新聞大会会長あいさつ

第71回新聞大会 新聞協会長あいさつ

2018年10月16日 仙台市
一般社団法人日本新聞協会 会長 白石 興二郞

 第71回新聞大会をここ、仙台市で開催することになりました。仙台での新聞大会は、1997年以来21年ぶり4回目となります。開催にあたり、地元・河北新報社の一力雅彦社主・社長はじめ皆様に大変なお力添えをいただきましたことに心から御礼申し上げます。

 今回の新聞大会では、新しい試みとして、式典に300人の高校生・大学生の皆さんをご招待しました。若い人たちは、日ごろニュースを知る手段としては、スマホを利用されることがほとんどでしょうか。しかし、新聞には政治、経済、社会のニュースだけでなく、学生生活や就職活動、社会で仕事をしていく上で役に立つ多彩な情報が掲載されています。ネットの情報に接するだけでなく、新聞を読む習慣をつけることが、情報を整理したり、考える力を身につけたりすることにつながります。短い時間ですが、本日この機会に新聞の世界を垣間見て、ぜひ新聞の魅力や役割を知ってもらいたいと考えています。

 今年は、北陸地方の記録的豪雪に始まり、7月の西日本豪雨、北海道胆振東部地震と大規模な災害が相次いでいます。北海道では道内全域停電が起き、多くの社で新聞製作に大きな影響が出ました。東日本大震災を機に、新聞社間では障害・災害発生時の相互援助協定締結が進み、災害の度に有効性が確認されています。しかし、2年前の熊本地震や西日本豪雨などの経験から、紙面を印刷することはできても、道路が寸断され、一定期間配達できない地域が生じるとの問題が浮かび上がってきています。さまざまな災害が各地で起きる状況に備え、非常時に新聞を待ち望んでいる読者に届けるための対策をさらに講じていかなければなりません。新聞協会では、災害対策特別委員会を中心に教訓・課題を整理し、情報共有を図っていきます。

 社会に新聞の価値、公共的な役割を理解してもらうためには、新聞に触れる機会が少ない人たちに、まず新聞を手にとってもらい、新聞を身近な存在に感じてもらう必要があります。教育現場で新聞を活用してもらうNIE活動にも力を入れて取り組んでおり、今春、高等学校の新学習指導要領が示され、小中高、すべての新学習指導要領の総則に新聞の活用が明記されました。教育界にも新聞が格好の学習材であるとの認識が浸透してきているからだと考えます。新聞協会の新しいキャンペーン「新聞科学研究所」でも、新聞が教育や暮らしに役立つことをSNSなどで無購読者らに訴求していきます。このようなPRを推進するためにはニュースパーク(新聞博物館)の活用も欠かせません。2019年春には、新聞の歴史展示の拡充のため一部改修も予定しています。新聞界の貴重な財産である収蔵資料を生かしながら、新聞の価値や役割を発信していきます。

 今年、財務省事務次官による記者へのセクシュアル・ハラスメントという極めて残念な事件が起きました。記者への人権侵害だけでなく、取材活動を阻害し国民の知る権利に悪影響を及ぼす重大な問題であり、新聞協会は6月20日、取材源などからのハラスメントには毅然と対応する旨の決議を行いました。他方、ハラスメントは行う側が振る舞いを改めるべき事柄であるにもかかわらず、取材制限に利用されかねない動きも見られます。国民の知る権利に奉仕する報道の役割を損なわないよう対応する必要があると考えています。一方、男女、障害の有無、育児、介護などの別を問わず、誰もが働き続けることができる職場環境の整備に取り組むことが求められています。

 メディア環境が多様化するとともに、さまざまな局面でデジタルマーケティングが進み、それぞれの媒体特性を生かした統合的なコミュニケーション活動が顕著になっています。新聞各社はこのような状況下で、新聞広告を軸に、デジタルメディアやテレビ、イベントなどをクロスした提案活動を本格化させています。新聞広告と新聞社がもつ様々な機能を組み合わせ、広告主や社会に対し新しい課題解決の提案をすることによって、今後ますます社会に貢献できると考えています。

 11月28日から3日間、3年ぶりとなる新聞製作技術展(JANPS)が東京ビッグサイトで開催されます。テーマは「今だからこそ正確な情報を――読者に届けるテクノロジー」です。フェイクニュースが問題となる時代に、正確で質の高い情報を確実に読者に届ける責務を負う新聞・通信社。それを根幹から支える技術が一堂に会するイベントです。厳しい経営環境を背景に、各社が開発を進めてきた新聞製作技術や、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れた新たな技術も紹介される予定です。

 2019年10月には、消費税率引き上げが予定されており、それに合わせて、新聞などを対象に軽減税率制度が導入されます。軽減税率の新聞への確実な適用と、即売や電子新聞、出版物も対象に含めるよう理解を求める活動を強化していきます。一方、軽減税率の対象商品であるからこそ、今後、社会が新聞を見る目は、より厳しくなっていくものと思われます。今まで以上に販売改革を進め、販売規制を招かないためにも、発行本社が責任をもって販売マナーとルールの順守を徹底しなければなりません。

 新聞を取り巻く環境は一層厳しくなっています。民主主義を支える新聞の役割を改めて認識し、この難局を一丸となって乗り越えていきたいと思います。本日は皆様方と率直な幅広い意見交換を行い、有意義な新聞大会となることを願って、開会のあいさつといたします。

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