新聞大会決議一覧

第76回(2023年度)

 SNSは自由に情報を受発信できる環境を人々にもたらした一方、自分好みの情報による心地よい空間を求める風潮を生みだした。多面的な現実を伝えるニュースをどう届けるかが、報道機関の課題となっている。

 生成AIの登場により、社会にさまざまな変革が予想される。生産性や利便性の向上が期待される半面、偽情報の拡散をいっそう助長し、民主主義を支える言論空間の健全性を損ねる危険性もある。著作物の無秩序な利用や、過度な依存による思考力の低下も看過できない。

 私たちは、正確な報道と公正な論評を、人々に届け続け、健全な言論空間を守り育てなければならない。情報環境の激動期にあって、民主主義の発展に寄与することを誓う。

第75回(2022年度)

 戦後の国際秩序を武力によって大きく揺るがす事態や、選挙期間中に元首相が銃撃されるという暴挙が発生した。平和と民主主義を破壊する行為を、私たちは決して容認できない。

 感染症の流行による社会・経済活動への打撃は、物価の上昇と相まって、国民生活に多大な影響を及ぼしている。相次ぐ自然災害に備え、地域の防災、減災の力を高めることも急務である。

 報道機関は、正確で信頼される報道と責任ある公正な論評で、課題解決に向けた多様で建設的な議論に寄与しなければならない。私たちは平和と民主主義を守り、その担い手である人々が安心して暮らせる未来を築くため、ジャーナリズムの責務を果たすことを誓う。

第74回(2021年度)

 東日本大震災から今年で10年となった。被災地の復興は道半ばであり、他の地域でもこの間、大きな自然災害が頻発している。新型コロナウイルス禍は、人々の営みに大きな影響を与え、困難と課題をもたらしている。

 社会の先行きは依然不透明である。真偽不確かな情報もあふれている。その中で、信頼される情報の重要性は一層高まっており、新聞には、正確な報道と公正な論評を通じて人々に判断材料を提供し、世代を超えて広く議論を喚起する役割が求められる。

 私たちは責任あるジャーナリズムの担い手として、よりよい社会の実現に向け、自らの使命を果たしていくことを誓う。

第73回(2020年度)

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスは、われわれの日常生活を一変させた。いまだ収束の見通しが立たない状況に、これまで経験したことがない深刻な不安が生じている。平穏な暮らしを奪われたわれわれに、自然災害の頻発がさらに追い打ちをかけている。

 前例のない危機の渦中で飛び交う不確かな情報は、人々の間に混乱や分断を招き、不当な差別や偏見をも助長している。今だからこそ信頼性の高い情報が強く求められている。大きく変容する社会の中で、新聞は正確で公正な報道を通じて、責任ある言論活動を行わなければならない。

 私たちは、課せられた責務をあらためて認識し、国民の安心・安全な生活に寄与するとともに、公共的な使命を果たしていくことを誓う。

第72回(2019年度)

 わが国では、急速な人口減少や情報通信技術の進展により、社会・経済の構造や人々の価値観に大きな変化が生じている。国の内外では、摩擦や分断も生じている。

 正確で信頼性のある情報を提供し議論の場を形成するジャーナリズムの役割は、今こそ重要になっている。令和の時代を迎えても新聞は、人々の考える糧となり、地域や世代を超えて互いに尊重し合える社会を支えていく。

 この秋、消費税率引き上げに伴い、宅配新聞の購読料に軽減税率が適用された。私たちは社会にとって不可欠な存在として、自由で責任ある報道に努めていくことを誓う。あわせて、公共財である即売や電子版の新聞、出版物への軽減税率適用を求める。

第71回(2018年度)

 東日本大震災以降も各地で災害が多発し、人々の平穏な生活を脅かしている。政府における公文書の改ざん・隠ぺいは、事実に基づく議論によって成り立つ民主主義の根幹を揺るがした。正確で有用な情報を届け、真実を追究するジャーナリズムの役割はますます大きくなっている。

 明治以来150年、新聞は苦難の時代を経験しながらも日々の歴史を記録し続けてきた。さまざまな情報が行き交う今日、私たちはより一層信頼されるメディアとして、公共的・文化的使命を果たし、国民の知る権利にこたえていくことを誓う。

