新聞大会会長あいさつ

第73回新聞大会 新聞協会長あいさつ

2020年11月26日 神戸市
一般社団法人日本新聞協会 会長 山口 寿一

 第73回新聞大会をここ、神戸市で開催することとなりました。阪神・淡路大震災から四半世紀の節目の大会は、新型コロナウイルスの感染拡大という新たな試練の中での開催となりました。

 今回の大会に際しては、新聞協会加盟各社の代表者が一堂に会する大会を開くべきかどうか大変迷いました。

 しかし、地元の神戸新聞社から、ウィズコロナにおける新聞大会のあり方を探求したいと前向きな申し出をいただき、感染対策と充実したプログラムを両立させる運営方法を検討した結果、このような形で開催することができました。高士薫会長、高梨柳太郎社長をはじめとする神戸新聞社の皆様に多大なお力添えをいただいたことに、心から御礼を申し上げます。

 新聞各社は、未曽有の事態にあっても全力を挙げて新聞発行を継続してきました。

 編集に関しては、対面取材が難しくなり、さまざまな取材の制約を受けましたが、正確な報道に努め、感染者、医療従事者、エッセンシャルワーカーの方々に対する差別・偏見の問題にも取り組みました。

 経営の面では、新聞広告や折り込み広告の売上が落ち込み、催し物の中止・延期も相次ぎ、多大な影響を受けました。そのような中でも戸別配達網の維持に力を注ぐ一方、広告のオンライン営業やウェブを活用したイベントなど、新たな挑戦も始めました。

 広告委員会が5月に行った「新型コロナウイルスとメディア接触・信頼度調査」によると、コロナ関連のニュースが報じられるようになって以降、「要点がまとめられている」「情報が幅広い」などの理由から、新聞が発信する情報への接触が増加していることが分かりました。メディアの信頼度では、全メディアの中で新聞がトップとなりました。

 読者からの公募をもとに選んだ今年の新聞週間代表標語は、「危機のとき 確かな情報 頼れる新聞」でした。読者の信頼に応えるために、新聞各社は今後も、報道機関の使命を果たしていくことが求められています。

 新聞協会としても、各社の努力を支え、後押しできるよう、活動を展開してまいりました。いくつかご報告いたします。

 今年から、新聞協会賞を編集部門に絞って表彰することにしました。正確で質の高い情報の価値、新聞の公共的な役割を多くの方々に再認識していただくために、報道の力を強調することを狙いました。

 これに伴って、新聞協会の公式サイト「プレスネット」の中に「ジャーナリズムの力」という特設サイトを設けました。今後コンテンツを充実させ、大学との連携なども図って、日本全国だれもが知っている新聞協会賞に育てたいと考えています。

 無購読者対策には引き続き力を入れました。PR活動を行うとともに、新聞を手に取っていただく機会を増やすため、試読紙を配布する期間の延長に取り組みまして、先日、承認となりました。

 活字の学びの重要性を訴える活動も始めました。学校でICT教育が推進されようとしている今だからこそ、デジタルと活字のバランスを呼びかける必要があると考え、有識者の方々らとともに、「活字の学びを考える懇談会」を設立しました。

 先日、NIE全国大会を35年に及ぶNIEの歴史上初めてオンラインで開催しました。シンポジウムや小中高校の実践発表などを動画で配信し、全国各地の1,190人の先生や教育関係者らが視聴登録されました。一人分の登録で数人以上ご覧になるところも多く、動画は来年2月末まで視聴できます。登録された人数の何倍もの方々にご覧いただくことになるはずです。

 開館20周年を迎えたニュースパーク(日本新聞博物館)では、緊急企画展「新型コロナと情報とわたしたち」を開催し、SNSで人々が情報に惑わされた「インフォデミック」の事例や新聞の役割を伝えました。

 新型コロナウイルスが世界に与えた影響は計り知れません。先行きは不透明であり、新聞の役割は一層大きくなっています。この大会を通じて、新聞が今の危機をどのように乗り越えるか情報を共有するとともに、コロナ禍の先にある新たな時代の新聞の使命と役割についても考えたいと思います。

 本日は皆様方と活発に意見交換を行って、有意義な大会となることを願い、開会のあいさつといたします。

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