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NHKの在り方に関する新聞界の見解

2001年9月26日

行政改革担当大臣
石原伸晃 殿

社団法人日本新聞協会
メディア開発委員会

行政改革推進事務局がさる8月10日に公表した「特殊法人等の個別事業見直しの考え方」では、NHKについて、業務拡大を抑制する仕組みの検討と子会社等との随意契約の是正が示されています。これは、新聞界の問題認識と一致するものであり、支持します。今後、具体的な措置の策定に不退転の決意で臨まれることを求めます。

新聞界はかねてから、NHKの在り方に関して、業務拡大や子会社・関連会社を含めた肥大化の問題を指摘し、総務省に対してしかるべき措置をとるよう求めてきました。

(1)放送法に基づく特殊法人・NHKの使命は本来、電波を使って放送することだけであり、インターネットなど放送以外のメディアを使って情報を提供することは目的外である。インターネットや携帯電話への本格参入は放送以外の新たなメディアを保有して業務を行うことに等しく、看過できない、(2)NHKが放送普及のために広く国民から徴収する受信料で成り立っている以上、その業務範囲は自ずと限定される、(3)マスメディア集中排除原則を適用されていないNHKはすでにテレビ、ラジオなど多くのチャンネルを保有しているが、子会社、関連会社等を含めた不透明な商業的活動の拡大は、業務の縮小や見直しが叫ばれている特殊法人の在り方にも逆行する、(4)非営利を義務付けられているNHKは、本来、市場原理から距離を置かなければならない存在である、(5)受信料という安定財源を保障され、しかも特殊法人として税制面で優遇措置を受けているNHKが子会社、関連会社等とともにインターネットや携帯電話で情報を提供することは、公正な競争とは言えず、民間企業の事業を圧迫することになる、(6)こうした現状を放置すれば、NHKがいたずらに肥大化し、多様な言論活動を損ない、結果的に民主主義の基盤である健全なジャーナリズムの維持・発展をも揺るがしかねない事態となる。

特に、NHKの子会社・関連会社等に関しては、その業務範囲は公共放送としての役割を達成する目的に限定すべきであるにもかかわらず、いったん設立されれば、出資目的以外の業務に自由に手を広げることができるなどの問題があります。

この点についても、これまで新聞界は厳しく指摘するとともに、NHKの子会社・関連会社等が設立の目的を逸脱した事業に進出することができないよう歯止めをかける方策や、NHKからの出資の適否が出資後にも監視できるシステムなど、現行制度の不備を是正する措置を求めてきました。

したがって、NHK本体のみならず子会社・関連会社等を含めNHKグループ全体を対象として業務範囲の全面的な見直しを行うべきであり、範囲の適正化と肥大化抑止に向けた抜本的な改革が急務です。あわせて、子会社・関連会社等に関し、情報公開の徹底、監査体制の強化、さらにはその存続の必要性の有無などについて多角的な検討が必要になると考えます。

以上

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