戦中写真をカラー・映像に わがこととして若者にも訴求 毎日新聞社・東大院と企画展 ニュースパーク
ニュースパーク(新聞博物館)は4月26日、企画展「戦後80年・昭和100年 報道写真を読む『1億人の昭和史』から『毎日戦中写真アーカイブ』へ」を始めました。毎日新聞社と東大院渡辺英徳研究室との共催。毎日の特派員が撮影した日中戦争と太平洋戦争にまつわる写真などを展示しています。生成AI(人工知能)によりカラー化した写真や、写真を加工して作った映像も紹介。「若い世代にも戦争を現実の問題として捉えやすくし、わがこととして考えてもらう」(渡辺教授)ことを目的としています。
毎日は600人超の特派員が撮影した約6万枚のネガフィルムを持っています。2022年から東大・京大と共にデジタルアーカイブ化を進め、活用法や見せ方の工夫について研究してきました。企画展では約100点を展示。①「大戦への道」②「特派員の足跡」③「戦争と動物」④「戦争と子ども・女性」⑤「不許可とフェイク」⑥「現在への道」―の6部構成としています。
③では、軍用動物として戦地に赴いた馬や犬、鳩(はと)などの動物と触れ合う兵士の姿を捉えた写真10点をカラー化して展示。軍用動物の多くが日本に帰還しなかったことも紹介しています。
また、戦中写真を基にAIで加工して作った映像を放映。映像に登場する兵士の顔を、来場者の顔に置き換えられる体験コーナーも設けました。
神奈川県の三尋木由夏さん(46)は、鮮明な写真と映像から戦中の様子を想像できたと話します。その上で、「人間の都合で戦争に駆り出された動物の境遇を思い、涙をこらえきれなかった」と語りました。
4月26、27の両日には、渡辺教授や貴志俊彦京大名誉教授らによる展示説明会を実施。約90人が参加しました。5月3~6日には戦中写真を基にした映像を複数の大型ディスプレーに映し出すコーナーを設けました。6日は、戦中を再現した仮想現実(VR)空間を、専用のゴーグルで体験できるイベントも開きました。
※企画展の概要はこちらからご覧いただけます。
(2025年4月26日)