2010年 7月27日
出産・育児、読者と考える

大分合同「未来をはぐくむ 地域と歩む子育て」

子どもを産み、育てる―。未来をつくる根幹がいま、大きく揺らいでいる。古里・大分で安心して子どもを産み、健やかに育てていくには何が必要なのか。4月から始めた夕刊1面年間企画で、子どもたちと歩む地域社会の在り方を考えた。

NHK大分放送局との共同企画で、テレビでは特別番組を放送する。

第1部は「出産最前線」(4月、5回)。九州一の市域面積を誇る佐伯市だが、お産の施設は産婦人科クリニックと開業助産院のたった二つだ。500人を超す年間出生児の約7割をクリニックの医師が一人で取り上げている。「休日なし」のハードな日々だ。生命に危険のある妊婦と、先天性異常などがある赤ちゃんに最高度の医療を提供する大分県立病院総合周産期母子医療センターでは、年間400人以上の赤ちゃんが入院して治療を受けている。24時間明かりの消えることがない同センターは、新生児医療の〝最後のとりで〟となっている。 

小児医療体制を探った第2部「揺らぐ小児医療」(5月、5回)では、県内で唯一医学部を持つ大分大から医師の派遣を受けることで小児医療を守っている民間病院の実情や、救急病院の負担軽減をカバーする開業医の過重労働の現状など、「医師を求める地方都市」の姿が浮き彫りになる。

仕事と育児の両立を支援するためさまざまな社会ニーズに応えている保育施設をルポした第3部「保育の現場」(6月、5回)からは、手薄な行政支援の実態とともに、現代の家庭が抱える育児の不安や悩みが伝わる。

「県民共通の課題である『次世代の子どもたちをいかに育てていくか』を、読者と考えていきたい」と語る清田透・編集局次長兼報道部長。同部の百崎浩嗣、吉良政宣記者が担当。9部構成の連載とする予定。(審査室)

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