1. トップページ
  2. 声明・見解
  3. 通信・放送
  4. 総務省「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会」制度ワーキンググループ中間取りまとめ(案)に対する意見

総務省「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会」制度ワーキンググループ中間取りまとめ(案)に対する意見

2025年7月22日

一般社団法人 日本新聞協会

 日本新聞協会は、総務省「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会」制度ワーキンググループ(WG)中間取りまとめ(案)に対し、以下の意見を述べる。

 当協会はかねて、プラットフォーム(PF)事業者のサービス設計によって偽・誤情報の発信・拡散が容易になるとともに、刺激的な情報が拡散されやすくなったり、フィルターバブルやエコーチェンバーなどの課題が生じたりしていると指摘し、PF事業者がこうした課題を主体的に解決すべきであると述べてきた。これに関してWGが、PF事業者自身に「サービス設計・提供の当事者として、課題への適切な対応について責任を果たすこと」を求めた点は妥当だ。

 しかし、実効性の面では懸念が残る。中間取りまとめ案は違法・有害情報の流通・拡散状況を「依然深刻」と位置付けており、収益化停止措置や信頼できる情報の優先表示など具体的な対応については、業界団体による行動規範の策定を通じて、PF事業者に委ねるよう述べている。これらは情報空間の改善に向けて有効な手段となり得るが、PF事業者の自主規制に委ねていた従来の取り組みが違法・有害情報の改善につながっていない現状を考えると、実効性をいかに確保するかという方策を併せて打ち出すことも必要だ。

 アテンション・エコノミーが支配的な現在のデジタル空間では、刺激的な情報が拡散されやすい。民主主義の根幹である選挙が不正確な情報によって左右されることへの社会的な懸念を踏まえ、新聞協会会員社では選挙報道の在り方を見直し、不確かなネット情報の真偽を検証する取り組みも広がっている。しかし、本来はデジタル空間の構造を生み出し、不適切な情報の流通をも容易にする場を提供して収益を得ているPF事業者自身が課題の是正に向けて主体的かつ誠実に対応すべきである。生成AIの急速な発展に伴い健全な言論空間や情報流通に対する懸念がさらに高まっており、またPFは海外の事業者も多い。より強力にPF事業者の取り組みを促し、実効性を確保するためのさらなる検討を求める。

以  上

ページの先頭へ