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「NHKインターネット活用業務実施基準」の変更に対する意見

2024年9月26日

一般社団法人日本新聞協会
メディア開発委員会

ネット業務の全体像を説明するよう求める

 放送法改正により、NHKのインターネット業務は「必要的配信業務」と「任意的配信業務」に分けられることになった。必要的配信業務のうち「番組関連情報」は業務規程で、任意的配信業務は「NHKインターネット活用業務実施基準」(以下「実施基準」)でそれぞれ規定される。性格が異なる2種類の枠組みができ、NHKのネット業務に関するルールは複雑化している。

 今般示された実施基準の変更素案は年度ごとに「任意的配信業務に係る実施計画」を定めるとしているが、外部から全体像を検証できるよう、必要的配信業務なども含めた計画を策定すべきだ。併せて、競争評価プロセスにおいて、番組関連情報だけでなくネット業務の全体像を対象にするよう求めたい。

3号業務や「周知広報」を厳格に運用すべき

 実施基準の変更素案は外部の事業者を通じて展開する3号業務として、「放送番組」と「放送番組の編集上必要な資料」が配信できると定めている。「編集上必要な資料」との名目で、プラットフォーム事業者を通じたニュース記事の配信が行われることを懸念する。改正放送法は番組関連情報を「放送番組の内容と密接な関連を有する内容で、放送番組の編集上必要な資料」と定義し、競争評価プロセスを経て業務規程を定めることとなっている。業務規程の範囲外の任意的配信業務において「編集上必要な資料」の配信を可能とすれば、番組関連情報よりも幅広い展開が行われかねない。3号業務の対象から「編集上必要な資料」を削除し、放送番組に限定すべきだ。

 NHKは必要的配信と任意的配信とは別の枠組みで、「周知広報」を附帯業務として実施すると説明している。必要的配信の範囲を超えて展開されるべきではない。拡大解釈につながらないよう明確に規定すべきだ。

適切な予算枠の設定と、費用の詳細な開示を求める

 変更素案は、改正放送法施行前の2025年上半期のネット業務の費用を100億円と規定している。「年額200億円としてきたこれまでの業務と同様の費用規模で実施できると想定している」と説明しているものの、大ざっぱな設定だと言わざるを得ない。これまで予算上限に対する費用の高止まりが指摘されており、必要な費用を洗い出して検証したうえで、半年分として適切な予算枠の策定を求める。

 放送法施行規則は任意的配信業務に係る費用を「コンテンツ制作業務費」や「企画費」などを費用明細表に記載するよう求めているものの、必要的配信業務に関する費用については粗い区分による記載を求めるにとどまっている。しかしNHKは、検証可能にできるよう同じ水準で詳細に開示すべきだと考える。

任意的配信でも「メディアの多元性」を審査すべき

 当委員会はこれまで、NHKのネット業務を検証する上で、「メディアの多元性」を重視するよう求めてきた。特殊な負担金である「受信料」を財源とするNHKと、購読料や広告収入等で運営する民間のメディアとは財政基盤が異なり、「公正な競争」は成り立ちえないと考えている。番組関連情報について定める「業務規程」の検証でもメディアの多元性を重視する方針が示された。

 変更素案では、任意的配信業務の審査・評価に当たっては、市場競争への影響などについて諮問機関に見解を求めると定めている。業務規程の趣旨を踏まえ、「メディアの多元性確保」についても同様に見解を求めるべきだと考える。

以上

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