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<NIE全国大会・パネル討議>ICTがNIEの裾野拡大 読み比べは紙が便利 教育関係者ら

 初日の全体会で実施されたパネル討議は、指導の際に紙の新聞と新聞社が提供するデジタルサービスをどう使い分けるかなどに関し意見交換しました。松山市立小野小の今井互郎教諭、松山市教育委員会松山市教育研修センターの小田浩範指導主事、愛媛大教育学部付属小6年の新田航平さん、愛媛CATVお客さま本部営業部の野添美来氏、愛媛新聞社・地域読者局の大植美香読者部長が登壇しました。進行は愛媛大の鴛原進教授が務めました。

 大植氏は愛媛新聞社が2021年に開発した小中学生向け学習サイトを紹介。盲学校の生徒がサイトの記事読み上げ機能を使い、新聞の情報に触れる事例などを挙げました。「NIEの間口を広げる上でデジタル技術が果たす役割は大きい」と述べました。

 今井氏は小中学生に1人1台の電子端末を配る政府の「GIGAスクール構想」を踏まえ、記事検索に関しては「デジタル活用が有効だ」と指摘。一方、複数紙の記事を読み比べる際は紙の方が便利だと話しました。端末での新聞作りはインターネットで調べた内容を引用できるため「子供の理解が深まっていないと感じる場面もある」としました。

 小中学校での情報通信技術(ICT)教育の推進に取り組む小田氏は「紙かデジタルか」の選択について「子供が自分に適した学習方法を決められるようにすることが大事だ」と話しました。今井氏は教員が紙とデジタルの良さを理解した上で「子供に双方の利点が伝わる指導が求められている」と語りました。

 若い世代の視点で新聞を活用する意義についても意見が上がりました。ネット回線の支援などの業務に携わる社会人4年目の野添氏は、顧客が関心を持つニュースに対応できるよう、紙と電子版の新聞を購読しているといいます。新聞の情報に基づいた接客で、顧客との距離を縮めたり信頼感の獲得につながったりしていると紹介しました。

 新田さんは海洋環境の保全の重要性を伝える手書きの新聞を作った経験を振り返りました。「新聞は自分の知識を深めるために必要な存在」だと話しました。

(2023年8月3日)

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