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2009年 2月10日
住民と行政で作る「輝き」求め

北日本「地域再び」

平成の大合併からほぼ四年。富山県の市町村は今なお財政難に悩み、過疎地の住民には閉塞感も漂う。元日から始まった連載は、地域が再び輝きを取り戻すために何が必要かを探る。一月の一章『周縁のあした』(十二回)は、大合併で広がった新市の周縁、山村地域で目立つ「行政と住民とのズレ」を描いた。

役場がなくなり、日々の暮らしを支える「市」が遠くなった。南砺市平地域(旧平村)の相倉は世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の一つ。最近は屋根補修もスムーズに進まない。「市は合掌造りの価値を本当に認めているのか」。黒部市宇奈月地域(旧宇奈月町)の栗虫では昨年一月から、のり面の崩れた県道が通行止めのまま。「復旧を引き続き県に強く要望します」。市職員の説明はいつも同じだ。

岐阜県境近く、富山市細入地域(旧細入村)の蟹寺では昨年四月から民間バスが走り始めた。富山市から運行経費の全額補助を受ける。公共交通の空白地帯を解消、過疎化を食い止めるための「実験」だが、「便利なマイカーは手放せない」という住民が多く、バス利用は全く伸びない。

一方で、こんな例も。「おわら風の盆」で知られる富山市八尾地域(旧八尾町)の最奥部、大長谷には週二回、市内の食料品店が市の補助を受けて移動販売車で訪れる。集落を支えようという業者と行政の気持ちが一致した結果だ。

社会部が担当し、井口裕介・部長デスクと楠浩介、黒田修一朗、室田雅人三記者が取材陣を組む。井口デスクが「地域を輝かせよう。まずは住民が自覚してほしい。行政も一方通行にならないよう、住民目線で支援する。そんな地域の姿にしていきたい」と語る連載は、二月七日から始まった二章『効率化の果てに』で、行政の効率化が本当に住民のためになっているのかを問いかけている。(審査室)

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