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報道機関の適用除外周知を 情報隠しの横行憂慮 新聞協会、個人情報保護法見直しで意見

 新聞協会は1月10日、個人情報保護法の見直しに当たり、報道機関が法の適用除外であることをガイドラインなどで周知するよう求める意見書を個人情報保護委員会に出した。「『個人情報』を大義名分として取材で実名などを明らかにせず、不祥事の隠蔽(いんぺい)を図る事業者が後を絶たない」と指摘。事業者が報道機関に情報提供しても個人情報保護委は権限を行使しない旨を定めた規定についても、広く知らせるよう訴えた。意見募集に応じた。

 個人情報保護委は法の見直し案で「国民全体に利益をもたらすデータ活用促進」のため、目的外利用や第三者提供の制限といった事業者規制の例外を明確化する方針を示した。新聞協会はこれに対し、公益目的による例外規定で最も重要なのは報道などの適用除外だと指摘。これに一切触れていない見直し案の記述は不十分だと訴えた。

 一般人が法の対象ではないことを周知することも求めた。基本法と事業者規制を一体とした法の構成が国民を萎縮させているとし「社会の匿名化の抜本的な対策には、広報活動だけでなく、法の在り方に踏み込んだ検討が必要だ」と指摘した。

 個人が自身のデータの利用停止や消去などを企業に求める際の要件を緩和する方針に対しては、報道を引き続き適用除外とするよう求めた。報道各社は軽微な犯罪の記事を後に匿名化するなど人権・プライバシーに配慮しているとし「時の経過による問題が生じた場合は個別に解決を図るべき」だとした。その上で、記事データベースなど過去の報道も法の適用除外である旨をガイドラインに明記するよう求めた。

 見直し案には、企業、行政機関、独立行政法人を対象とする各個人情報保護法を委員会が管理する方針や、各自治体の個人情報保護に関する条例の一元化を検討する計画が盛り込まれた。

 意見書では、現行の行政機関個人情報保護法などには報道機関への情報提供を禁じない旨を明示した規定がないと指摘。また自治体がそれぞれの個人情報保護制度を持つ中で、災害の被災者氏名を公表しない自治体が出てきたことを問題視していると伝えた。報道の公益性を尊重して制度を検討するよう求めた。

意見書全文

(2020年1月10日)

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