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2010年 7月20日
民主大敗 「ねじれ」再び

与党過半数割れの参院選をめぐる社説
自民は建設的な政治姿勢で

昨夏の政権交代後初めての大型国政選挙となった第22回参院選は11日投開票され、民主党は改選54議席を大きく下回る44議席にとどまる大敗を喫した。改選38の自民党は51議席に伸ばして改選第1党となった。民主党など与党系議席は非改選を含め参院過半数(122)を割り込んだ。国会は衆参各院で多数派が異なる「ねじれ」状態となり、続投を宣言した菅首相の政権運営は一段と厳しさを増す。民主党への厳しい国民の審判と政局の行方を110本を超す社・論説が論じた。

政権担当能力に疑問

《有権者が歯止め》 中日・東京「政治主導の政策決定、『コンクリートから人へ』の予算配分、行政の無駄排除、緊密で対等な日米関係など、マニフェスト政策を実現する政権担当能力に、有権者は厳しい中間評価を下した。通常国会終盤には強引な国会運営も目立った。有権者は、そうした民主党の『暴走』に歯止めをかけようとしたのだろう」、愛媛「(選挙結果の)背景に民主の政権運営に対する危惧(きぐ)があることは確かだ。たとえば『国民の生活が第一』を掲げながら、生活支援にかかわるマニフェスト(政権公約)が後退し、普天間問題では結果的に沖縄の民意に背いた。政権運営の方向性が生活者の立場から離れつつあることを、有権者は鋭く感じ取ったのではないか」、産経「首相は12日未明、自らの続投を表明したのに続き、枝野幸男幹事長にも続投を指示した。(略)首相が直視すべきは、有権者が民主党の政権担当能力に大きな疑問を抱き、『退場勧告』を行ったことではないか。民主党が主導する政権に対し、これ以上の迷走と失政は許さないというのが国民の意思といえる」。

《『ねじれ』国会》 河北「衆院と参院で多数が異なる『ねじれ』。わたしたちは自民党政権時代、不毛な政争を何度も目撃した。政党は0か100か、白か黒か式のガチンコ対決でメンツは保てるかもしれない。だが、民意の集約という粘り強さが要求される仕事に、我が国の政党政治はいまだ習熟していない」、毎日「首相が言うとおり『(政策で)共通する部分は(野党と)合意し実現する』以外に道はあるまい。とはいえ、いたずらに野党に擦り寄っても侮られるだけだ。民主党の掲げる政策に国民の理解が得られ、状況によっては首相が衆院を解散し信を問うような迫力なくしては政策連携も絵に描いたモチに終わろう」、北海道「政策テーマで与野党が接点を模索することはあっていい。だが国会は論戦の場であり、政府をチェックするのが野党の基本的な使命だ。その原点を踏まえた上で、新しい国会のあり方を考えたい」、高知「菅首相は丁寧な国会運営を通じて野党側の協力を得ていくしかないだろう。(略)政党政治である以上、対立や多数決による決着は避けられないにせよ、真剣な議論を通じて一致点を見いだしていくことが重要になる」。

《責任野党に》 朝日「自民党にも注文がある。昨夏までのねじれ国会で民主党など野党は『「直近の民意」は参院にある』と主張し、自公政権を徹底的に追いつめようとした。当時、民主党の対応を政局優先と厳しく批判した自民党が今度は逆の立場に立つ。反対ありきではなく、適切なチェック機能を果たす『責任野党』の見本を示してほしい」、下野・日本海など「自民党は復活のきっかけをつかんだ。ただ民主党の混乱に助けられたのが実態で、政権復帰の展望が見えてきたと考えるのは早計だ。政権の受け皿たり得るには基本政策から練り直し、党再生に取り組むべきだ」、西日本「政府・与党と徹底的に対決するテーマと、国民本位の視点で幅広い合意を目指す政策とを区別したうえで、与野党協議の土俵をつくり、議論を尽くす。そうした建設的な政治姿勢こそ、長い目で見れば自民党にとっては政権復帰への近道であり、参院選で示された『直近の民意』にも沿うのではないか」。

超党派で財政改革を

《消費税論議は》 日経「有権者は消費増税に単純な『ノー』を突きつけたのだろうか。改選第1党となった自民党は公約に、社会保障に充てるため税率を10%に引き上げると明記している。大多数の有権者はこのままでは財政も経済も持続可能ではないと心配している。そうみるべきではないか」、読売「首相は選挙の敗北にひるまず、消費税についての党内調整を本格化させると同時に、野党に対し、引き続き超党派の協議を呼びかける必要がある。野党側も、これに応じ、制度設計に踏み込んだ議論を進めるべきである」、信毎「年金・医療・介護などの社会保障制度を改革するとともに財政を健全化することに、どの政党も異論はないはずだ。消費税は、そうした課題のなかの重要なテーマであることに変わりはない」。(審査室)

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