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規制強化は取材を制限 ドローン飛行禁止法改正で編集委代表幹事が談話

 防衛関連施設の上空および周辺での小型無人機(ドローン)の飛行禁止を盛り込んだ改正ドローン飛行禁止法が5月17日、参院本会議で可決、成立した。新聞協会の井口哲也編集委員会代表幹事(日経)は同日、「当協会の反対にもかかわらず改正法が成立したことは極めて遺憾だ」との談話を出した。規制強化は取材活動を制限し、国民の知る権利を侵害すると指摘。規制が必要な限度を超えないよう、運用を注視する考えを示した。

 現行法は国の重要施設や外国公館などの周辺およそ300メートル内での飛行を禁じている。改正法はテロ対策として、自衛隊や米軍の関連施設とその周辺上空も飛行禁止とした。

 飛行を禁じる防衛関連施設は防衛相が指定。警察が持つドローンの退去命令などの権限を、施設を警護する自衛官にも与える。

 防衛省によると、自衛隊の関係施設は営舎、訓練場、飛行場、通信施設など計2400。米軍関連の施設は約130。米軍関連では海上も飛行禁止区域に指定される可能性がある。衆参の内閣委員会は、飛行を禁じる施設を必要な範囲とし、国民の知る権利や取材・報道の自由の尊重を求める付帯決議を採択した。

 岩屋毅防衛相は17日の記者会見で「取材活動の重要性は理解している。国民の知る権利に配慮して、適切な運用を図りたい」と話した。飛行禁止施設の指定については「今後米側と協議し、必要性を踏まえて判断する。取材活動の自由にも十分配慮する」と述べた。

 新聞協会は2月、法改正に反対する意見書を政府に出した。身元が明らかな報道機関のドローンを一律に規制すれば取材活動に大きな影響を与えると指摘。行き過ぎたテロ対策で取材・報道の自由を阻害しないよう求めていた。

 ラグビーワールドカップと東京五輪・パラリンピックの会期中の会場および一部の空港周辺での飛行も禁じる。会場上空では組織委員会の同意があれば飛行できる。各特別措置法も一部改正した。

談話はこちら

(2019年5月17日)

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