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業務の絞り込み必要 NHK予算案に見解 メディア開発委員会

 新聞協会メディア開発委員会は2月10日、NHKの2023年度予算・事業計画案に対する見解を公表しました。予算規模は縮小しているものの、業務、受信料、ガバナンスの「三位一体改革」は道半ばだと指摘。「公共放送としてふさわしい番組」を点検した上で、必要な業務を絞り込むべきだと訴えました。「放送の補完」であるインターネット活用業務は抑制的に運用すべきだと主張しました。

 NHKは計画案で受信料の値下げの原資として新設した「還元目的積立金」に1920億円を計上しました。メディア開発委はこれについて「財政安定のための繰越金」が22年度末時点で2581億円に達することに鑑みれば当然だと主張。受信料値下げの影響による26年度までの赤字予算は、これまでの決算状況を踏まえれば「早期に黒字転換できる可能性もある」と指摘。子会社に「膨大な内部留保がある」ことも踏まえ、「受信料を負担している国民・視聴者に還元する姿勢を示してほしい」としました。

 番組制作費は「公共放送としてふさわしい報道・防災・教育・福祉・伝統芸能などのジャンルに集中すべきだ」と主張。「収支を勘案する民間企業では取り組みにくいコンテンツ」の制作に注力し、他のジャンルについては撤退または縮小することで経費を削減するよう求めました。

 ネット活用業務に関する費用は過去最大の197億円。メディア開発委はNHKが受信料を財源にネット業務を拡大すれば「民間メディアとの公正競争が阻害され、言論の多様性やメディアの多元性が損なわれかねない」と指摘しました。

 国内向けネット活用業務の予算の内訳をみると、常時同時配信などに65億円、それ以外の業務に102億円を充てています。同時配信以外の業務は、番組以外の情報を提供する「理解増進情報」を含みます。メディア開発委は理解増進情報について「特定の放送番組に関連付けられた補助的な情報の範囲のもの」との定義を拡大解釈し「なし崩し的に拡大している」と指摘。再定義などを求めました。

 NHKが展開するニュースサイトやアプリは、デジタルサービスでの有料会員の獲得や広告収入を得ることを目指す新聞・通信社と競合すると指摘。ニュースを深掘りして解説するコンテンツも散見されるとし「民間ならば有料化しなければ採算が合わない」とし、抜本的な見直しを要望しました。

 インターネット活用業務実施計画にも言及。受信料を財源として放送番組などをネット上で提供する「2号受信料財源業務」の実施方法について「原則としてNHKオンライン上のウェブサイト、NHK公式アプリを通じて提供する」と規定した一方、「ソーシャルメディアなどを積極的に活用する」との記述もあると指摘。NHKがプラットフォームとの結び付きを強めることは「市場に悪影響が生じないよう慎重であるべきで、限定的な運用が必要だ」と強調しました。

 見解の全文はこちらでご覧いただけます。

(2023年2月10日)

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