2011年 4月5日
市場重視へ変わる交流

中国「熱風アジア」

広島県を中心に中国地方の企業がアジアで活躍の舞台を広げている。アジアは生産拠点としてだけでなく市場規模も急拡大、地域産業にとってもその将来を左右しかねない。昨年11月から1面と中国経済面の連載で、現地取材を交えながら企業の戦略や人、モノの動きをリポートしている。

第1部は「巨大市場インド」(昨年11、12月7回)。高度成長期に入ったインドで市場開拓に取り組むさまざまな企業を現地ルポで紹介した。殺虫剤製造のフマキラー(廿日市市)はインド南部などで蚊よけローションや蚊取り線香の販売に力を入れる。人口は世界第2位の12億人。「その大半を占める貧困層をターゲットにした」と現地法人社長。即席みそ汁販売に乗り出した呉市の食品会社などインド進出が相次ぐ。

第2部「交わる人材」(1月6回)は日本企業で活躍するアジアの人材を取り上げた。作業用ゴム手袋最大手のアトム(竹原市)はタイ現地法人の取締役にバンコク出身の女性を登用した。広島市立大学に留学経験があり、現地で販売拡大に腕をふるう。

第3部「日本へ」(2、3月5回)は広島県内に進出してきた韓国や台湾などアジア系企業を紹介。庄原市のゴルフ場は韓国資本の手で再建に取り組む。中国の巨大企業も進出をうかがうなどアジア資本の存在感が増している。第4部「海渡る食」(3月7回)は中国地方の日本食のアジア市場進出を探った。カキやお好み焼きなどが香港やシンガポールで販売先を広げている。

「アジアとの交流は市場重視へ質が変わってきた。中国地方の地域企業にとっても生き残りがかかっている」と宮田俊範経済部長。4部までは漆原毅、樋口浩二、高木潤記者が担当した。10部までの予定で、中国がテーマの第5部は4月後半の予定。 (審査室)

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