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2009年 12月8日
信仰の山 人々の暮らしと共に

信濃毎日「御岳山」

長野・岐阜県境の御岳山。標高3067メートル。写真部企画の連載が特集面の3分の2を使って御岳山の姿を、山とかかわる人たちの営みとともに描く。7月に始まり、毎週火曜日に掲載中。

御岳山は山そのものがご神体だ。ふもとから山頂まで約3時間。その過程を、第1部『信仰と登山』で御岳講の信者たちは「心の大掃除」と表現する。「お山を踏んでいくと、嫌な気持ちも忘れ、心が新しくなる」。山小屋の主人たちは毎朝、御来光のぬくもりに「さあ、きょうも頑張らないと」と励まされる。強力(ごうりき)は信者の荷物を運ぶほか、高齢の先達(講の主導者)を背負って登ることも。強力歴30年余の木曽町の大工は「荷物を背負ってもらっても登りたい信者がいる、この山ならではの仕事」と胸を張る。

第2部『災害を越えて』は、1979年10月の「有史以来初めて」という大噴火、84年9月に王滝村を震源に起きた県西部地震が刻んだ山の姿を伝え、王滝村の復興の道のりなどを追う。

地元民は「御岳山に育てられたようなもの」と語る。王滝村では古くから保存食としてドングリを「ひだみ」と呼び、重宝してきた。村内の多くの家庭が、まきストーブの燃料にナラを使う。「御嶽はくさい」「御岳製材所」など、木曽郡内の生産者や企業は「おんたけブランド」を活用する。第3部『山の恵み』は御岳山の恵みと、それを生かす人々の工夫を追う。

雲上に朝日が輝き、その朝焼けに月が沈む荘厳な光景、一方で山腹に残る県西部地震のつめ跡など、写真部の北沢博臣記者の大型カラー写真が見る者を圧倒する。同部の新津和彦部長は「信仰の山であるとともに、ふもとの人々の暮らしに密着している、そんな御岳山を多角的に伝えていきたい」と語る。文は報道部の小松英輝、立松敏也、山越悌治3記者が担当している。(審査室)

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