 併せて、読者が新聞を購読しやすい環境を維持するためにも、消費税率の引き上げ時には新聞への軽減税率が確実に適用されるよう求める。

第70回(2017年度)

 不確かでゆがめられた情報が拡散され、事実を軽視する風潮が広がっている。一方的で感情に訴える主張により、報道の信頼性をおとしめる動きもある。とりわけ大きな社会的責任を担う者が、事実や批判に向き合わなければ健全な民主主義は維持できない。

 こうした時代にあってこそ、新聞は毅然とした姿勢を保ち、正確で公正な情報を提供しなければならない。私たちは、言論・報道活動を通じて、国民の安心・安全な生活に寄与するとともに、自由で平和な社会の実現を目指す。

 第70回新聞大会にあたり、新聞に課せられた責務を胸に刻み、ジャーナリズムの公共的な使命を果たすことを誓う。

 併せて、消費税率の引き上げ時には新聞への軽減税率適用が確実に実行されるよう求める。

第69回(2016年度)

 テロの拡散や異なる価値観を排除する風潮など、生活の安全と言論・報道の自由を脅かす動きが広がっている。新聞は公正な報道と責任ある論評を通じ、自由で平和な社会の実現に努力しており、その役割はますます重要になっている。

 新聞は、国際的視点からの報道だけでなく、地域社会に根ざした報道にも力を注いでいる。熊本地震では避難生活に不可欠な情報を迅速に被災地へ届け、読者から厚い信頼と高い評価を得た。

 私たちは今後も現場に密着した取材と多面的な報道により、民主主義の発展に貢献し、社会の公共財としての責任を果たすことを誓う。

 併せて、消費税率の引き上げ時には新聞に軽減税率が確実に適用されるよう求める。

第68回(2015年度)

 戦後70年、新聞は平和と自由を希求し、多様な言論で国民的議論を深化させる役割を担ってきた。日本の安全保障政策が大きく転換しようとしている中、あらためて新聞人としてその責任を自覚したい。

 民主主義の根幹である報道の自由は、戦後社会が最も尊重してきた理念の一つだ。しかし、政界の一部にそれを軽んじる風潮が見られる。われわれは、いかなる圧力にも毅然たる態度で臨み、国民の知る権利に応えていく。

 日本はいま、内外のさまざまな構造変化を受け、多くの課題を抱えている。新聞は未来に向け、あるべき社会を読者とともに考え、公共的な使命を果たしていくことをここに誓う。

第67回(2014年度)

 私たちが規範とする新聞倫理綱領は、正確で公正な記事と責任ある論評で公共的使命を果たすことが新聞の責務であるとうたっている。新聞は歴史の厳格な記録者であり、記者の任務は真実の追究である。

 しかし、今、新聞への読者・国民の信頼を揺るがす事態が起きている。私たちはこれを重く受け止め、課せられた使命と責任を肝に銘じ、自らを厳しく律しながら、品格を重んじ、正確で公正な報道に全力を尽くすことを誓う。

第66回(2013年度)

 メディアが多様化し、社会にはおびただしい情報が飛び交っている。そのなかでも、現場に密着して真実を追求する新聞の基本的役割は、いつの時代も変わることはない。

 新聞は常にジャーナリズムの原点に立ち、あらゆる世代に絶え間なく知識を伝えることで、今後も健全な民主社会の必需品でありたい。自由な取材・報道と経営基盤の安定があって、新聞はその使命を果たすことができる。

 民主主義を支える基盤としての権力監視、多様な意見の紹介、的確な論評と解説、日常生活に欠かせない情報の提供、公正な歴史の記録者――これらの公共的な役割を、わたしたち新聞人は品格と強い責任感をもって果たし、より平和で安定した社会の実現に寄与することを誓う。

第65回(2012年度)

 東日本大震災と福島第一原発事故からの復旧・復興はまだ道半ばであり、今なお多くの人々は、不安な日々を過ごしている。こうした状況の中、政治は依然として混迷から抜け出せずにいる。

