2009年 1月1日
12段制へ踏み出す

二〇〇八年は、文字拡大と段数変更が相次いだ。高齢者にも若者にも読みやすい紙面作りを目指したもので、ことに段数に関しては、長らく続いた十五段が圧倒的多数という状況からの転換の年となった。紙面内容の刷新としては、解説機能の強化、地域への一層の密着、読者との双方向性の重視、動画サイトとの連携などが目立った。また、一部に夕刊を廃止し、朝刊と統合する動きがあった。逆に、夕刊の位置付けを見直し、再活性化を図る動きもあった。

各紙が文字拡大

〈文字拡大〉『新聞技術』二〇四号が〇八年四月現在で実施した調査によると、〇七年から〇八年春にかけて文字拡大を図ったのは、予定を含め七十一紙で、二十九紙が十二段制に移行または移行予定だった。一行文字数については、「十二段制で十二字」が十四紙、「同十三字」が十五紙、「十五段制で十字」が三十五紙、「同十一字」が二十五紙などと対応が分かれた。

文字拡大は〇七年十二月、毎日が「J字」で先行。十五段制を維持しつつ文字数を十一字から十字にした。これに対し、朝日と読売は、〇八年三月から十二段制に移行。地方紙にも段数変更や文字拡大の動きが広がった。必要な情報量を減らさないため、記事のコンパクト化、見出しのスリム化などに各社が工夫を凝らした。

〈解説強化〉読売は、ニュースの価値や意味をコンパクトに説明する解説記事を大幅に増やした。また、長文の解説記事には、そこだけ読めばポイントが分かる要約を添え、「基礎からわかる」シリーズも拡充した。毎日は、複雑で分かりにくい出来事や専門用語を分かりやすく解説する「ニュースナビ」を一ページ使って展開。親しみやすいキャラクター「なるほドリ」と記者の掛け合いでニュースを解説する「質問なるほドリ」も秋からは連日掲載に。日経は、「ニュースマスター」面を新設、専門に傾きがちな経済ニュースを、高齢者から若者まで幅広い読者に分かりやすく伝えることを目指す。

中日は、時事問題の背景をかみ砕いて伝える「ニュース がってん」面、山陽が「ニュースがわかる」面をそれぞれ新設。京都もニュース面を一面増やし解説などを充実させた。Q&A式の解説欄として、北海道が「ニュース虫めがね」、信毎が「ニュース早分かり」を新設。地域ニュースに関しても、大分が「深掘り・大分ニュース」を始めた。ストレートな解説ではないが、西日本は、現場での取材体験に基づき、課題を深く考え、記者自身の視点、提言、思いを込める大型記者コラム「現場から」を始めた。秋田は、一週間のニュースをダイジェストでまとめる「NEWS閲覧室」を始めた。

〈地域密着〉地方紙では、地域密着を一層進めることがうたわれた。その際、従来の地域版の整理や、広域地域面のワイド化などが図られることが目立った。例えば、河北は、みやぎ版で仙台圏の取材を強化、また、見開きの「ワイド東北」面を新設、東北各県の政治行政、話題を一覧できるようにした。福井は福井市面を拡充、ワイド化。京都は、京滋のホットな話題を紹介する「地域プラス面」を新設。山陽は、岡山、倉敷・総社CP版をワイド化。山陰も、山陰ワイド総合面を週一回増ページ。熊本も「都市圏ワイド」を週一回から四回に拡充した。

〈双方向性〉信毎は、もっと新聞が身近な存在になるよう読者参加型の見開き紙面「ひろば」を新設した。また、中国は、夕刊で、双方向「声ネット」を始めた。読者から投げ掛けられた「疑問に答える」ことを目指す。

〈動画連携〉メディア局担当者や編集局記者が撮影したニュース動画をウェブサイトで配信する動きが広がった。例えば、山陽は、毎日五本程度の動画ニュースをサイトで配信し始めた。素材は関連のCATV向けに制作する生のニュース番組から選ぶ。沖縄は記事に付いたQRコードを使って、携帯電話でも読むことができるようにした。ほかにも、一面に常時QRコードを付ける社が増えた。

夕刊の再活性化図る

〈夕刊関連〉毎日(北海道)が八月末、秋田が九月末で夕刊を廃止、それぞれ朝刊と統合して新朝刊をスタートさせた。また、南日本も来年二月末で夕刊を休刊すると公表した。ライフスタイルの変化などに伴う部数減を受けてのことだが、一方で、新潟が「読み得 知っ得 新夕刊」、中国が「おもしろく、都市部の情報を掘り起こす」をモットーにして、夕刊の再活性化を図る動きもあった。

〈斬新編集〉産経(東京)は、三月、「ニュース&コラム」と銘打ち、面を左右に分割して編集する斬新な紙面レイアウトを始めた。また、朝日は、十月、媒体内媒体ともいえる新紙面「GLOBE」を「創刊」した。段組み、フォント、紙質まで本紙と異なるものを採用している。(審査室)

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