2011年 12月6日
課題山積の現実を冷静に

静岡「続・浜岡原発の選択」

東京電力福島第一原発事故を受け、中部電力浜岡原発3~5号機が5月に全炉停止となった。東海地震の想定震源域の真上にある同原発の今後は……。2008年末から半年間、1・2号機を廃炉にして6号機を新設するリプレース(置き換え)計画浮上を機に「浜岡原発の選択」50回を連載した同紙が、あらためて続編に取り組んでいる。

序章「全炉停止」(5月3回)は、国の要請が寝耳に水だった地元の困惑などを指摘。続く「核燃料」(7~8月8回)では、09年に運転終了した1号機の燃料プール内に現在も1体残っている使用済み燃料が、17年前に放射能漏れ事故を起こした損傷燃料であることを報じた。いつ搬出できるか見通しは立っていない。

やはり運転を終了した2号機にも1164体の使用済み燃料が残り、今回停止した3~5号機のプールには計5460体の燃料がある。燃料棒中の放射性物質の崩壊熱は出続けており冷却が必要だ。「燃料が原子炉の中にある以上は原発を止めてもリスクは変わらない」との不安は消えない。

「見えない恐怖」(9~10月9回)は放射性物質拡散の影響を検証。「揺らぐ関係」(11月8回)では国や電力会社と住民、自治体間の亀裂などに焦点を当てた。中部電力が1号機の損傷燃料について、見通しがないのに処理可能と説明したことに、住民は「ありのまま公表してもらわないと」と不満を示す。浜岡原発の再稼働問題でも、原発を受け入れてきた立地市の御前崎市と、永久停止を打ち出した牧之原市など周辺との足並みはそろわない。

「脱原発であれ推進であれ、課題は山積している。スローガンを掲げるより、どうしていくか考えるのが大事。現実を冷静に伝えていきたい」と植松恒裕社会部長。取材班は社会部を中心に約10人。新エネルギー問題などもテーマに来春まで続ける予定だ。(審査室)

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