 新聞はいかなる時も正確な情報と多様な意見を国民に提供することで、民主主義社会の健全な発展と国民生活の向上に寄与してきた。今年8月、消費税率を引き上げるための社会保障・税一体改革関連法が成立した。新聞を含む知識への課税強化は民主主義の維持・発展を損なうものであり、新聞には軽減税率を適用するよう強く求める。欧州諸国が新聞購読料に対しゼロ税率や軽減税率を採用していることに学ぶべきである。

 真実を追究し、国民の知る権利に応える―これこそがわれわれの最大の使命である。今後も公共的・文化的使命を自覚し、多事多難な時代を乗り越えるために全力を尽くすことを誓う。

第64回(2011年度)

 日本経済は慢性的な財政危機を脱することができず、国内産業が疲弊するなか、戦後最高の円高に苦しめられている。東日本大震災と福島第一原発事故がもたらした甚大な被害は、国中を大きな不安で満たした。人々は日々の生活と将来に希望が持てないでいる。

 われわれは、この国難に際し、ジャーナリズムの公共的な使命を心に深く刻み、政治、経済、環境など多角的な視点から、日本が進むべき道を読者に提示し、未来への展望を切り開いていかねばならない。

 今後も読者に寄り添い、人々から信頼されるメディアであり続けるよう全力を尽くすことを誓う。

第63回(2010年度)

 将来を見通しにくい時代状況にあって、人々は安定した社会と安心感のある暮らしを求めている。

 情報環境が大きく変化するなか、新聞はこれまで培ってきた取材力と分析力を最大限に生かし、読者の情報ニーズに応えるとともに、社会生活を営む上で必要と考える事柄を的確に伝えていく。人々が考え、論じ、社会参加するために、新聞が果たすべき役割はいかなる時も変わらない。

 国民読書年の今年、われわれは改めて文字の力の尊さとジャーナリズムの精神を認識し、健全でより良い民主主義社会に寄与するため、不断の努力を重ねることを誓う。

第62回(2009年度)

 世界をおそった国際金融危機は、経済のありようを大きく変容させたばかりでなく、社会的にも大きな影響をもたらした。日本では政権が交代し、政治はかつて経験したことのない時代を迎えた。

 転換期には期待と不安が激しく交錯する。飛び交う情報には、それらを過度に増幅してしまうものも少なくない。

 新聞は、長い歴史の中で培ってきた取材力、分析力を生かし、大切にすべき価値について読者が冷静に考えることができるよう、報道を展開していかなくてはならない。

 真実の言葉と文字を紡ぎ、最も信頼される――新聞がそうしたメディアであり続けるよう、われわれは全力で取り組むことを誓う。

第62回新聞大会販売正常化宣言(2009年)

 われわれ日本新聞協会加盟の新聞各社は、読者の信頼と期待に応えるため、戸別配達制度を維持、強化し、新聞の公正販売を確固たる決意で推進する。

 このため、景品類提供のルールなどを定めた新聞公正競争規約を厳守するとともに、さらなる販売マナーの向上に努める。

 公正販売の実現は、発行本社と新聞販売所が一丸となって、全国的に推し進めることを誓う。特に関西地区の販売正常化は喫緊の課題であり、その実現に邁(まい)進することとする。

第61回(2008年度)

 破壊される地球環境、高騰する資源、危機に直面する経済・金融システム、進行する格差社会など、世界の人々はかつてない不安に脅かされている。

 こうした時代にあって、わたしたちは活字文化の責任ある担い手として、安心で安全な暮らしをより一層求めている人々の声にこたえ、新聞の使命を果たしていかなければならない。

 第61回新聞大会に当たり、われわれ新聞人は、自らを律し、いかなる勢力からも独立した自由を堅持し、新聞の価値を未来につなぐための不断の努力を続けていくことを誓う。

第60回(2007年度)

 地球環境が悪化し続け、絶え間ない紛争が世界を覆っている。内外で格差が拡大し、人々は平和で希望のもてる社会へ、正確な報道と説得力ある言論を求めている。

 新聞は、ネット社会の現実を見据え、あふれる情報の海の確かな指標として、読者と強い絆で結ばれた存在でありたい。

 60回を迎えた新聞大会にあたり、われわれは、報道の使命を改めて深く心に刻み、その達成に全力をあげることを誓う。

第59回(2006年度)

