2010年 9月7日
「命の根源」を問う

佐賀「食の情景 さが暮らし再考」

生活習慣や食生活の変化に伴って、食に対する価値観が多様化し、食料自給率低下やメタボリック症候群、「孤食」など食をめぐる問題が複雑化している。佐賀県内の食の現状とその背景、対処法を社会面の年次企画(各部10回)で追った。

第1部「家庭はいま」(1~2月)は、食生活の情景だ。25年間夕食は外食という生活を続けている共働き夫婦は、子どもができても外食スタイルを変えない。「食」への価値観は多様化し、手軽に安く食べられる外食に抵抗感はない。家庭では、核家族化に加え、子どもたちも塾や部活で忙しく、一人で食べる「孤食」という現実が。「孤食」は、好きなものばかり食べる「固食」へ、やがて「偏食」に行き着く恐れがある。解決にはまず、「食」に対して関心を持つことだと連載は指摘する。

第2部「医食同源」(3~4月)は、健康と深く結びつく「食」がテーマ。健康食品に手を出し、医療費より高額な負担をしている実態。体をむしばむ暴飲暴食。食物アレルギー、摂食障害。食は命の根源。「食源病」という言葉もあり、食で健康を守るための課題を探る。 

第3部は「農の現場から」(5~6月)。天候も旬もお構いなしに、生産農家は野菜の安定供給を強いられる。「おいしい」だけでは買ってもらえないからと、次世代品種の開発に取り組むイチゴ生産者。だが手間やコストをかけても消費者は低価格の輸入農産物に流れるという現実もある。

そして偽装表示や残留農薬問題などの現状や取り組みを、第4部「安全・安心を求めて」(8~9月)で追った。

「食の大切さはみんな分かっていても、現実には食は軽視されがち。改善に向けたヒントも伝えたい」と報道部の森本貴彦デスク。同部の大隈知彦記者を中心とした取材チームが担当。(審査室)

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