2008年 9月23日
不祥事続き、責任重く

日本相撲協会の北の湖理事長が八日、辞任した。八月にロシア出身力士の若ノ鵬が大麻所持の容疑で逮捕され、今月に入っては抜き打ち尿検査で露鵬と白露山のロシア人兄弟力士に大麻の陽性反応が出た。昨年から、時津風部屋の力士死亡事件、横綱朝青龍がサッカー騒動で二場所出場停止など不祥事が絶えず、トップの責任が問われていた。大麻問題の三力士は解雇処分となり、武蔵川新理事長(元横綱三重ノ海)は国技の立て直しという重い荷を背負った。八十七本の社・論説が取り上げた。

なれあい改める必要

〈遅れた対応〉毎日「トラブルが起きるたび、北の湖前理事長は『警察の捜査に任せる』『弟子の指導は師匠の責任』と、協会トップとしての責任を回避し続けた。事態を深刻に受け止め、きちんと対応していれば相撲界がこれほど世間から冷たい視線を浴びることもなかっただろう」、日経「白露山は北の湖理事長(55)の部屋の力士である。兄弟は全面否定していた。北の湖理事長も『本人は否定している』などとかばった。八日、ようやく北の湖理事長が辞任したのも角界内部からの突き上げで『解任』の圧力が高まった背景がある。優勝二十四回の大横綱が任期途中で辞任するということは重いが、理事にとどまったことで世間の理解が得られるかどうか」、北海道「本人たち(兄弟)は吸引を認めていないが、再発防止検討委員会で、大麻使用を否定するのはむずかしい―との結論に達した。大麻の使用だけでは、刑事罰の対象にはならない。だが、子供からお年寄りまで、幅広いファンを持つ『国技』である。社会に与える影響の大きさを考えれば、解雇は致し方あるまい」、琉球「(尿の)分析に当たったのは、世界反ドーピング機関(WADA、本部・モントリオール)の公認を受けた国内唯一の薬物分析機関であり、ドーピング検査では世界最高水準だ。五輪でメダルはく奪の根拠となる検査分析ができる公認機関の結果ともなれば、疑う余地はないだろう。真実は一つのはずだ」。

〈指導者不在〉産経「親方衆から『昔は良かった』との嘆きを耳にするが、全身全霊を傾けて弟子を鍛えている指導者が何人いるだろうか。不祥事が北の湖部屋まで及んだのは、相撲界が重く病んでいることを如実に知らしめたのではないか」、高知「後手対応の責任は北の湖理事長だけが負うものではない。問題の根っこは力士出身の親方衆だけで運営してきた協会のなれあい体質にある。トップをいさめる機能を持ち得なかった理事会や、そうした理事会理事を選んできた親方衆にも責任があろう」、北國「現在、七百人以上いる力士のなかで、外国人力士は六十人を超えるまでになった。体格に勝る外国人力士の活躍は、大相撲に新たな活気をもたらしたが、古き良き伝統やしきたりがルーズになっているように思える」、宮崎「外国出身力士だからこそ、師匠はより丁寧に、時間をかけて指導すべきだし、師匠たちの考え方も根本から変える必要がある。相撲に限らず、格闘技系の競技者は試合場以外での行動にしっかりした節度が求められる」、河北「前理事長が四選を果たしたのは今年二月。時津風部屋の力士急死事件、朝青龍のサッカー騒動などを経てなお、『北の湖体制』を維持したことへの反省が深まらなければ、トップに物言う改革は生まれない」。

外国人力士教育に力注げ

〈体質見直し〉京都「大麻問題の背景に、急増する外国人力士の教育問題があるのは明らかだ。有望というだけで甘やかさず、日本の法律や社会規範をしっかり身につけさせる必要がある。部屋ごとの師匠だけに任せるのではなく、協会が指針を定め直接に指導する態勢が欠かせない。一連の不祥事を顧みれば、社会常識に疎い親方たちの再教育も考えられてよかろう」、朝日「今回の抜き打ち検査は、幕内と十両が対象だった。若ノ鵬の事件が彼一人の問題であることを明らかにするのが狙いだったが、結果は逆になった。早急に幕下以下全員の検査が必要だ」、読売「ファンの厳しい目を意識し、大胆に改革を進める必要がある。まずは、理事に外部の有識者を迎え入れ、閉鎖的と言われてきた協会運営に新たな発想を取り入れるべきである。基本的には各部屋に任せている力士教育の見直しも欠かせない。協会が定期的に研修を実施する体制を整えるべきではないか」、中日・東京「伝統文化の担い手として独自の世界を築き、力士経験者だけで運営してきた大相撲。ただ、外国人力士も増える中、その閉鎖性、独善性が負の部分をも生み出し、助長してきたのは間違いない。今後の改革の行方は、そうした体質そのものを本気で刷新できるかどうかにかかってくるだろう」。(審査室)

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