 中東情勢をはじめ、世界は絶え間ない抗争と緊張の中にある。わが国も少子高齢化、格差の広がりなど多くの課題を抱えている。人々は誰もが安心して暮らせる社会の実現を切望している。

 情報環境が大きく変化する中、新聞は、活字文化の担い手として、きめ細かな取材と分析、冷静で責任ある報道により、人々に確かな指針と展望を示さなければならない。

 新聞協会創立60周年を迎えた今、われわれ新聞人は、暴力によって言論を封じ込めようとする動きを許さず、新聞の自由と独立を守ることにより、ジャーナリストとしての使命を果たしていくことを誓う。

第58回(2005年度)

 戦後60年を迎えた現在、頻発するテロ、民族抗争の激化と、国際情勢は依然として不安定である。国内では、少子高齢化社会の到来、深刻化する災害・環境問題など先行きの見えない状況の中で、人々は希望と活力ある社会の実現に向け、確かな指針を新聞に求めている。

 第58回新聞大会にあたり、われわれ新聞人は、あらためて自由な言論の重さを認識し、これを損なういかなる動きにも毅然として立ち向かい、新聞に課せられた責務の遂行に全力を尽くすことを誓う。

第57回(2004年度)

 混迷するイラク情勢、各地で頻発するテロなど、依然として不安と緊張が世界を覆っている。わが国の将来をめぐる課題も山積し、メディアの基軸としての新聞の役割はますます重大である。

 われわれは、長い歴史と経験に裏付けられた正確公正な報道と責任ある多様な言論を展開することによって、平和で活力ある社会を実現する責務を負っている。

 第57回新聞大会にあたり、われわれ新聞人は、新聞倫理綱領の精神を踏まえ、読者との結びつきをいっそう強め、その信頼にこたえていくことを誓う。

第56回(2003年度)

 激しく移り動く時代の中で、不安と緊張が世界に広がっている。

 新聞は報道機関の中核として、正確かつ迅速な報道と自由で責任ある言論により読者・国民の信頼にこたえ、安全で希望のもてる社会の構築に寄与しなくてはならない。

 第56回新聞大会にあたり、われわれ新聞人は、新聞のさらなる可能性を追求し、使命の達成に力を注ぐことを誓う。

第55回(2002年度)

 世界は新たな国際秩序の形成に向けて激動を続け、国民は飛び交う情報のなかで、正確な報道と責任ある言論を求めている。

 新聞は言論・報道機関の中核として、多面的な分析と提言によって、現状を打開し、豊かで平和な未来への道程を明らかにしなければならない。

 第55回新聞大会に当たり、われわれ新聞人は、課せられた責務を自覚し、取材報道の自由を守り、公共的な使命の達成にまい進することを誓う。

第54回(2001年度)

 新聞は、読者の信頼のもとに、正確で責任ある報道と再販・戸別配達を通じて、民主的な社会の形成に大きな役割を果たしてきた。

 世界はいま激しく揺れ動き、人間の尊厳と文明を擁護する、毅然とした姿勢と英知が求められている。

 21世紀初頭の新聞大会に当たり、われわれはあらためて、言論・報道機関の中核として、その責務を自覚し、新聞倫理綱領、新聞販売綱領を守り、使命を全うしていくことを決意する。

第53回 (2000年度)

 社会、メディア環境が激変するなか、われわれは、21世紀に向け、新しい新聞倫理綱領を制定した。高い倫理意識を備え、正確・公正な記事と責任ある論評によって国民の「知る権利」にこたえ、もって新聞の公共的・文化的使命を遂行することを誓いあった。

 われわれは、その責務を果たすため、人間の基本的権利である「表現の自由」を守り、この自由を脅かすあらゆる動きに反対であることを表明する。同時に、新聞存立の根幹である再販・戸別配達制度の堅持に全力をあげることを決意する。

 再販堅持特別宣言(2000年10月17日)

