熟議の国会、模索の時

野田首相誕生と新内閣発足めぐる社説
「復興財源」に道筋を

菅直人前首相の後継を決める民主党代表選が8月29日行われ、決選投票の結果、野田佳彦氏が海江田万里氏を破って新代表に就任、30日の衆参両院本会議で第95代首相に選出された。野田氏は幹事長に輿石東参院議員会長を、閣僚にも小沢一郎元代表に近い人材を登用し党内融和を図った。2日に発足した野田内閣だが、不適切発言で鉢呂吉雄経済産業相が10日に引責辞任、早くもつまずいた。280本を超す社・論説から。

政治への信頼取り戻せ

《政治を前に》毎日「野田内閣は、過去2代の民主党政権の失敗を踏まえて仕事にあたる必要がある。統治のあり方を変え、スピードと実行力の伴う政治を実践する。政争で浪費した時間を埋め合わせ、政治への信頼を取り戻す。でなければ、首相交代劇は何のためだったのか、ということになる」、北海道「『この国難に民主党は、政治は何をしているのか』と国民に不満や不信が渦巻いている。もはや一刻の猶予も許されない。野田氏は震災後の日本の針路を明確に示し、必要な政策を迅速に実行するための政治体制を整えるべきだ」、千葉「前途多難な船出だが、本県選出国会議員では初の総理大臣就任と新政権を歓迎したい。泥臭くてもいい。持ち前の堅実な手腕で『今度こそ政治を前に進めて』という県民をはじめ、多くの国民の期待にこたえてほしい」。

《もろ刃の剣》信毎「小沢氏と行動をともにしてきた山岡賢次氏を国家公安委員長に、一川保夫氏を防衛相に起用した。党の要の幹事長に参院議員会長の輿石東氏を就けたのに続いて、閣僚も『ノーサイド人事』を実行したとみていい」、中日・東京「民主党内ではこれまで、先鋭化した『脱小沢』『親小沢』の対立が政策実現の妨げになっており、野田首相は党役員と閣僚に小沢系を取り込むことで、党内融和を図ろうとしたのだろう」、神戸「野田氏が、党内基盤の強化を狙っていることは間違いない。だが、輿石氏は、小沢氏の党員資格停止処分の見直しを主張しており、幹事長起用はもろ刃の剣である。議論を経て決めた処分を覆すようなことは、党内から反発を招く」、高知「小沢グループには東日本大震災の復興財源を臨時増税で賄うことや、自民、公明両党と合意した政権公約見直しへの反対が根強い。こうした火種を閣内に抱えたまま、野田首相が目指す政策を実現できるのか。リーダーシップが試されよう」。

《課題山積》日経「新首相が真っ先に直面する政策課題は今年度の3次補正予算案の編成だ。被災者のくらしと企業再生を支援するのに真に必要な事業を積み上げる。財源の算段には、そうした手順をふむべきだが、増税から逃げられないことははっきりしている」、産経「このタイミングでの増税は景気を冷やしかねず、与党内ですら反対論が強い。なぜ結論ありきなのか。歳出削減はなお不十分だ。政府資産の売却に加え、復興基金の設立はじめ民間資金の活用などにもっと知恵を出すべきだ」、読売「先進国最悪の財政赤字を抱える日本の財政再建は待ったなしである。国民の理解を得て、歳出カットや消費税増税などを着実に進めねばならない。野田首相は不退転の決意で臨んでもらいたい」、西日本「円高デフレ対策は緊急を要する。消費税が絡む税と社会保障の在り方、脱原発依存と原発再稼働の調整、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加。いずれも日本の将来に関わる重大な政治決断が要る」、沖縄「外交問題について『日米関係が基軸』と言っていれば済む、というような思考停止が、民主党の中にもはびこってはいないか。そのような姿勢では普天間問題の解決はできない」。

合意さぐる議論重ねよ

《「ねじれ」克服を》上毛・岐阜など「野田首相は自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表と個別に会談し、大震災の復旧・復興、円高・デフレ対策、税制改革の3テーマに関する与野党協議機関の設置を提案した。(略)衆参ねじれ国会で政治を前に進めるには主要政党間の話し合いが欠かせない」、京都「国会の議論のあり方を見直し、合意形成していく道を模索する時ではないだろうか。菅内閣の末期には民・自・公の協議が機能するようになり、子ども手当見直しなどの3党合意に至った。他の政党も含めて、政策ごとに対立点だけを見いだすのではなく、合意点をさぐる議論を重ねていく熟議の国会が求められている」、朝日「いまこそ、『対決の政治』を『合意の政治』へと進化させる好機なのだ。現状では、野党が反対すれば法案は通らないので、『合意の政治』の主役は実は野党だ。強引な丸のみを要求せず、わかりやすい修正案を繰り出して真摯(しんし)に妥協を探るなら、きっと野党の側が評価される」。(審査室)

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