、インターンシップ・仕事体験に参加する企業数が多い傾向にあります。さまざまな要因が考えられますが、企業が大都市圏に集中しており、都市圏の学生の方が参加が容易であることが背景の一つでしょう。地方の学生が都市圏の企業のインターンシップに参加するには交通費や宿泊費の負担がありますし、交通費を補助する企業は一部に過ぎず、多くの企業では支給されていないようです。

かつてはインターンシップの名称のもと、目的も実施形態も開催期間もさまざまなプログラムが混在していましたが、中には就業体験がないなどインターンシップとしての実態にそぐわないものもあったため、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の三省合意により、5日間以上かつ就業体験を含むなど、いくつかの条件を満たしたものがインターンシップと定義付けされました。オンラインで参加できるインターンシップもありますが、対面開催が増えているため、遠方から参加するなどアクセス面で不利になる学生もいるかもしれません。

――採用を取り巻く企業側の状況は
26年卒学生の採用充足率(内定者数÷募集人数)は69.7%で、現在の採用スケジュールになった17年卒以降、過去最低となりました。学生にとっては売り手市場である一方、企業は本来採りたかった人数の7割も採用できておらず、採用において苦労する企業も多いことが浮き彫りになっています。

企業の採用充足率は地域によって差があります。関東は全国平均を上回る84.2%ですが、東北では5割以下で、関西や東海など三大都市圏でも伸び悩んでいます。年々採用充足率が下がっているため企業の採用意欲は高まっていますが、希望人数を採用できていないのが現状です。

――採用充足率の伸び悩みの原因は
学生の内定辞退の影響もありますが、採用前の段階で苦戦している企業もあります。以前は「説明会に来てもらった学生を選考につなげる段階で苦労する」と考える企業が多かったのですが、最近は「そもそも説明会に来てもらうのが大変だ」と考える企業が多くなっており、いかに母集団を確保するかが課題になっているようです。また複数内々定を保有している学生が内定を辞退すると企業側は採用充足に至らないことにもなり、そのほか採用部門のマンパワー不足など、原因もさまざまです。

――第二新卒採用と中途採用について
第二新卒の定義は一般的に、新卒で入社して3年以内に転職活動する求職者とされています。24年の調査によると、企業が第二新卒採用を取り入れている割合は52.6%でした。「新卒人材を採れなかった」「中途即戦力人材が足りない」などの理由で第二新卒採用を行う企業が多く見られています。今後積極的に中途採用する意向がある企業は54.0%で、実施理由として多いのは「即戦力の補充」「退職者の増加」などです。全体的に人手が足りないので、組織を活性化させるために中途採用や第二新卒採用でカバーしなければならないのが現状かと思います。

――地元就職やUターンについて
故郷から離れて進学した人が再び故郷に戻って働くUターンを含む地元就職を希望する学生の割合は26年卒が56.4%で、前年の62.3%から下がっています。地元を離れて大学に進学した場合は、近隣の大都市圏での就職を希望する学生が多い傾向にあります。出身都道府県での就職を希望する割合は、地元の大学に進学した場合もそうでない場合も、この数年は下がっています。

地元就職を希望しない理由は「志望する企業が少ない」が主な理由になっているようです。「給料が安そうだ」「都会の方が生活の利便性が高い」という学生のイメージや、地元企業では希望するキャリアやライフプランを実現できないのではないかという不安も影響していると見られます。企業の情報が学生に十分に届いていないのかもしれません。企業規模が大きいとキャリアパスの多様さが学生に魅力に映る一方、地元企業については「大手企業がない」という理由でキャリアがイメージできないのかもしれません。

一方、Uターンを含む地元就職を希望する理由で一番多いのが「両親や祖父母の近くで生活したい」の48.1%でした。「親の介護を行いたい」「結婚、出産の際に育児を助けてもらえる」「親戚が近くにいて心強い」など、家族の介護や自分のライフステージを考えて希望する面もあります。「実家から通えて経済的に楽だ」は41.7%で、物価高や大都市圏での家賃の上昇なども要因になっていると考えられます。

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