 新聞の戸別配達は、多年にわたって国民・読者から高い支持を受けてきており、国民生活に必要な情報をあまねく伝えることによって、わが国の文化水準を高め、民主主義社会の健全な維持・発展に寄与してきた。

 この読者の負託にこたえ、報道・評論活動の充実とともに戸別配達を維持するためには、再販制度が不可欠である。

 われわれ新聞人は、新たに制定した新聞倫理綱領の精神に沿って、節度と良識を持って新聞の販売に当たるとともに、新聞の再販制度堅持に引き続き全力を傾注することを誓うものである。

第52回 (1999年度)

 活力ある日本社会の再生に向けて、新たな胎動が始まっている。

 新聞は、読者の信頼と共感を基盤に、現実を多面的に分析・報道するとともに、社会変革のうねりを的確にとらえ、積極的な提言報道によって、新世紀への展望を明らかにしなければならない。

 われわれ新聞人は、報道倫理の一層の向上に努め、新聞存立の根幹である再販・戸別配達制度を堅持して、公共的・文化的使命を達成していくことを決意する。

第51回 (1998年度)

 世界は今、通貨・金融不安など、深刻な危機に直面している。わが国にあっても、経済の再生をはじめとする諸政策の果断な実行が求められ、これを報道する新聞の責務は重い。

 新聞は、今日の社会状況を的確、多面的に掘り下げて報道、検証し、有効な提言を行って、読者とともに21世紀の展望を切り開いていかなければならない。

 われわれ新聞人は、再販・戸別配達制度を堅持しつつ、国民の負託にこたえて、言論・報道機関の中核として、その使命遂行に全力を挙げることを決意する。

第50回 (1997年度)

 社会の各分野で激しい変革が進み、価値判断の基軸が揺らぎ前途が不透明な時代状況の中で、基幹メディアとしての新聞が果たすべき役割は大きく、課せられた使命は重い。

 新聞人は、倫理の向上に努めながら紙面を充実させると同時に、再販制度を堅持することで迅速・確実な戸別配達制度を守り、読者の期待にこたえて、信頼をより確かなものにしなければならない。

 第50回新聞大会にあたり、われわれはさらに結束して緊要の諸課題を解決し、民主主義に不可欠な言論・報道機関としての責務を果たすことを誓う。

第49回 (1996年度)

 国際情勢が依然として激動する中で、日本の政治状況は先行き不透明な迷走を続け、経済活動も停滞したまま、人々の日常生活に不安を与える社会現象が続発している。メディア環境もかつてない激変期を迎え、情報の質が厳しく問われている。

 われわれ新聞人は、言論・報道機関の中核としての役割と責任を再認識し、再販問題をはじめとする外部からの不当な圧力に対してはさらに結束を強めて立ち向かい、新聞の自由と独立を確保しなければならない。

 協会創立50周年を迎えたいま、先人の努力と成果を受け継ぎながら、日本の明日のために役立つ新聞として、さらなる可能性を追求し続けていくことを決意する。

第48回(1995年度)

 国際社会が激動を続ける中、戦後五十年の節目を迎えたわが国においても、社会の安全と秩序を脅かすような出来事が相次いでおり、政治・経済の面でも混乱の度合いを深めている。

 新聞は、正確な報道と自由で多様な言論によって平和と共生を軸とした価値観を創生し、新しい社会秩序の構築に寄与することで、読者の信頼と期待に応えなければならない。

 われわれ新聞人は、活字メディアとしての誇りと自信を持って自らを厳しく律しつつ、再販問題など当面する諸課題の解決に全力を挙げ、社会公共的な責任を果たすことを誓うものである。

第47回新聞大会特別宣言(1994年10月18日)

 新聞の不正常な販売方法が、読者・消費者の新聞に対する厳しい批判と不信を招いている。われわれはこの極めて憂慮すべき事態を直視し、直ちに正常販売の徹底を図らなければならない。

 同時に、第三者による審議会の設置や外部に開かれた自主規制組織を実現することにより、公共性の高い言論報道機関としての新聞にふさわしい競争に努め、読者・消費者の信頼と要望にこたえていくことを、本大会の総意として宣言する。

