2013年 1月15日
国民生活を立て直そう

在京6紙の新年号紙面
外交の再構築模索を

世界的な経済危機の影響が尾を引き、デフレ脱却への道筋が見えないまま新年を迎えた。政権を奪還し昨年末に発足した安倍晋三首相の新政権は、混迷の時代を切り開き国民に光明を与える役割を果たせるのか。在京各紙の元日紙面は、日本経済の底力を発揮させて国民生活の立て直しを図る一方で、日本外交の再構築を模索することの重要性を指摘した。

独自ニュースは毎・読・東京

【1面トップ】毎日、読売、東京が独自ニュースを据え、朝日、日経、産経は連載企画を置いた。

 毎日 「原発10基超防災に不備 経産省が調査開始 可燃性ケーブル使用」。火災対策上の不備が指摘される原発が、全国に十数基あることが分かった。配線に可燃性電気ケーブルを使用したり、安全上重要な機器が近接して設置されたりして延焼の恐れがあるという。経済産業省は既に調査を開始。ケーブル交換や設備改修に時間がかかり数年単位で再稼働が遅れたり、高コストから廃炉となるケースもあると、同省は想定している。

読売 「農水機密サイバー流出か TPPなど20点 韓国経由で攻撃」。農林水産省がサイバー攻撃を受け、環太平洋連携協定(TPP)交渉などをめぐる機密文書二十数点を含む延べ3千点以上が海外に流出した疑いのあることが分かった。公用パソコンが遠隔操作され、海外のサーバーと通信している痕跡が見つかった。2012年4月の日米首脳会談と11年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会談直前に作成された文書が狙われたとみられ、日本の外交方針が筒抜けになっていた可能性が高い。

東京 「原発マネー保育まで 住民サービスに278億円 立地自治体どっぷり」。原発や核燃料サイクル施設がある23の立地自治体が、本来は一般財源で賄うはずの教育や施設の修繕費など不可欠な住民サービスに、計278億円の原発マネー(電源立地地域対策交付金)を注ぎ込んでいたことが、同紙の調査で分かった。原発マネーで建てた施設の維持管理費が財政を圧迫する例も多い。原発マネーに頼らない体質転換が求められる。

朝日 連載「ビリオメディア」。10億(ビリオン)を超える人たちがツイッターやフェイスブックなどの「ソーシャルメディア」で発信するようになった世界を「ビリオメディア」と呼ぶ。取材記者自身もソーシャルメディアを駆使して取材の様子を可能な限りネット上に公開するという、新しい取材方法に挑戦した連載企画。つぶやきながら現場を歩いた初回は、沖縄県の高校生たちがツイッターで記者に発信した基地問題への思いをもとに、県民の声を拾った。

日経 連載「アジア跳ぶ」。アジアの経済が新しい次元に入ってきた。日本が雁(がん)の群れの先頭に立ち、アジアの成長を先導する「雁行型」発展はすでに終わった。勃興の波は中国、韓国から東南アジア諸国連合(ASEAN)、インドへと広がる。主役の国や企業が次々と変わるアジアからみれば日本の時計の針は止まったままだ。手をこまぬけば「日本抜き」の経済圏にもなりかねない。が、「今ならまだ間に合う。ネジを巻き直そう」と連載は呼び掛ける。

産経 連載「新帝国時代 2030年のアジア」。植民地獲得はしなくても自国の権益拡大に腐心する冷戦終結後の「新・帝国主義国」。こうした国が出現する状況で、日本はどう対処すべきか。安全保障、高齢化、エネルギー問題などから近未来のアジアを見つめ、日本の生き残りの道を探る。初回は、防衛省が10~20年後の有事シナリオを練り、これに基づき陸海空3自衛隊の防衛力を一元的に整備する「統合防衛戦略」の策定に着手したことを明らかにし、ロシア、北朝鮮、中国との有事のシナリオを取り上げた。

