「株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱中間試案」に対する新聞協会広告委の意見書
2003年4月30日
- 「特段の法律効果」がある法定公告を掲載する最適媒体は、信頼性、客観性などの特性を備えた新聞であり、電子公告制度を導入する必要はない。合併や資本減少告知などの法定公告は、その「特段の法律効果」ゆえに、サーバーの故障やハッカーに侵入された場合の被害は甚大にならざるを得ない。にもかかわらず、インターネットの目新しさやコストのみに目を奪われ、デジタルデバイド、セキュリティーの問題について抜本的な解決策を示していない。このまま、改正案を秋の臨時国会に提出するのは早計である。
- 「中間試案」は証明機関の設置を提案しているが、これが必要な理由は、まさに、日刊新聞紙が兼ね備えている特性、すなわち、新聞の客観性、記録性、確実性を電子公告が欠いていることに由来する。証明機関による調査には限界があり、公告内容が改ざんされる可能性はなお残る。利用者は公告内容が改ざんされているかどうかを確かめる術(すべ)を持たず、誤った内容の公告が広く流布する危険は避けられない。法定公告が「特段の法律効果」を持つだけに、その社会的、経済的影響は計り知れない。
- インターネットが普及してきたとはいえ、年代別に見ると、株式保有率が高い60歳以上での普及率は極めて低く、依然としてデジタルデバイドは解消されていない。さらに、総務省の「全国・地方・都市階級別情報技術(IT)関連の機器・サービスの保有・利用状況」調査結果(平成14年10月~12月)でも、「パソコン・ワープロ」保有・利用率は3割弱にとどまっている。企業情報の開示メディアとして、全国津々浦々まで戸別配達されている新聞は、他のメディア(インターネットを含む)の追随を許さない。