第47回(1994年度)

 われわれ新聞人は、戦後日本の新しい出発にあたり、新聞に課せられた使命の重大なことを自覚して、高い倫理水準を保ちながら職業の権威を高め、その機能を完全に発揮することを誓った。

 今日の時代状況は、国際社会が新しい秩序の構築を模索する歴史的な激変期にあり、わが国もまた変革の決断を迫られて、自由で責任のある報道と、多様で的確な評論の展開が求められている。

 われわれ新聞人は、今こそ存立の原点に立ち返り、自らの改革を断行すると同時に読者の理解と信頼を確立して、基幹メディアとしての使命と役割を達成することに努めなければならない。

第46回(1993年度)

 国際社会は激動を続け、わが国もまた大きな変革期を迎えている。国民の関心は、変化への的確な対応と、二十一世紀に向けての明確な進路を探ることに向けられている。

 われわれ新聞人は、自らの体質強化をはかりながら、より自由で清新な報道・評論活動を展開することによって読者の期待にこたえ、新聞への信頼をさらに高めてメディアの中核的な役割を堅持し続けなければならない。

第45回(1992年度)

 地球環境の保全に対する取り組みが人類共通の急務となっている一方で、世界は冷戦終結後の新しい秩序を模索する激動を続けている。こうした歴史の転換期に、国際社会の一員としてわが国が果たさなければならない役割はますます大きくなっている。

 われわれ新聞人は、良識ある基幹メディアとしての自覚を新たにし、新聞の自由を支える経営基盤を固めながら、内外にわたる積極的な報道・評論活動によって読者の負託にこたえ、新たな信頼の確立に努めなければならない。

第44回(1991年度)

 ソ連情勢の激動をはじめ、内外に大きな出来事が相次ぐ中で、メディア環境も多様に変化し、新聞の在り方に対する人々の関心がますます強まっている。

 われわれ新聞人は、責任ある報道と活発な言論活動によって、新聞への信頼をさらに高め、読者とともに健全で民主的な社会の実現を期するものである。

第43回(1990年度)

 世界はいま、激動のうちに、緊張緩和と民主化を基調とする新たな時代を迎えようとしている。

 こうした変革期にこそ、正確な報道と自由な言論の展開が強く求められている。

 われわれ新聞人は、課せられた使命の重大さを自覚し、わが国はもとより、国際社会からも期待されている役割の達成に努め、時代の要請にこたえなければならない。

第42回(1989年度)

 内外の政治と社会は、いま、激しい変化の時代を迎えている。この中にあって、わが国の新聞には、国民主権のもと、議会制民主主義の健全な発展をはかるうえで、従来にも増して大きな役割と責任が課せられている。

 われわれ新聞人は、公正、活発な言論報道活動を通じて、国民各層の選択と判断に寄与するとともに、報道機能の一層の充実と経営の安定に努め、情報化社会における先導的メディアとしての責務を果たすことを誓うものである。

第41回(1988年度)

 新聞の自由は民主主義社会の根幹であり、これを維持し、伸展させるためには、新聞に対する社会の高い信頼がなければならない。

 われわれは、言論・報道に携わる者として、自らを厳しく律するとともに、編集、経営の両面にわたる活動を通じて、新聞の信頼性をさらに向上させ、新聞人に課せられた使命と責任を果たすことを誓うものである。

第40回(1987年度)

 日本を取り巻く国際環境は厳しさを加え、国内の各分野も多くの課題に直面している。これに対処する新聞の役割と責任はきわめて大きい。

 われわれは、より広い国際的視野に立ち、真の国益を守るため、報道活動の一層の充実と言論機能の高揚をはかり、この変革の時代に新聞に寄せられている社会の高い信頼と期待にこたえることを期するものである。

第39回(1986年度)

 情報化の進展が国民生活全般に大きな影響を及ぼしているなかで、言論・情報活動に携わる者の責任はますます重く、より厳しい自覚と高い倫理が求められている。

 われわれ新聞人は、「新聞倫理綱領」の精神を体し、制定四十年を機に改めてこの実践を誓い、自由で健全な民主社会の発展に寄与することを期するものである。

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