2008年 2月26日
総指摘件数1614件

〈指摘件数〉新聞協会審査室は、一九五一年以来、新聞倫理綱領、新聞広告倫理綱領の精神に照らし、協会会員の紙面に掲載するのは不適当と判断した記事・写真等の件数を「指摘件数」としてまとめている。審査室が指摘を行う際の基準は、「性表現の行き過ぎ」が中心である。

露骨な性描写、目に付く

二〇〇七年中の総指摘件数は、千六百十四件で、前年(九百八十八件)を大きく上回った。一件でも指摘を受けた新聞は、夕刊紙二紙とスポーツ紙八紙(即売版)の計十紙で、一般日刊紙は含まれていない。

総指摘件数は、一九五一年に同調査を開始してから、七〇年代まで年間千件を超えることはなかったが、八〇年代に二千件台に急増、九〇年代前半まで千件前後で推移した。最近五年間は千件を超えることはなかった。千六百件台という指摘件数は、八六年に記録した千六百十九件以来である。

九九年から二〇〇三年まで指摘件数の大半は性風俗産業に従事する女性を顔写真つきで、電話番号、サービス料金などを含めて紹介する記事(「女性紹介記事」)だったが、〇四年以後、女性紹介記事は大幅に減少した。その一方で、性風俗産業で働く女性やアダルトビデオを紹介する写真、イラスト、漫画などが急増した。とりわけ、それらに、性行為や女性の局部・アンダーヘアなど、露骨な性描写が目に付くようになっている。

〇七年大幅に件数が増えた背景については、ビジュアル面の過激化が進んだことと合わせて、同年二月、審査委員間で、問題部分については「協会加盟紙として適切か」という観点で、厳密に見ることを申し合わせたことも、一定程度影響していると思われる。

〈記事・社説の盗用相次ぐ〉記事、社説の盗用が、相次いで発覚した。

朝日新聞社は、東京本社編集局員(写真センター)で新潟総局駐在の記者が、〇六年四月以降、記事執筆時、読売新聞や新潟日報の記事表現を盗用していたとして、〇七年二月、同記者を諭旨解雇、責任者らを処分した。

山梨日日新聞社は、前論説委員長が〇四年以降の社説執筆時、全国紙、地方紙の社説を盗用していたとして、二月、本人を懲戒解雇し、責任者らを処分。野口栄一取締役会長兼社長は辞任した。

新潟日報社も、論説委員が執筆した社説に全国紙の社説からの盗用があったとして、三月、同委員を諭旨解雇し、星野元代表取締役社長も報酬を一部返上した。

報道の自由めぐり懸念もも

〈取材源と取材者の関係をめぐる事件〉三つだけ書き留めておく。

一は、毎日新聞社会部の記者が、取材中のやりとりを録音したICレコーダーを外部の人物に渡し、インターネットにも流出した事件。毎日新聞東京本社は、三月十二日、記者、責任者らを処分した。

二は、奈良県の医師宅放火事件で、容疑者である長男らの供述調書をフリージャーナリストの草薙厚子氏に見せたなどとして、奈良地検が、十月十四日、長男の鑑定医を秘密漏示容疑で逮捕した。

三は、読売新聞記者に防衛上の秘密を漏らしたとの疑いで、防衛省の一等海佐が、〇七年二月、自衛隊の警察組織から事情聴取や自宅捜索を受けた問題。

報道側に責任があるものと無いものがあるが、いずれも、取材・報道の自由や知る権利を危うくしかねない問題として懸念が広まった。

〈集団的過熱取材〉兵庫県加古川市で十月に発生した小学二年生の女児殺害事件では、新聞・通信・放送十一社で作る在姫路の報道責任者会「十社会」が、近隣住民への配慮のため、自主的に「被害者家族をはじめ、周辺住民、学校など関係者の心情やプライバシー、人権に配慮し、節度をもって取材・報道にあたる」ことを申し合わせた。

〈第三者機関〉報道で名誉棄損やプライバシー侵害など人権侵害問題が起きた場合に、社の対応や解決手続きが適切だったかなどを検証する第三者委員会は、〇七年五月時点で、準備中一社を含め、三十八社三十九組織。(審査室)

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