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取材の監視、情報隠し懸念 ドローン登録 適正な運用を 国交省に編集委

 新聞協会編集委員会は8月20日、小型無人機(ドローン)の登録制度には取材活動の制約につながる恐れがあるとして、適正な運用を求める要望書を赤羽一嘉国土交通相宛てに提出した。国交省がドローンの持ち主の情報を安易に他の行政機関に渡せば、ドローン取材の不当な監視や取り締まり、さらには当局の情報隠しにつながりかねないと指摘した。社会のさまざまな事象を伝える報道機関の公益的な責務の重要性を訴えた。

 要望書は航空取材問題に関する小委員会の中西豊樹委員長(朝日東京)が国交省の担当者に手渡した。

 6月成立の改正航空法で、ドローンの所有者や機体情報の登録と、機体への識別番号の表示が義務付けられた。この新制度は2022年までに導入される。国交省は飛行中のドローンが発信する電波で機体を識別するシステムの導入も検討している。

 編集委は国交省に対し、ドローン所有者に関する情報の外部提供については、案件ごとに必要な限度にとどめるよう求めた。また、電波による機体識別システムの導入についても懸念を示した。この識別方式が制度化されれば、取材活動が不当に監視される懸念が一層深刻になるとし「その可能性は排除しなければならない」と訴えた。

 飛行禁止区域に主要空港と周辺上空を加えた改正ドローン飛行禁止法についても、合理的な理由なく取材目的の飛行申請を拒否しないよう、空港管理者への周知を求めた。

 身元が明確で安全に飛行している報道機関のドローンを一般機と区別せず一律に規制する改正法は、運用によっては取材活動への制約になると指摘。その上で、前回(19年)の法改正時に採択された国会の付帯決議を踏まえ、取材・報道の自由に配慮するよう要請した。

(2020年8月20日)

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