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2009年 5月12日
課題見据え、処方せんを追求
徳島「とくしま医療考」
徳島県が抱える医療問題を昨年七月からほぼ隔月で追ってきた一面連載(第一部~第五部)が、四月に計三十六回で終わった。急ぐべき対策、全国各地の先進事例など、県民や医療機関に役立つ材料を提供した。
第一部「地域を守れ」は医師の偏在を取り上げた。新医師臨床研修制度で地方から医師が流出するのを食い止めるため、病院側は研修医確保に懸命。徳島大病院は県立中央、徳島市民両病院と連携し、三病院の診療科の中から研修先を自由に組み合わせることができる研修プログラムを導入してなんとか持ち直した。避けて通れない病院再編には、住民が納得する県のビジョンが必要と記者は強調する。第二部「救命救急」では、徳島赤十字病院が夜間・休日の時間外診療を受診した軽症患者から、時間外選定療養費として三千百五十円を徴収、小児時間外患者を減らして重症患者を受け入れやすい態勢にした例などを紹介した。
第三部「がん対策」では、急性期から回復期病院を経て早期に在宅へ移行するために、医療機関の連携と診療計画表の共有がいかに大切かを訴えた。第四部「忍び寄る危機」では、新型インフルエンザのまん延期に病院に感染者が運び込まれても、十分なマンパワーが確保できるかどうか分からない現状や、病院の耐震化の遅れを指摘した。
締めくくりの第五部は「先進事例」。がん患者が相談しやすいよう、同じがん患者や元患者が運営するサロンを大学病院などに設けた島根県出雲市の例など、参考になる。
政治部・門田誠、高島卓也、萬木竜一郎、橋本孝祐、社会部・芝原好恵、東京支社・池上治徳、武田浩文の七記者が担当。山口隆弘政治部副部長は「県内格差が大きい医療は県民の関心が高く、重要課題として取り上げた」と語る。(審査室)