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被災者の実名公表促進を 防災担当相に要望書 新聞協会

 新聞協会編集委員会は3月11日、自治体に災害の被災者の実名発表を促すよう求める要望書を武田良太防災担当相に提出した。被害状況、死者、行方不明者に関する報道は救援活動に資するだけでなく、防災・減災に向けた教訓を伝えるためにも重要だと指摘した。井口哲也代表幹事(日経)が内閣府の青柳一郎政策統括官(防災担当)に手渡した。

 政府の防災基本計画には死者、行方不明者の氏名公表に関する規定がなく、都道府県の対応が分かれている。要望書は、西日本豪雨(2018年)で岡山県が安否不明者名を早期に公表し、効率的な捜索活動につながったことを例示。過剰な個人情報保護意識の高まりで被災者数しか公表しない自治体もあるとし、情報不足で救助活動が遅れ、人命が失われれば損失は計り知れないと訴えた。

 被災者の実名が伏せられると詳細な被災状況と教訓を報じることが難しくなり「災害の風化を早め、防災・減災に関する国民の意識を弱めることにつながる」との懸念も示した。自治体に死者や不明者の氏名、住所、年齢などの発表を呼び掛けるよう求めた。

 警察などの関連機関が都道府県への伝達と同時に報道機関に情報提供するよう、併せて周知してほしいと訴えた。災害対策基本法が定める安否情報の提供基準は家族からの問い合わせを念頭に置いたもので、報道機関への実名発表を制限する趣旨ではないことも伝えるよう求めた。また、自治体による被災者の実名公表を防災基本計画に盛り込むよう要望した。

 11日付で、全国知事会と47都道府県の知事にも詳細な被災者情報の発表を求める要望書を出した。

 要望書全文はこちら

(2020年3月11日)

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