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新聞大会会長あいさつ
第65回新聞大会 新聞協会長あいさつ
2012年10月16日
一般社団法人日本新聞協会 会長 秋山 耿太郎
第65回新聞大会を開催するにあたり、地元青森の東奥日報社の塩越隆雄社長はじめ皆様方に大変なお力添えをいただきました。心より御礼を申し上げます。
ご承知のように、この夏の国会で消費税の税率引き上げの法案が成立しました。新聞社の経営を直撃する消費税の大波をどう乗り越えていくべきか。すべての新聞人が力を合わせ、知恵を出し合って、進むべき道を探り出していかねばなりません。
消費税の税率は、2014年4月に8%、15年10月に10%へと引き上げる方針が決まりました。具体的な課税方法などについては、政治の場を中心にした今後の議論に委ねられています。かねて私たちは、「新聞に軽減税率の適用を」と求めてきました。知識課税の強化は、活字文化の衰退を招き、健全な民主主義の発展を損なうことにもつながりかねないからです。欧米諸国では新聞の購読料に対してはゼロ税率か、軽減税率が適用されています。活字文化を軽視するような道に踏み込むことがないように、新聞を含む暮らしの必需品については軽減税率を適用するように、私たちは強く求めます。
こうした新聞界の主張を、世の中の多くの人々に支持していただくには、どのような努力が必要でしょうか。なによりも、新聞の評価を一段と高めていくことです。それぞれの新聞社が、しっかり取材をして、いい記事を書くこと、真実を追究し、国民の知る権利に応える質の高い新聞報道を続けていくこと、これがいちばん大事です。
その上で、読者の信頼をつなぎとめるためには、より幅広い努力も必要です。報道の分野から、販売や広告など営業の現場にいたるまで、新聞社の事業活動全般に対する揺るぎない信頼が土台にあってこそ、多くの人々が「新聞社の主張はもっともだ」と思ってくださるでしょう。仮に、新聞界が「軽減税率の適用」を求める一方で、実際の販売現場では大型拡材が乱れ飛び、大幅な値引きや無代紙が横行しているようなことがあるとすれば、「新聞は言っていることと、やっていることが違うのでは」と疑念を持たれるのが当然ではないでしょうか。私たちの主張には説得力がなくなります。
私の前任の新聞協会長だった読売新聞の内山斉さんが旗を掲げた販売正常化は、いまだ道半ばです。09年秋にスタートした関西の販売正常化の取り組みも、まる3年が経過しましたが、残念ながら、乱売が続く地域がなお相当に残っています。3年前に私たちは、「発行本社の社長が責任を持って推進する」と確認しあって、正常化への取り組みを始めたことを忘れてはならないと思います。新聞業界の自主努力による公正販売の実現は、「軽減税率の適用」を求めていく上で、避けて通れない前提と考えるべきではないでしょうか。
東日本大震災で新聞各社は、輪転機が被災したり、制作システムがダウンしたり、輸送網の寸断、燃料不足、原材料の供給不安などに見舞われました。その中でも、日々確実に、新聞を発行し続け、読者に必要な情報、正確な情報をお届けしてきました。その努力が実って、被災地の皆さんから「新聞の役割を再認識した」「新聞をよく読むようになった」という声をたくさんいただいたことは、私たちにとって、大変に誇らしいことでありました。
昨年の新聞大会の研究座談会で、会場から提案をいただき、新聞協会に災害対策特別委員会を設けました。新聞製作の原材料の確保、印刷や輸送面での協力体制づくりなど災害対応の成果が上がりつつあります。電力確保についても、少なくとも8ページの新聞を1週間程度発行できるだけの非常用発電機の整備を中心に、議論が進んでいます。
このように近年の新聞界は、全体として「競争と協調」の枠組みが定着しつつあり、新聞社間の「信頼の醸成」が広がりつつあると感じます。
その一方で、新聞を取り巻く環境は、年々、厳しくなってきました。とりわけ販売の分野では、若い世代の新聞離れに加えて、最近は、「家計が苦しくなった」など経済的な理由で、長年の読者が新聞の購読を取りやめるケースも増えています。地方の過疎化、高齢化が進み、販売店経営が立ち行かなくなるところも散見されます。政府の行政改革本部が、中央省庁の新聞と雑誌の購読部数を2012年度に続いて13年度も削減する方針を打ち出し、その影響は地方の官公庁にも及んできています。
そうした中での消費税の税率アップですが、私たちは新聞界がこぞって「軽減税率の適用」を求めている理由を、より多くの人々に理解し、支持していただけるように、さらなる努力を続けていかなければなりません。同時に、販売現場の実態について、できる限り透明性を高める必要があるでしょう。時代の変化のスピードは速く、新聞業界もまた、これまで以上に、「説明責任」と「透明性」を求められているのだと、私は思います。読者の信頼を何よりも大切な基盤として、日本の社会に必要不可欠なメディアとしての新聞の存在感を、さらにさらに、高めていこうではありませんか。
本日は皆様方とともに、新聞人同士の率直な、幅広い意見交換ができればありがたいと思います。みちのくの深まる秋の一日、有意義な時間が持てることを願って、開会のあいさつといたします。
