2011年 12月13日
想定外の事態に対策は

徳島「生きるために―迫る巨大地震」

東日本大震災を受け、南海トラフ(海溝)でも連動型巨大地震の発生が懸念され始めた。そんな巨大地震が襲ってきたらどうなるのか。従来の想定を上回る事態にどう対処するのか。今秋から社会面の年間企画で、対策を問い続けている。

第1部「次の『南海』は」(9月5回)で最新の地震予測を紹介した。南海トラフでは東海・東南海・南海の3地震が過去に繰り返し発生してきた。3地震の震源域より沖合には別のタイプの地震の震源域もある。これら四つの地震が同時に起こる「4連動も考えなければいけない」と古村孝志東大地震研究所教授。関西大や京大などの研究でも「4連動なら津波の高さは3連動型の約1.5~2倍に達する」という。

第2部「避難困難地域」(10・11月9回)では津波到達までに安全な場所に逃げられない地域の実情を報告。徳島市川内町で9月に行われた防災訓練では、肝心の津波避難訓練ができなかった。町内9地域には避難施設がゼロ。逃げ込む場所すらないからだ。こんな地域は県内で徳島市を含め6市町にあり、住民は3万5千人余に上る。

第3部「守れ災害弱者」(11・12月10回)は小学校や保育・幼稚園、高齢者らの津波対策を点検。地震発生後10分以内に津波が到達する海陽町の小学校は避難先を校舎3階(海抜10メートル)から標高25メートル程度の裏山に移した。牟岐町の保育園も避難場所を屋上から1キロ先の高台の団地に変更。だが、職員には幼児の手を引きながらの避難に不安もある。海沿いの高齢者福祉施設では「想定外の津波が来れば避難できない」と本音も漏れる。

社会部の谷野圭助、北野昇、森麻実の3記者が担当する。「解答は出せないが、何とか皆で考えようと呼びかけたい」と谷野キャップ。年明けの第4部は自治体や企業の対策がテーマ。(審査室)

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