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2010年 4月6日
混迷の時代 宗教に求める救い

京都「信ふたたび」

信仰に心のよりどころを見つけ、懸命に生きる人の思いを伝え、宗教を考える手がかりにもなる社会面企画。混迷の時代に人は宗教に何を求め、それに宗教は応えられるのか。

第1部「救われて」は1月、8回。日本バプテスト京都教会に身を置く77歳女性は、誰の身にも困難はあるが「神と一緒だと安心感があるのね」と話す。33歳女性会社員は、西本願寺の会館で開かれた仏教と音楽の融合イベントで、僧侶からもらったカードが「あるだけで心強い」。裁判官の時に集中力を失い、岡山市の日蓮系の寺で手を合わせて救われた59歳は、退官前に裁判官を辞めて僧侶になった。今は弁護士の仕事の傍ら、月に1回、寺で祭礼などを手伝う。

交通事故で次男を亡くした69歳女性は、お大師さんに心を癒され、四国八十八カ所を案内する先達の資格を取った。落ち込んでばかりいた54歳女性はイスラム教に入信、心が変わった。管長職だった臨済宗の一派を離れて医学部に入り直し、総合病院で患者と対話する55歳の「僧医」もいる。

第2部「届けたい」(3月、5回)は、救いを求める人たちの思いを受け止める宗教者を追った。若者に慕われ、悩みにこたえる住職。等身大のお坊さん像をインターネットで発信する僧侶。毎月、教会でホームレスに炊き出しする牧師。教団が戦争に協力した歴史を直視し、不戦の輪を広げる僧侶。心が通い合った女性を自殺で亡くした32歳は得度を受け、自殺問題をライフワークに決めた。

社会部の松本邦子、沢田亮英、藤松奈美、高元昭典、写真映像部の栗本禎二、辰己直史記者が担当。次は伝統教団を扱う予定。藤田治久・社会部部長代理は「信仰心は薄れつつあるものの、救いを求めることがあるのではないかと宗教に着目した」と語る。(審査室)

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