日本の生き方を問い掛ける

【社説・論説】混迷の時代に日本の生き方を問い掛けた。

朝日 「混迷の時代の年頭に 『日本を考える』を考える」。「私たちが抱える、うんざりするような問題の数々は、『日本は』と国を主語にして考えて、答えが見つかるようなものなのか」と問う。グローバル化の中で「成長は欧米やほかのアジアの景気頼み。雇用をつくるのは、日本の企業や政府だけでは限界がある」。時代は、大小の共同体と分け持つ仕組みの方向に向かっていると指摘。「国家としての『日本』を相対化する視点を欠いたままでは、『日本』という社会の未来は見えてこない」と指摘する。

毎日 「2013年を展望する 骨太の互恵精神育てよ」。13年は「日本経済の底力」と「日本政治の平和力」で、戦後日本の生き方が試される年だとした。経済政策は「限られたパイの中で、豊かな高齢者層から雇用も所得も不安定な若年者層へのより明確な所得移転」が必要と強調。平和力にかかわる日本外交の姿勢としては「安直な排外主義を排し、大局的な国際協調路線」に立つよう主張した。パイの配分と平和の継続。いずれも「互譲の裏付けのある骨太な互恵精神」を時代は求めていると指摘した。

読売 「政治の安定で国力を取り戻せ 成長戦略練り直しは原発から」。経済力、防衛力、技術力などで構成される、国の総合力である「国力」。日本は、先進国の地位を守れるかどうかの岐路にあり、「安倍政権の使命は、政治の安定によって、国力を維持・向上させることにある」と指摘。「真っ先に取り組むべき課題は、経済再生と成長力回復だ」とし、成長戦略を進める上では「安価で安定的な電力の確保」は欠かせないと主張。「アジアなど海外の需要を取り込む」ためにも、TPPに「首相は、早期に参加を表明すべき」と論じた。

日経 「国力を高める 目標設定で『明るい明日』切り開こう」。日本の国の力がどんどん落ちている。「国内総生産(GDP)はすでに中国に抜かれた。強みを発揮してきた産業も崩れた。巨額の赤字を抱える財政は身動きが取れない」。国力を高めていくために、世界をリードする生命科学や先端材料などの分野での「科学技術イノベーション立国」となることを説き、大きな国家戦略のもと、新たな価値を創造する力を磨くよう強調した。

産経 「年の初めに 長期安定政権で国難打破を」。戦後日本が「内外に問題を抱えて、身動きできなくなっている。そのことへの国民の言い知れぬ不安が、国家機能の正常化を促している」と現状を分析。先の総選挙で多くの有権者は「対中抑止力を働かせるとした安倍氏に国の未来を託した」と主張し、「日米同盟を堅固にして抑止力を強める。そして心を一つに中国の圧力をはね返すこと」に、日本人が覚悟を決める時だと論じた。

東京 「年のはじめに考える 人間中心主義を貫く」。安倍首相の最優先政策は経済再生であることが「多くの国民の要請」としながら、第1次安倍内閣の07年の元旦社説で掲げた「新しい人間中心主義」を訴え続けた。「経済は人間のためのもの。若者や働く者に希望を与えなければなりません。まず雇用、そして賃金。結婚し、子どもを持ち家庭を築く、そんな当たり前の願いが叶(かな)わぬ国や社会に未来があるはずがありません」と強調。

アジアを見つめ未来展望

【連載・企画】 朝日1面「ビリオメディア」、毎日1面「イマジン 第1部・はたらく」(12月30日から)、社会面「まちをあきらめない」、読売1面「Nippon蘇れ」(3日から)、社会面「生きる語る」(3日から)、日経1面「アジア跳ぶ」、社会面「隣り合う」(12月30日から)、産経1面「新帝国時代 2030年のアジア」、社会面「25ニッポン未来予測」、東京1面「犠牲の灯り 第1部『ちむぐりさ』」。

【ページ数】かっこ内の数字は2012、11年の順。
 朝日116(112、108)▽毎日80(76、76)▽読売104(104、108)▽日経100(102、100)▽産経86(80、80)▽東京56(68、66)(審査室)

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