2011年 9月27日
あとは実行あるのみ

野田首相所信表明演説をめぐる社説
与野党で政策論議深めよ

野田佳彦首相は13日召集の臨時国会で就任後初めて所信表明演説し、東日本大震災の復旧・復興と世界経済危機への対応に最優先で取り組むと表明した。代表質問では自民党の谷垣禎一総裁が民主党のマニフェスト(政権公約)撤回と解散・総選挙を迫って対決。野党は当初4日間だけの国会会期にも猛反発、民主は9月末まで14日間の会期延長へ譲歩した。約100本の社・論説が取り上げた。

被災地に寄り添う姿勢を

《実行力》朝日「演説に並べられた個別の政策の方向性を、私たちは評価する。増税を『歳入改革』と言い換えるなど、歯切れが悪く、具体性に欠けるものが目立つし、官僚の作文に過ぎないとの批判もあろう。それでも、あとは実行あるのみだと考える」、高知「震災からの復旧・復興、財政再建と経済成長の両立、外交立て直しなど、取り組みを急ぐべき課題も首相が挙げた通りだ。ただ、それをどう成し遂げていくのか。演説は具体性に欠ける。求められるのは、政策実現に至る詳しいシナリオと実行力だ」、日経「野田新内閣が取り組むべき政策課題ははっきりしている。首相は民主党内や、野党との合意形成で指導力を発揮し、果敢に政策を実行に移す手腕が求められている」。

《復旧・復興》岩手日報「復旧・復興の遅れに被災者は強い不満を抱いている。首相は第3次補正予算の準備作業を速やかに行うとした上で、『使い勝手のよい交付金や復興特区制度なども早急に具体化する』と表明した。当然だ。これまでが遅すぎた」、福島民友「福島再生のために不可欠な除染については遅々として進んでいない。自治体の協力を得ながら国の責任で全力で取り組むと述べたものの、放射性物質に汚染されたがれき、廃棄物の中間貯蔵施設、さらには最終処分場については明確になっていない」、河北「政治の最大の問題点は、被災地で首相も垣間見たであろう共助の精神を共有していないことだ。首相が座右の銘として『正心誠意』を挙げるなら、被災地に寄り添う以外にない」。

《脱原発》北海道「脱原発については『依存度を可能な限り引き下げていく』と努力目標にとどめた。菅前首相の『原発に依存しない社会を目指す』という方向性を支持した多くの国民の思いに背を向けることは許されない」、毎日「菅前首相が進めた『脱原発依存』や自然エネルギー推進については『原発の新設は困難』との従来の発言を盛りこまないなど、後退をにじませた。定期検査中の原発の再稼働には柔軟姿勢を示唆した。エネルギーの将来構想のイメージをより具体的に説明すべきだ」、産経「電力危機を加速させた菅直人前首相の場当たり的な『脱原発』路線の転換を図ろうとするのは当然である。原発は『定期検査後の再稼働を進める』と明言した。来年4月の原子力安全庁の設置を待たずに再稼働を実現するにはどうするか。地元との信頼関係を構築するとしているが、率先垂範すべきだ」。

《経済・財政》神戸「演説の目玉は、財政再建と経済成長の両立を目指し、『日本再生の戦略』を年内にまとめるとした点だが、新味には乏しい。環境エネルギー分野、医療関連分野を中心に新たな産業と雇用が生み出す環境整備などを打ち出しており、昨年6月に閣議決定した新成長戦略とあまり変わらない印象だ」、中日・東京「歳入確保ばかりが先行して語られるのは首相が直前まで財務相を務めたためなのだろうか。確かに、首相は演説で行政刷新の継続・強化に触れてはいるが、行政の無駄にどう切り込むのか、展望を明らかにしていない」、中国「民主党内には復興のための増税でさえ根強い慎重論がある。社会保障と税の一体改革では、増税の実施時期や幅など具体案をまとめる首相の指導力が求められる。(略)首相も厳しい道のりと自覚している。歳入改革とともに行財政改革による歳出削減を徹底し、経済活性化を促して増収を図る構えだ。単に『増税ありき』では多くの国民に受け入れられまい」。

協議に応じ合意形成急げ

《野党》北日本「自民党も、公約の全面撤回という到底相手がのめない要求を突き付けて総選挙を迫る必要があるのか。冷静に考えるべきではないか。今は個別の政策論議を深める時期とみるべきだ」、読売「ねじれ国会と国難が重なる今、野党が担う責任も重い。谷垣氏は大震災の復旧・復興を『党派を超えた責務』と認め、政権への全面的協力を明言した。そう言う以上は、本格的な復興のための第3次補正予算案の早期成立に向け、与野党協議に応じるのが筋である」、西日本「ここは自民党も正念場だ。復興最優先の使命感を共有するのであれば、本格的な復興予算となる本年度第3次補正予算の編成と復興財源のあり方について政策協議のテーブルに着き、合意形成を急ぐべきだ」。 (審査室)

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