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記憶定着 紙が優位 デジタル教科書重視に警鐘 「活字の学び懇談会」講演会で東大院・酒井教授

 活字の学びを考える懇談会と文字・活字文化推進機構は6月2日、紙媒体を使った学習の効果に関する講演会を東京都千代田区の衆議院第1議員会館で開きました。東大大学院の酒井邦嘉教授が登壇し「学習・教育に効率を求めてはいけない」と指摘。紙と違ってかさばらないといったデジタル教科書の利点ばかりに注目することに警鐘を鳴らしました。

 酒井氏の脳活動の研究結果によると、製本された紙の教科書は「どの辺りのページに何が載っていたか」を把握できるため記憶を引き出しやすいそうです。一方、スクロールして情報をたどるデジタル教科書は「画面上の情報に定位置がないため、記憶が残りにくい」ことが分かっているとのこと。

 また、東京都荒川区教育センターの清水隆彦学校図書館支援室長と、荒川区立第三中学校の小柴憲一校長が、紙とデジタルの特性を生かした授業例を紹介しました。

 講演の後、文字・活字文化推進機構の副理事長を務める新聞協会の山口寿一会長(読売新聞グループ本社代表取締役社長)が登壇し「デジタル教科書の在り方や望ましい教育について議論するために目を通すべき論考が多くある。機構としてそれらの研究をまとめ、文科省の有識者会議に提供していきたい」と提案しました。

講演後に登壇した山口寿一新聞協会会長

(2021年6月2日)

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