2011年 7月26日
暮らしを多角的に見つめて

大分合同「描く おおいたの未来像」

県の将来をどうつくっていくかを考える年間企画。元旦に大分県日田市の「頼母子(たのもし)」のにぎやかな様子を1面で紹介し、県内の首長・議員アンケートを中面に載せた。「日本一の田舎を目指す」と坂本和昭九重町長、「中津港を九州の海の玄関口に」と古江信一中津市議。夢は大きい。

第1部「売る」(5回)の舞台は上海。ブランド卵「蘭皇(らんおう)」を売る日出町の農産物商社「エビアン」の大嶋正顕会長は、「どこまで通用するか勝負」と上海に進出した。価格は中国の卵の2~5倍だが、品質が良くて「注文に追いつかない」人気。市場のスケールは日本とケタ違いで、「やればいくらでも売れるよ」。日田梨「新高」も1個108元(約1400円)と高いのに、上海中心部の食料品店で「贈答用によく売れている」。だが、課題も山積。商習慣の違い、他県、他国との価格競争、尖閣諸島事件のような外交問題のリスク。大事なことは信頼関係をつくること。「足しげく通い、熱意を伝え、プライベートで親密に」とジェトロ関係者のアドバイス。

東日本大震災は県民の防災意識を高めた。その当日、佐伯市鶴見にも高さ40センチの津波が襲来。もし10メートルだったら「全部流されてしまう」。5月に掲載した4部「まもる」(5回)で防災に家族や地域の絆の大切さを強調した。しかし、絆をつくり直すのも簡単ではない。鶴見でも昔は隣の家にもよく上がり込み「間取りも全部知っちょった」。今は顔なじみでも「遠慮」が先にたつ。体力の問題もある。津波が来たら「この中に100メートル走れるのが何人おるか」。6月に5部「支える」で「自殺防止」を考えた。

藤内教史、渡辺大祐両記者が担当。3部まで清田透前報道部長が統括し、4部から引き継いだ小田圭之介報道部長は「暮らしのさまざまな面から、大分の未来を見つめたい」と語る。(審査室)

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